“自転車が果たす社会的な役割”を広く一般に啓発することを目的として、広範囲な分野にわたる事業を展開。自転車利用者のルール遵守、マナー向上の啓発など、乗用環境の整備をはじめとして、自転車の総合情報施設である自転車文化センターの運営、さらには、自転車競技の普及促進などを積極的に推進する。
幼稚園・小学校への自転車安全セミナーの出張授業や、自転車利用実態の定点調査などの各種調査・研究に基づいた講演や寄稿も行っている。
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生活・しつけ
小学1年生 2018年5月9日の記事
年長~小1になると、補助輪なしの自転車に乗れる子も増えてきますよね。休日のお出かけのときなど、自分の自転車に乗りたがる子も多いのではないでしょうか。ただ、スピートが出る分、事故になったときが怖い自転車。そこで今回は、子どもが自転車で公道を走るときの注意点について、日本自転車普及協会の谷田貝一男さんにお話しを伺いました。
●「何歳から公道を走っていい」という明確な決まりはない
自転車のルールやマナーをお伺いする前に、そもそも何年生になったら自転車で公道を走ることができるのでしょうか?
「実は、道路交通法では『何歳から自転車に乗れる』といった明確な決まりはありません。自転車の年齢に関するものでいうと、13歳未満にはヘルメットを着用させること(親の義務)、13歳未満は例外的に歩道を通行できることなどが記されていますが、都道府県の条例レベルでも運転年齢を制限しているものはないんです」(谷田貝さん)
なんと! 年齢制限はないんですね。周りを見ると、小学3年生くらいで「自転車安全教室」を受講させる学校が多いようですが、極論、乗れるようになったら、何歳からでも公道を走ることはできるということですよね。
「そこが問題なんです。ルールやマナーをきちんと教わる前に、公道に出ている子が多い。しかもここ数年、補助輪なし自転車に乗れる子どもが低年齢化してきているんです。ペダルの付いていない子ども用自転車が登場したことで、小さい頃から自転車のバランス感覚が身に付いているからでしょう。小学1年生の92.3%は補助輪なし自転車に乗れるという調査結果もあります(※)」(同)
(※)…出典:成迫俊美「小学生に対する効果的な交通教育、交通安全教育第588号」(2015年)
●3年生までは親が同行して、ルールやマナーを教えよう
法律的に「何歳からでも乗れる」とはいえ、自転車の運転は、大人でもヒヤッとすることが多いですよね。実際に子どもだけで公道を走るのは、何歳からが目安となるのでしょうか。
「小学3年生になるまでは、必ず大人が同行して、子どもの運転を見守るようにしてください。たとえ近所の、車通りの少ない住宅街だとしてもです。というのも、東京都内の最近のデータでは、自転車事故の約67%が交差点での事故ですが、そのうち約47%は、歩道と車道の区別がないような、いわゆる『生活道路』と呼ばれる場所で起きているんです。残りの約20%が幹線道路での事故ですが、生活道路の方が断然高い割合ですよね」(同)
信号がなかったり、見通しの悪い交差点だったり…。車通りが少ないという油断も原因としてありそうです。
●目的地ごとに最適なルートを決めて固定してしまおう
では、具体的には、どのようにして、公道での自転車の乗り方を教えればいいのでしょうか。
「小学生のうちは、自転車で行動する範囲も限られていると思いますので、まずは目的地ごとに最適なルートを決め、固定してしまいましょう。例えば図書館に行くとして、多少遠回りでも、車通りが少なく、見通しの悪い交差点もないなど、一番安全と思われるルートを選んで、それ以外は通らないという決まりにしましょう。
ルートを決めたら、子どもを前に行かせて、親は後ろを付いていくようにします。自転車での並走は絶対にダメです! そして、一つ一つの交差点(T字路・十字路)や曲がり道について、『どの位置で止まって、左右確認するか』ということまで教えてあげてください。
児童館に行くには…、よく遊ぶ○○さんの家に行くには…と、それぞれの目的地でルートを固定して注意すべきボイントを一つ一つ教えましょう。声がけをしなくても、子どもがきちんと教えたことを守れるようになったなら、3年生を目安に、子どもだけで走行させてもいいと思います」(同)
●大人でも見落としがちな人が多い、自転車のルール6選
では改めて、親自身も見直すべき、自転車のルールやマナーを教えてください。
<見落としがちな自転車のルール・マナー>
1.交差点(T字路や十字路)は、必ず左右の安全を確認してから進む
2.車道を走るときは、必ず左側通行をする(車と同じ)
3.歩道は左右どちらを通ってもいいが、必ず車道寄りを通行する
4.自転車専用レーンがある場合は、進行方向左側のレーンを通行する
5.並列走行は禁止!
6.歩道は歩行者優先。いつでも止まれる速度(7~8km/時が目安)で通ること
7.右折する場合、いわゆる二段階右折(※2)のやり方をすること
(※2)参考;二段階右折のやり方
(1)信号機があるとき
①正面の信号機が「赤」のときは交差点の手前で停止し、
「青」になったら交差点を直進する。
②交差点を渡ったら、停止して自転車の向きを右に変える。
③向きを変えたときに正面に見える信号機が「青」になるまで待つ。
④「青」になったら、交差点を直進する。
(2)信号機がないとき
交差点の左端を徐行する。
左右の通行状況を確認し、歩行者が通行しているときは一時停止する。
「これらは、罰則規定もある立派な法律です。子どもだけでなく、大人でもできていない人が多いと思いますが、万が一事故などがあったときは自転車側の過失にもなります。特に、歩道に関しては歩行者優先が絶対です。歩道通行中に、前を歩くお年寄りが突然横に移動してぶつかったとしても、悪いのは“いつでも止まれる速度”で走っていなかった自転車ということになるんです」(同)
谷田貝さんいわく、「歩道でベルを鳴らして、進路を確保するなんてもってのほか」とのこと。歩道はあくまで歩行者優先ということは、胸に刻んでおきたいところです。こうした基本的なルールについても、一人で公道を走るようになるまでに、何度も口を酸っぱくして言い聞かせましょう。
子どもはもちろん、大人も再確認したい自転車運転のルールを学んだところで、次回は、今話題の「自転車保険義務化」について、引き続き谷田貝さんに伺いたいと思います。
(取材・執筆:八巻奈緒)
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