全国学童保育連絡協議会
保護者と学童保育の職員(指導員)が1967年に結成した民間の学童保育専門団体。
月刊『日本の学童ほいく』の編集発行、全国学童保育研究集会、全国学童保育指導員学校の開催、学童保育に関する調査研究など、学童保育の内容充実のための活動を行う。
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学校・まなび
年長 2017年6月9日の記事
小学校の入学準備で働くママが気になるのは、子どもの放課後の居場所になる「学童保育」のこと。どんなところで、子どもが安心して過ごせる環境なのか気になりますよね。
東京都内で学童保育の指導員を約32年間務めた、全国学童保育連絡協議会 事務局次長の千葉智生さんにお話をうかがいました。
そもそも学童保育は、どのようなところなのでしょうか?
「学童保育とは、保護者の方が仕事などで昼間家庭にいない小学生のための“遊びと生活の場”です。国は学童保育を『放課後児童クラブ』と呼んでいます。
学校がある日は下校後から17~19時まで、土曜日、春・夏・冬休みなどは、朝8時台から17~19時まで学童保育で過ごします」(千葉さん)
※開所時間は、学童保育によって異なります。
学童保育は、小学校の授業のように、カリキュラムがきっちり決められていないのだそう。
「子どもたちは、小学校で授業を受けて学ぶ楽しさを感じる一方、緊張や疲れも感じています。学童保育は“生活の場”ですので、その緊張から解放されて、家庭で過ごすのと同じように、自由に遊び、リラックスできるような環境づくりをしています。指導員(職員)は、子ども一人ひとりの気持ちに寄り添ってコミュニケーションをはかり、安心して、安全に過ごせるようにかかわります」(同)
小学1年生は、上級生よりも下校時刻が早いですよね。どのように学童保育で放課後を過ごしているのでしょうか?
「学童保育によってスケジュールは異なりますが、過ごし方の一例をお伝えしますね」
【学童保育のタイムスケジュール】
■14:30 下校→子どもは歩いて学童保育に行く
学童保育の開設場所は学校施設内が半数で、地域の公共施設(児童館内、公民館など)や民間の施設でも行われています。いずれも小学校に入学してしばらくは、学童保育の指導員が学校まで子どもたちを迎えに行き、施設まで連れて行ってくれるところが多いと思います。その後、慣れてきたら子どもは自分たちだけで歩いて向かうようになります。
到着すると、子どもたちは「ただいま」と言い、指導員は「おかえり」と迎えます。自分専用のロッカーにランドセルを置いたら、連絡帳を指導員に渡し、出席のチェックをします。
※連絡帳は、学童指導員と保護者の連絡に使うもの。学童保育によって有無があります。
■15:00 宿題、遊びをして過ごす
上級生が下校してくるまでの時間は、静かな時間。この集中モードになりやすいときに、指導員から「宿題をやろう」と声をかけて宿題をするときもあります。基本的に、学童保育は生活の場で勉強を教えてもらう場ではありませんが、子どもが宿題で困っていることがあれば、指導員がサポートすることもあります。
また、保護者によって「学童保育で宿題を済ませてほしい」「家庭で見たい」と考え方が異なるため、指導員は各家庭のルールに合わせて対応してくれます。
宿題が終わったら、遊んだり、ごろごろしたりしてリラックスして過ごします。
■15:30 おやつ
上級生が下校してきます。落ち着いたら、おやつタイム。メニューは、ヨーグルト、ゼリー、せんべい、果物など日によって違います。栄養を補う補食として、おにぎりとみそ汁などを出す学童保育もあります。
■16:00 自由に遊んで過ごす
おやつを食べ終わったら、外遊びや室内遊びを楽しみます。
学校内の学童保育は校庭で、施設内に外遊びのスペースがない場合は指導員とともに近くの公園で、サッカー、キックベース、ドッジボールなどの球技や縄跳び、一輪車などを楽しみます。複数の指導員が子どもたちの安全を見守り、ときには審判を頼まれたり、チームのメンバーとして子どもたちといっしょに遊んだりすることもあります。
室内では、コマ、けん玉、かるたなどの昔ながらの遊び、オセロなどのゲームのほか、一人で静かに読書をしたり、絵を描いたりする子もいます。
■17:00~19:00 帰り支度をしてお迎えを待つ
先生から連絡帳を受け取り、保護者のお迎えを待ちながら自由に過ごします。保護者がお迎えに来られる時間に合わせ、子どもの帰る時間が決められています。
(子どもだけで帰宅する学童保育もあります)
※このスケジュールは一例です。開所時間、連絡帳の有無、おやつの内容、スケジュールなどは学童保育によって異なります。
学童保育のスケジュールから見えてくるのは、子どもが自由にリラックスして過ごす姿。指導員の方は1年生から6年生の幅広い学年の子どもたちに寄り添いますが、資格を持っているのでしょうか?
「『放課後児童支援員』という資格を持った指導員を配置することになっています。保育士、社会福祉士、幼稚園や小中高の教諭などの資格がある人や、大学などで社会福祉学、心理学などを学び卒業した人、などの条件に該当する人が、都道府県知事が行う『放課後児童支援員認定資格研修』を修了すると与えられます」(同)
指導員は保護者とコミュニケーションを重ねて、子どもたちの性格を把握しているそう。そのツールのひとつが、連絡帳だといいます。
「連絡帳には、学童保育でお子さんが友達の誰とどんな遊びをしていたか、宿題を見たときに気になったことなどを書き、保護者の方に報告します。保護者の方からは、子どもの体調、帰宅時間の変更などの希望のほか、家庭での出来事を書いてくれることもありますね。家庭での出来事は子どもの気分に影響しますので、それで今日はいつもより元気がないのかな?と、理由が推察できることもあります」(同)
保護者の方と子どもや家庭の情報を交換することで、子どもへの接し方が変わってくるかもしれませんね。
「はい。指導員は、保護者の方とのコミュニケーションを積み重ねて信頼関係を築き、子どもの気持ちに寄り添っています。また、子どもの様子について気になることがあれば、お迎えのときに保護者の方に直接お話しすることもあります」(同)
さまざまな学年の子がいますが、宿題を促す声かけはどうしていますか?
「学年ごとに下校時刻が違うので、時間を一律に決めてしまうと、子どもたちが堅苦しく感じてしまいます。スケジュールでもお伝えしたように、1年生は下校時刻が早いので、上級生が登所する前の静かな時間に済ませると集中できます。
2、3年生になると6時間目まであり、疲れて帰ってくるので、まず遊んでおやつを食べ、一息ついてから宿題に取りかかります。
また、17時以降まで残る子は、他の子が帰りはじめて周りが静かになってから宿題に取り組むこともあります」(同)
子どもたちの気分、場の雰囲気やタイミングを見計らって、指導員さんが宿題をするように促してくれるのですね。
「はい。子どもによって、今日は疲れていて少しイライラしているな…と思ったら、様子を見ることもあります。そして、保護者が迎えに来たときに、その日の子どもの様子と宿題の進捗を伝えます」(同)
千葉さんに学童保育での子どもたちの過ごし方を聞いていくと、学年、子どもの性格、その日の気分を見て、指導員の方が臨機応変に寄り添ってくれているのがわかります。
冒頭で、学童保育は“生活の場”だと教えていただきましたが、放課後、信頼できる大人が近くにいて安心できる場所であることが、子どもの心の安定にもつながるのではないでしょうか。
放課後の子育てをサポートしてくれる指導員さんと協力し、学童保育を利用したいですね。
(取材・執筆:掛川ゆり)
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