現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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学校・まなび
年長 2019年2月20日の記事
もうすぐ小学校入学! いよいよ授業が始まりますが、そうなると気になるのが、子どもの鉛筆の持ち方ではないでしょうか。「なんだか文字が書きにくそう」「字が薄くてヒョロヒョロなんだけど、持ち方に問題があるの?」と、すでに不安なママも多いのでは。今回は、子どもに鉛筆の正しい持ち方を教えるコツを、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
子どもの手元を見て、なんとなく鉛筆の持ち方が変だなと感じた場合、どのように正しい持ち方を教えたら良いのでしょうか。塩谷先生いわく、「鉛筆の持ち方をチェックする前に、まずはお箸の持ち方をチェックしましょう」とのこと。一体どういうことなのでしょう。
「実は、お箸を持った状態で手前の1本を抜くと、鉛筆の持ち方になります。
<鉛筆の持ち方3ステップ>
1.鉛筆2本を箸のように持つ
2.手前の鉛筆を抜く
3.指の位置を少し下にずらして調整する
つまり、箸が正しく使えていれば、自然に鉛筆も正しく持てるようになるのです。箸の持ち方が間違っている場合は、少しずつ修正していきましょう。
エジソンのお箸など、矯正箸を使って練習するのもいいですね。箸が苦手だからといってスプーンやフォークばかり使わせるのではなく、たとえば時間がない朝は矯正箸で、夕食は普通の箸を使って食べる練習を、などと少しずつ慣らしていきましょう。鉛筆の持ち方が気になるお子さんの場合は、まずお箸の持ち方を保護者の方が確認してあげてください」(塩谷先生)
鉛筆の持ち方は正しいけれど、字がうまく書けないという子も多いと思います。何か具体的な声がけはありますか?
「箸は2本なので安定しますが、1本になると途端に不安定になります。そのため、鉛筆を持つ手にうまく力が入らず、筆圧が出ないのです。子どもが鉛筆で字を書きはじめたとき、『薄いな』と感じたとしても、それは当然のこと。最初は線を書くことから練習してもOKなので、まずは、薄くてもたくさん褒めてあげてください。だんだんと慣れていけば筆圧は強くなるので、焦らないことです。
『もっと濃く書きなさい』『字がヒョロヒョロだよ』などと言うのは逆効果。濃く書かないと…と思うがあまり、子どもは無理に力を入れようと鉛筆をぎゅっと握ったり、人差し指で無理やり押さえ込んだりと、間違った持ち方をするようになってしまいます。
<NG例>
力を入れようと鉛筆を抱え込んだ持ち方
2Bなどの濃い鉛筆を使う、持ちやすい三角形の鉛筆で練習する、芯を尖らせすぎないということも、自然に筆圧を強くしていくコツです」(同)
力が入りすぎると線がカクカクになってしまうので、滑らかな曲線が書けません。できるだけ力を入れずに書くことが大切なのですね。また、手首を支点として文字を書くこともポイントなのだそう。
「鉛筆を使いはじめた頃は特に、手首側をつかずに浮かせて文字を書く子が多いです。書道はそれで良いのですが、鉛筆の場合は不安定でうまく字が書けません。
コツは手首を机につけ、ここ(写真の赤丸の部分)を支点とした可動域の中で書くこと。しっかり安定するので、字が書きやすいと思います。もしも手首を浮かせて書いていたら、教えてあげてください。ただし、あまり注意しすぎたり、練習させすぎたりするのではなく、楽しく書くことを意識して声がけをしてくださいね」(同)
これらの点を意識しながら鉛筆を使っていると、とめ・はね・はらいも自然にできるようになるのだそうです。左利きの子の場合も同様にチェックしてみてくださいね。
また、普段の遊びも、文字をスムーズに書くことにつながるのだと塩谷先生。室内・室外でおすすめの遊びを教えてもらいました。
「子どもの指はとても小さくて、はじめはなかなか力が入りません。そのため、指先が器用に動かせると、鉛筆を持つときに活きてきます。5本の指を自由に動かして遊ぶ折り紙やあやとりはおすすめです。片手だけでなく、両手を動かすような遊びを意識するといいでしょう。
また、机の前で45分間座っていることが苦痛だと感じる子どもが多いようなのですが、長時間座っていられる筋力をつけ、鉛筆を持って文字を書く力をつけるためには、全身を使った遊びがおすすめです。たとえば、アスレチックやジャングルジム、うんていなど、手足、そして肩甲骨からしっかり動かす遊びを取り入れましょう。もともと外で遊ぶことが好きな子は問題ないですが、家の中でゲームをすることが多い子の場合は、少し意識するといいと思います。
それから、重い荷物を片方の手だけで持つことも、あまりおすすめできません。体の左右両方をバランスよく使うリュックがいいですね。日常生活の中の些細なことですが、結果的に鉛筆を持って長時間勉強できる体を作る基礎となります」(同)
鉛筆を正しく持てないと、字を書くことに疲れてしまい、結果、自分で持ちやすくアレンジして間違った持ち方をするように。早めに修正すれば必ず直るので、まずは箸の持ち方を見直し、子どもが楽しく字を書けるような工夫ができるといいですね。
(取材・執筆・撮影:水谷映美)
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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