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生活・しつけ
年長 2014年11月6日の記事
乳歯が抜けない、永久歯が生えてこない……どうすればいい?[11/6]
〈生え変わり時期の歯のギモン 前編〉 小児専門の歯科医に定期的に診てもらいましょう
11月8日は「いい歯の日」ですね。6歳前後から始まる歯の生えかわり、この時期ならではの歯に対する素朴なギモンを、くちたち小児・矯正歯科の前田耕作先生に伺いました。
●乳歯が生えたまま永久歯が生えてきたら、乳歯の抜歯を
前田 「まず生えかわりの時期の歯で注意したいのは、生え始めてきたばかりの永久歯は表面のエナメル質が弱く、虫歯になりやすいということです。特に、生えたばかりの6歳臼歯の溝は、すぐ虫歯になりやすいので、この時期は特に念入りに歯みがきをするようにしましょう。生え途中の6歳臼歯は他の歯よりもまだ短いので、平行に歯ブラシを動かしていても毛先が届きません。その場合は、その歯だけ別個にみがいてください。また、6歳臼歯が生えたら早めにシーラントをすることをおすすめします。
シーラントとは、生えて間もない奥歯の溝をコーティングして、虫歯を予防する方法です。
生えかわりの時期にときどき見られるのが、まだ乳歯が抜けていないのに、横や前後から永久歯が生えてきてしまっている状態です。これは正常な生え方ではなく、長期間放っておくと、将来的に歯並びが悪くなる可能性があります。そのため、乳歯の横から少しでも永久歯が生えてきたら、早めに乳歯を抜いたほうがいいでしょう。
ただし、例外があります。それは下の前歯4本です。この歯は後ろ側に永久歯が生えてきて、乳歯と永久歯が前後に重なって生えている状態になることがあります。この場合はあわてて乳歯を抜く必要はありません。いずれ乳歯が抜ければ、永久歯が舌で押されて乳歯の生えていた場所に動いていきます。乳歯をすぐに抜いても、遅い時期に抜いても、将来の歯並びに影響はありません」
永久歯の生えかわりは何歳ごろから始まるのでしょうか?
前田 「下の前歯(中切歯)2本がもっとも早く、6歳ぐらいから生えかわります。または下の6歳臼歯(第一大臼歯)と呼ばれる奥歯が先に生える人もいます。次に、7歳ぐらいで上の前歯(中切歯)と、2番目の下の前歯(側切歯)が生えかわります。
ただし、生えかわり時期は個人差が とても大きく、5歳代から始まる子もいれば、7歳近くになってやっと初めて永久歯が生えてくるという子もいます。つまり、早い子と遅い子では1年以上もの 開きがあるというわけです。さらに、同じ学年でも4月生まれの子と3月生まれの子ではもともと1年近く違うのですから、同学年どうしで2年ぐらいの差があってもおかしくないということです。同い年の他の子と比較して『お友だちはもう永久歯が生えているのに、うちの子はまだ1本も生えていない』という心配をする必要はありません。
ただし、隣り合った2本の乳前歯がくっついて1本になっていて、もともと乳歯の数が足りない場合、永久歯の前歯も1本少なく生えてくることがあります。このような乳歯はスムーズに生えかわらないことがありますので、小児歯科で定期的にみてもらうといいでしょう。
また、虫歯などのために生えかわりの時期よりも早く、やむを得ず乳歯を抜歯する場合や、ケガで乳歯が抜けてしまった場合は注意が必要です。抜けた状態をその ままにしておくと、その隣りの歯が抜けた場所にずれてきてしまいます。そうなると、永久歯が生えるスペースが狭くなり、歯列からはみ出したところから生え てきて、歯並びが悪くなってしまいます。これを防ぐためには保隙装置というものをつけなければならないので、やはり、小児歯科専門医院での対応が必要にな ります」
●小児と一般の歯科治療は別物と考えて
では、歯の生え方でおかしいなと思ったら、すぐに歯医者さんに見てもらわなければなりませんね。
前田 「異常が見られたときに限らず、かかりつけの歯医者さんを決めて、日頃から定期的に歯のチェックをしてもらうことをおすすめします。
さらに付け加えるなら、かかりつけの歯科医を選ぶ場合は、小児歯科を専門に行なっているところが安心です。『歯科』『小児歯科』『矯正歯科』『歯科口腔外科』など、歯科の分野にはいくつかの種類がありますが、どれも免許制ではなく、自己申告で自由に標榜できることになっています。そのため一般歯科と小児歯科を兼ねているところがほとんどですが、小児の歯科治療と一般の歯科治療はかなり別物と言っていいでしょう。
乳歯の虫歯と永久歯の虫歯では、いろいろな面で治療のやりかたが違いますし、一般歯科をメインとしている医院では、乳歯の虫歯を見つけるのも難しい場合があります。先ほどお話した「保隙」という治療も、通常は小児歯科専門医院でないとできない場合が多いです。これまでお話ししてきた事例のほかにも、子どものお口の中のことは小児歯科を専門としている先生でないとわからないことも多いと思います。
残念なことに、小児歯科を専門に行う歯科医は数が少ないため、小児歯科は専門性が高いにもかかわらず、あまり認知されていないのが現状です。しかし、お子さんのお口の健康を守るためには、できるだけ小児歯科専門医院、または小児歯科を専門にしている先生のいる医院にかかることをおすすめします」
「小児歯科」と「一般歯科」でそんなに違いがあるとは知りませんでした。
前田先生、ありがとうございました。次回は歯並びについてうかがいます。
なお、お住まいの地域の小児歯科専門医は、以下のサイトで探すことができます。
日本小児歯科学会サイト http://www.jspd.or.jp/index.html
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プロフィール
くにたち小児・矯正歯科院長
日本小児歯科学会認定小児歯科専門医。
日本矯正歯科学会会員。
東京矯正歯科学会会員。
東京歯科大学小児歯科学講座に在籍後、矯正専門医院、一般歯科医院、小児歯科専門医院勤務を経て、平成24年に開院。
くにたち小児・矯正歯科
http://www.kunitachi-kodomo.com/