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生活・しつけ
年長 2015年5月27日の記事
子ども服が命の危険を招く!?[5/27]
《安全な通学着の選び方 その1》 7割以上の人が、子ども服で危険を感じた経験が
皆さんは、子ども服を買うとき、どんな点を重視していますか?価格が手頃だとか、かわいい・かっこいいからと選んだ服が、思わぬ危険につながることもあります。
2015年12月からは、日本では初めて子ども服の安全性に対するJIS規格(日本工業規格)が制定・発効されます。
今回は、その内容について、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会東日本支部「標準化を考える会」代表の田近秀子さんにお話をうかがいました。
小学生になると、運動力が増えて、動きも激しくなってきます。通学やふだんの遊びのときに着る服にも安全性のチェックは欠かせません。この機会に、あらためて子ども服の選び方について考えてみませんか?
●表に出にくい、子ども服が原因の事故
子ども服の安全規準が設けられるとのことですが、実際にこれまで大きな事故が起きたりしているのでしょうか?
田近 「日本ではこれまで、大きな事故に至った報告はありません。でも、欧米では子ども服のフードやヒモが原因になった死亡事故やケガの事故も起きていますから、日本でだけ起きていないということは考えられないと思います。
そのようなこともあって、過去には東京都商品安全対策協議会が、消費者に対してインターネットで子ども服の安全性についてアンケートを行なっています。
それによると、全体の77%が「危険を感じたことがある」と回答しており、そのうちの16.5%が、実際にケガをしたと回答しています。
ところが危険を感じたという人でも96.6%、つまりほとんどの人はどこにも苦情などを報告していないとのことでした。日本のお母さんたちは、事故の原因を自分の不注意と考える傾向が強いため、問題が表面に出にくいのかもしれません。
『事故にあうなんて注意が足りないだけ』と考える人も多いようです。でも、公的な事故の報告がないとはいえ、この結果を見れば、子ども服が事故につながる危険性をはらんでいるということは間違いないでしょう」
潜在的な数字ではあっても、危険を感じたことがあるのが77%というのは7確かに高いですね。
●フードやヒモのついた服は窒息やケガにつながりやすい
子ども服のどの部分が危険なのでしょうか?
田近 「報告が多いのは『フードつきの服』で、次が『首まわりやパンツの裾のヒモ』です。そのほかに、ファスナーやボタン、飾り、サイズなどの事例も見受けられます。
私たちの調査で聞き取った声や東京都商品安全対策協議会のアンケートなどから、いくつか子ども服での具体的な事故事例をご紹介しましょう。
1.フード
・公園や校庭のジャングルジム、ブランコ、すべり台などで遊んでいるうちに引っかかり、首が絞まったり、転倒したり、引きずられた。
・家のドアノブに引っかかり、首つり状態に。
・自転車のハンドル、サドル、ペダル、荷台などに引っかかり転倒。
・ほかの子どもにフードを引っ張られて転倒したり、首が絞まって嘔吐。
このほかにも私たちが以前テレビで広報活動をした際に視聴者の体験を集めたところ、「女の子が不審者にフードを引っ張られ、引きずられた」という事例もありました。
2.ヒモ
・子ども同士でふざけてフードのヒモを引っ張り合った
・ズボンの裾ヒモが自転車の車輪に巻き込まれた。
・ズボンの裾ヒモを自分で踏んで転倒し、大ケガをした。
・ 上着のヒモが公園の遊具に引っかかってケガをした。
・ 電車やエレベーターのドアに服のヒモがはさまれて転倒。
3.その他
・上着のファスナーを上げるとき、首の皮膚をはさんでしまった。
・ 上着のポケットに自転車が引っかかった。
・ロングスカートをはいて自転車に乗っていたとき、裾が車輪に引き込まれて横転。
・スパンコールやストーンなどの飾りでケガをした。
乳幼児が遊具や家の中での事故が多いのに対して、小学生では特に自転車や電車、エレベーターで起きている事故が目立ちます」
行動範囲も広がるので、事故が起きた場合、被害が大きくなる可能性もありますね。女の子が不審者にフードを引っ張られるというのも、こちらの予想を上回るような危険があるんだとびっくりです。
田近さん、ありがとうございました。
次回は安全な子ども服の選び方とJIS規格についてお聞きします。
プロフィール
日 本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)東日本支部の研究会として2008年に設立。日常生活を安全・安心・便利にしている「規 格」について、その目的や意義を理解し、標準化について研究・啓発・提言を行なう主旨で発足した。今回の子ども服JIS規格も提案から策定まで深く関わっ ている。