東京生まれ。30代でマナー講師の資格を取得した後、NPOマナー教育サポート協会を設立。理事・事務局長を務める。2014年に「子どもたちにマナーを通して思いやりの心を育む」ことを目的に、一般社団法人ジュニアマナーズ協会を設立し、理事長に就任。小中学校で子ども達や教職員、保護者向けに行っている講演は、マナーの原点や理由が分かり面白いと好評を得ている。テレビやラジオの出演、新聞・冊子の掲載も多数。著書に『みんなで考える小学生のマナー』(メイツ出版)や『子どもと教師がキラキラ!クラスマナー入門』(東洋館出版社)などがある。
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生活・しつけ
小学1年生 2019年2月8日の記事
友達の家に遊びに行く子どもに、教えておきたいマナーとは?
放課後や休日に子どもだけで友達の家へ遊びに出かけるようになると、わが子がよそのお宅で失礼のない振舞いができているのか、気になりませんか? 小学1年生でも基本的なマナーは身につけておきたいところですよね。そこで、一般社団法人ジュニアマナーズ協会理事長でマナー講師の田中ゆり子さんに、1年生に教えておきたい「友達の家にあがる時のマナー」を聞きました。
●あいさつ、靴揃え、後片付けの3つは最低限の訪問マナー
子どもが友達の家に遊びに行く時に教えておくべきマナーには、どんなものがありますか?
「小学生に必要なマナーはそんなに難しいものではありません。『相手が嬉しいと思うことをしてあげて、嫌だと思うことはしない』というのがマナーの基本です。お宅訪問のマナーにもいろいろありますが、小学1年生であれば『あいさつをする』『靴を揃える』『後片付けをする』の3つは最低限、身につけておきましょう。
ひとつひとつは当たり前のようですが、子どもは遊びに夢中になると、自分の振る舞いが他人から見られていることを忘れてしまい、マナーもおざなりになりがちです。常識として身につくように、普段から“繰り返し”丁寧に教えてあげることが大切です。お互いに気持ち良く過ごして『また遊びに来てほしいな』と思ってもらえるような関係を築けるといいですね」(田中さん)
子どもの頃、マナーについてきちんと教えてもらった経験がないと、大人になってから自分の振る舞いに自信を持てなくなることもあるのだそう。お子さんの自信を育てるためにも、小学生のうちからしっかり教えてあげたいですね。
●よそのお宅に行く時に気をつけたいマナー10選
上記の3つを含め、友達の家に遊びに行く時に具体的に気をつけるべきことを、田中先生に教えてもらいました。
・相手の家に行く前には約束をする
今どきの子どもたちは習い事などで忙しいもの。約束をしないでいきなり尋ねると相手を困らせてしまうことも。子ども同士でも事前にきちんと約束をして、相手の親からも許可をいただいてから行くようにしましょう。
・インターホンを連続で鳴らさない
子どもは何度もしつこくインターホンを押してしまうことがあります。あまり連続で鳴らすと、相手を焦らせてしまい印象が良くありません。一度鳴らしてしばらく待って出ない時だけ、もう一度鳴らすようにしましょう。
・汚い靴下や素足はNG
黒く汚れた靴下や、素足のままで家に上がるのはNG。雨の日は足を拭くためのタオルや、予備の靴下を持っていくと好印象です。
・ジャンパーやコートは玄関の外で脱ぐ
外のホコリや花粉を家の中に持ち込まないように、ジャンパーやコートは玄関の外で脱ぐよう教えましょう。表面を軽く払ってから、内側を表にして裏返せたら完璧!「ここに置いていいですか?」と聞いてから玄関の端に置かせてもらいましょう。
・元気にあいさつをする
家に上がる前には「こんにちは」「おじゃまします」と必ずあいさつをするよう教えましょう。家の中で他の家族と顔を合わせたときも、その都度きちんとあいさつをします。帰る時の「おじゃましました」も忘れずに。
・玄関では靴を揃える
靴はきちんと揃えておきましょう。より礼儀正しくやるなら、①正面を向いて靴を脱ぎ、家にあがる ②相手にお尻を向けないように横向きで座り、靴を端に寄せてからつま先が外側を向くように並べる のやり方が正解。一度外に出てまた室内に戻った時などは、つい脱ぎ散らかしてしまいがちなので気をつけて。
・帰りの時間を告げる
相手のお家の人に「○時に帰ります」と家を出る時間を伝えます。遊びに夢中になると帰りの時間を忘れてしまうこともあるので、「時間になったら教えてもらえますか?」とお願いすると◎。片付けの時間も考慮して帰宅の10分前には声をかけてもらうといいでしょう。
・勝手に使わない、勝手に開けない
おもちゃなどを使いたい時は「これ使ってもいい?」と必ず友達に聞くように教えましょう。冷蔵庫や戸棚、案内された以外の部屋を勝手に開けるのもいけません。大人からしたら当然のことですが、意外とやってしまう子どもは多いです。
・おやつは品良く食べる
おやつをいただいたら「ありがとうございます」とおうちの人にお礼を言いましょう。おやつを食べながら部屋をウロウロするのはNG。食べてもいい場所で座っていただきます。おやつや飲み物をいただいたあとは、ゴミはゴミ箱へ、お皿やコップは台所まで下げるお手伝いをしましょう。汚れた指先で家のものを触らないように、食べたあとは手を洗います。
・後片付けをする
遊んだあとは、元の状態に戻るようにきちんと後片付けをします。帰る時間の10分前くらいには後片付けをはじめましょう。
●家庭の中でもマナーを意識することが大切
子どもにマナーを身につけさせるために、普段からできることはありますか?
「よそのお宅で気をつけるべきマナーは、家庭の中で気をつけたいマナーでもあります。普段からやっていないことを出先だけでやろうとしても難しいので、家庭でも繰り返し丁寧に教えてあげてください。マナーを教える時には、『なぜ家の外でコートを脱ぐのか、それは家の中にホコリや花粉を入れないため』といったように、なぜそれをする必要があるのか、理由を説明してあげると子どもも納得しやすいです。
マナーが悪いと叱るのではなく、『こういうことをされると人はとても嬉しい気分になるね』、『こんなやり方はすごくカッコいいね!』と、子どものやる気を引き出す言葉で根気よく伝えていきましょう」(同)
小学生になると、自由な行動も「子どもだから許される」とはいかなくなってきます。どこに行っても自信を持って振る舞えるように、今のうちからきちんとマナーを教えておきたいですね。
(取材・執筆:宇都宮薫)