新保元康先生
札幌市立屯田小学校 校長。
北海道教育大学札幌分校卒業。札幌市立小学校教諭、北海道教育大学附属札幌小学校教諭を経て、現職。文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」事業推進委員(2017~)の他、北海道社会科教育連盟委員長等を務める。
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学校・まなび
小学1年生 2018年5月8日の記事
子どもが小学校に入り、初めての家庭訪問。前編では、目的や準備について紹介しました。今回は、実際に先生が自宅に来たときの対応を、札幌市立屯田小学校の新保元康校長先生に教えてもらいました。
家庭訪問は、基本的に自宅の位置や環境を把握したり、保護者の要望などを確認するのが目的とお聞きしました。ところが自宅には子ども本人がいる場合も多いもの。本人、あるいは兄弟がいる場合、同席していてもいいのでしょうか?
「ぜひ、担任とご相談ください。ケースバイケースだと思います。保護者の方のお気持ちで『子どもの声を直接聞いて欲しい』という要望があるかもしれませんし、逆に『子どもには聞いて欲しくない』という場合もあるでしょう」
新保先生は「遠慮は無用です」と言います。「普通はどうするのだろう」「先生に悪いかも」などは気にせず、自分の要望を言っていいのですね。
また、だいたいどれくらいの時間が用意されているのかも気になるところ。
「移動も含めて1家庭15~20分程度で組むことが多いでしょう。そうなると、滞在時間は5~10分程度。ただし、クラスの児童数にも大きく影響されます。クラスの児童数は20人程度から、多ければ40人程度になる場合もありますが、期間は学校全体で決まっていることが多いものです。そのため、他のクラスより児童数が多い場合には、1家庭の訪問時間が少なくなる場合もあります」
話せる時間が5~10分となると、かなり短いように感じます。有効な時間を過ごすために、どんなことを聞くとよいのでしょうか。
「多くの子どもは、家庭と学校で見せる姿が違います。『家庭では元気はつらつなのに、学校ではおとなしい』、あるいは逆に『家庭では落ち着いているのに、学校では快活』というケースも。『どちらが本物か』と考えるのではなく『どちらも本物』と考えるとお子さんの理解が深まるのではないでしょうか。こうしたことを頭に入れて家庭での様子を先生に伝え、学校での様子を聞いてみるといいでしょう」
どちらも本物だと考えれば、「学校では本当の自分を出せていなくて心配」という発想にはなりませんね。子どもの新たな特徴を発見するような気持ちになれそうです。
話をするだけでなく、先生は自宅の様子も見ているはず。どのようなところを見られているか気になるものですが…。
「例えば、経済的な面でお困りのことがないか、子どもが安心して暮らせているか、孤立していないか、などを気にかけているのです。学校だけでは解決できない問題でも、他の行政機関などと協力してサポートできる場合があります。もちろん、細々と探るようなことは一切ありませんので安心してください」
お部屋をじろじろと見られるようなことは、心配しなくてよさそうです。とはいえ、子ども部屋を見ていただくと、いろいろな発見があるそう。
「保護者のお許しがあれば、子ども部屋を見せていただくこともあります。『こんな環境でよろしいでしょうか』とご相談を受ける場合も。子ども部屋には、写真や賞状など、お子さんと保護者の方が共に大事にしてきていることや、双方のほほえましい関係が見えることもよくあります。そんなときは、私たちもとても嬉しいんですよ」
「普段どおりのありのままでお迎えいただければ」「一番大事なのは健康面と安全面の確認」と何度も念押しする新保先生ですが、注意すべき点もあるのだとか。
「一度の家庭訪問で問題が解決したり、大きな成果があると期待しすぎないでいただきたいと思います。『こんなに準備したのに、すぐに帰ってしまった…』『じっくり話を聞いて欲しいのに、何だか先生がそわそわしていた…』など、家庭訪問への不満はたくさんありそうですが、それは期待の裏返しとも言えるでしょう。『先生とちょっと仲良くなる』くらいの気持ちで受け入れてくださるとありがたく思います」
遠慮は無用、過度な準備も不用。家に来てもらうだけで、先生にはいろいろなことが見えるのかもしれません。また、一度の家庭訪問で、問題や心配事が解決することは無さそうですが、今後何かあった時に相談しやすくなったり、問題を解決していくきっかけにはなりそう。
気負いすぎずに臨みたいものですね。
(取材・執筆:栃尾江美)
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新保元康先生
札幌市立屯田小学校 校長。
北海道教育大学札幌分校卒業。札幌市立小学校教諭、北海道教育大学附属札幌小学校教諭を経て、現職。文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」事業推進委員(2017~)の他、北海道社会科教育連盟委員長等を務める。
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