●教育評論家 親野智可等からママへアドバイス

子どもにとって、一緒に遊び、育ってきたペットは、家族や親友と同じぐらい大切な存在です。
実際に、昔の教え子の小学校2年生の女の子が、給食の時間、急にポロポロと涙をこぼして泣き出したことがありました。

原因がわからず、時間をおいてから理由を聞くと、昨日犬が死んでしまい、それを思い出して泣いた……というのです。
ペットロスによって心身に深刻な影響が出る大人もいますが、大切なペットを失うことは、子どもにとっても大きなストレスなのです。



まず大切なことは“思い切り泣かせる”ことです。
「泣いてもしょうがないでしょ」などと言って感情を抑えては、ストレスを溜め込みます。そして、「お母さんは悲しくないんだ。僕の気持ちをわかってくれない」と、親への不信感も抱いてしまいます。

 “親が共感し、親子で悲しみを共有する”ことで、子どもは悲しみをわかってくれたと感じ、信頼感が育まれます。

また、死の意味がわからない小さな子どもは、恐怖や不安を抱くことがあります。
「天国に行くんだよ」「空から見守ってくれているんだよ」などと話し、天国、雲の上、空の上などでペットが遊んでいる姿をイメージさせて、死に対する恐怖感をやわらげてあげましょう。

そして、写真などを見てペットとの思い出を語り合ったり、ペットのお葬式をして手紙を読んだりするのもいいでしょう。
そうすると、余計に涙を誘ってしまうけれども、十分に悲しんだり泣いたりすることが大切なのです。

これらの経験によって、命の愛おしさを知り、人間や動物を大切にする“思いやり”が培われます。また、他人の悲しみにも共感できるようになるのです。