鈴木さや子
日本FP協会会員 CFP®〈サーティファイド ファイナンシャル プランナー〉。
国内損害保険会社に勤務した後、退職し2人の娘さんを出産。育児をしながらFP資格を取得、開業。個人のマネー相談、企業での女性向け講演のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役。
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年長 2017年12月18日の記事
子どもの教育資金の準備のために活用できる「学資保険」。大学進学時の入学金や授業料など、まとまったお金が必要なタイミングに学資金が受け取れるプランを選びたいですね。2人のお子さんのママでもある、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに、学資保険の選び方をうかがいました。
学資保険を選ぶとき、後悔しないためには具体的にどうすればいいのでしょうか?
「学資保険に求めることをはっきりさせておくと、家庭のニーズに合った商品を選べます。次の5つのポイントについて考えたうえで、検討してみてください」(鈴木さん)
【1】いつ学資金を受け取りたいか(進学祝い金、満期学資金など)
【2】貯蓄性が高いものがいいか
【3】どんな保障をつけたいか(契約者<親など>の死亡保障。子どもの入院、通院などの医療保障)
【4】満期学資金をいくらに設定するか
【5】保険料の払い込みをいつまでにするか
この5つのポイントは、鈴木さん自身の学資保険選びの失敗からも言えるのだそう。
「出産後はFP資格を取得する前だったので、学資保険について知識がなく、失敗してしまったんです。貯蓄性を期待していたけれど、払込保険料の総額に対して受け取れる学資金の額が少なく、余計な保障をつけていました。保険会社などに相談に行く前に、お伝えした5つのポイントを明確にしておくと、このような失敗を防げると思います」(同)
それでは、【1】~【5】の項目について、それぞれアドバイスいただきます。
まず、進学祝い金や満期学資金を受け取れる時期と回数は、学資保険の商品によって異なるそう。
「中学、高校、大学と進学の節目ごとに学資金が受け取れるタイプや、大学入学時1回だけのもの、大学4年間、毎年受け取れる商品もあります。中学、高校の進学時などに入学祝い金があるタイプの場合、満期に受け取れる額は少なくなります。どの時期に、いくら学資金でカバーしたいのか、よく検討してください」(同)
また、学資保険は、満期をいつに設定するかも気をつけたほうがいいといいます。
「学資保険は、大学入学に備える意味で、18歳満期の商品が多くなっていますが、中には17歳、20歳、22歳満期などもあります。大学の推薦入試やAO入試で、高校3年の秋に入学金や授業料の支払いが必要になることも考えられます。この場合、18歳満期では手続きをするときに満期学資金の給付が間に合わないこともあるのです。秋、冬が誕生月の子なら、17歳満期を選ぶという方法もありますね」(同)
【2】の貯蓄性を重視する場合、どう選べばいいのでしょうか?
「保障は最小限にして、『返戻率』(へんれいりつ)が高い商品を選びます。返戻率とは、払込保険料の総額に対する、受け取り総額の割合。この割合が高い保険は、貯蓄性が高いものです」(同)
この返戻率は、保険のプラン、加入年齢、中学や高校入学時の入学祝い金の有無などによって異なります。
「子どもの死亡・医療の保障が充実したタイプの学資保険の場合は、元本割れしている可能性が高いです。貯蓄性を重視して学資保険を検討するなら、払い込んだ保険料の総額と受け取れる給付金(祝い金、満期学資金など)の総額を比較し、受け取れる給付金が多いプランを選ぶとよいでしょう」(同)
貯蓄性で考えるなら、保険料を毎月払い続けていくよりも、5年、10年など短期で払い済みにすると、返戻率がアップ。ただし、払い込みが終了すると、契約者死亡以後の保険料払込みが不要になるという学資保険の性質上、保険機能がなくなり、貯蓄の機能だけ残ることも知っておきましょう。
【3】の契約者(親)の保障は、生命保険に入っていても必要でしょうか?
「他の生命保険で保障が得られるなら、学資保険に育英年金などの契約者の保障は必要ありません。しかし、万一のときが心配というご家庭は、保障が手厚いタイプの学資保険を選んでもいいですね」(同)
では、子どもの保障(入院・通院など)の特約は、つけたほうがいいのでしょうか?
「まずは、自治体の子どもの医療費助成をチェックしてみてください。中学生以下の子どもの医療費は無料など、助成がしっかりしているのなら、子どもの入院保障などは無理につけなくてもいいと思います。ただし、医療費助成は自治体によって異なるので、子どもの死亡保障や医療保障が必要というご家庭は、特約などでプラスするといいでしょう」(同)
「学資保険は、必ず貯蓄性を最優先というのでなく、その家庭のニーズに見合った商品を選ぶことが大切」と、鈴木さんはいいます。
学資保険に入る場合は、最初に満期金としていくら受け取るのかを決め、そこから毎月支払う保険料を決めます。では、満期金の額は、何を基準に決めればいいのでしょうか?
「高校までの教育費は毎月の家計から出し、もっとも大きなお金が必要になる大学進学時の資金を、学資保険などで準備するのが基本です。そのため、学資保険の満期金は、大学進学時に必要になる資金を基準に考えます」(同)
満期金の額の目安は、どれぐらいですか?
「大学に入学する初年度にかかる費用は、受験費用なども含めると国立で約174万円、私立文系で240万円です。その他、新生活にかかる費用などを含めて約250万〜300万円が、満期金の1つの目安になります」(同)
さらに、進学先が遠方で自宅外通学をする可能性があるなら、プラス100~120万円の費用が必要になるといいます。
「もし、学資保険の満期金が100万円だとすると、学資保険だけでは大学進学の費用をまかなうことができません。そのため、不足する150~200万円を何らかの方法で補うことを考えておきましょう」(同)
児童手当をまるまる貯める、収入から毎月決まった額を先取り貯蓄するなど、学資保険以外の方法でも教育資金を準備しておきたいですね。
【5】の「払い込みの期間」について、気をつけることは何ですか?
「返戻率を上げようと考えるばかりに、保険料の払い込み期間を短くすると、1回あたりの保険料がかなり高くなります。2人目が生まれたり、小学校に入って習い事が増えたりして出費が増え、保険料の支払いを続けるのが難しくなることも考えられます。途中で払い込み期間を延ばして保険料を下げることができない保険商品が多いため、1回あたりの保険料をきちんと払い続けていけるかどうか、しっかり検討しましょう」(同)
以上の5つのポイントを参考にして、家庭のニーズに合った学資保険を選んでください。
※この記事の情報は、2017年12月現在のものです。
(取材・執筆:掛川ゆり)
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