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学校・まなび
小学1年生 2015年9月11日の記事
小学校ではどんな食育が行なわれているの?[9/11]
《栄養士さんからの給食室だより 第5回》 野菜の栽培から給食材料の下ごしらえまで、さまざまです
こんにちは、学校給食の現役管理栄養士&経験者のグループ「おkayu」がつづるママノート版「給食室だより」です。今回は、最近すっかりおなじみとなった「食育」について取り上げたいと思います。
●毎月19日は「食育の日」
平成17年に食育基本法が施行され、今年はちょうど10年になります。毎年6月を食育月間とし、さらに毎月19日が「食育の日」と指定されたことをご存じの方も多いと思います。
ちなみに、なぜ「19日」に決められたのかというと、食育の「育」の字が「19」を連想させるから。また「食」という文字も「しょ=初=1、く=9」を連想させるからなど、さまざまな理由があります。
「食育」とは、「自らの食について考える習慣や食に関するさまざまな知識と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習などの取組み」を指すといわれています。今回は、具体的に学校の現場でどんな「食育」が行われているか、家庭ではどのように取り組めばいいかについてご紹介したいと思います。
●小学校の「食育」の思い出は?
「食育」が脚光を浴びるずっと前から、学校では「栄養教育」「食教育」という形で、給食を教材としたさまざまな取り組みがされてきました。
たとえば現在も小学校では、給食に使われた材料を、栄養素別に分けて「給食黒板」に表示していますが、これは給食が始まった頃から行なわれていました。お父さんやお母さんの時代にも、小学校の給食室の前には給食黒板があったはずです。思い出した方もいるのではないでしょうか。
私が子どもの頃(東京オリンピックの頃)の記憶では、教室に、ベニヤ板でできた黄(穀類や油脂)・赤(肉、魚、卵、乳製品など)・緑(野菜や果物類など)の給食ボードがあり、毎日、アクリル板で作られた食品札を、献立表を見ながら係が色ごとに分けていました。今も給食献立表は、材料を黄・赤・緑の色分けで表示しているものが多く見受けられます。こうして見ると、栄養教育は65年あまりも前から、脈々と続けられているのだなと実感させられます。
そういえば、以前は給食時間が終わっても、教室に残って給食を食べている子が、何人もいましたね。20年前頃までは偏食指導がかなり厳しく指導されていたと記憶しています。その当時は昼休みに教室へ行って、どうしても給食が食べられず残されている子どもに「あと一口ぱっくんしたら、残していいよ。一緒に片付けよう。」と、声かけしたものです。
●学校でのさまざまな食育
さて、学校では、生活科や理科で栽培活動などに取り組んでいますが、これも食育の一つと言えるでしょう。教科外でも、次に挙げるように多方面からの「食育」が行なわれています。
・収穫した作物の調理をする
例)ミニトマト(サラダ、チーズ焼)
・給食材料の下処理をお手伝いする
例)グリンピースのさやむき、ソラマメのさやむき、とうもろこしの皮むきなど
・食育の授業
例)「朝ごはんを食べよう」「おやつについて」「野菜食べてる?(偏食指導)」 「味覚の授業」など
このように、体験活動を重視したものが多くなっています。特に最近は、野菜や肉、魚など調理する前の食物に触れたことのない子が多いので、食べものと人との関わりを知らせるとともに、これらの活動をすることで、食べることへの興味を引き出すようにしています。
1年生の食育授業の様子。手作りの教材で、わかりやすく栄養や食事の大切さについて伝えます。
子ども料理教室で、野菜を洗う子どもたち。表情は真剣です。
●家庭でもぜひ食育を!
子どもたちにとって、家庭での食の楽しい記憶は何よりの食育。ぜひ家庭でも、食べるだけでなく、いろいろな形で「食育」を取り入れてほしいと思います。
例えば
・TVを消して、家族で料理や食品の話をしながら食事をする
・食材の買い物をする
・食器の準備をする
・野菜の下処理(いんげんのすじ取り、もやしのひげ根取り等)をする
・料理を作る(野菜切り、混ぜる、炒める等)
・食事の後片づけをする
といったことを、ぜひ親子で楽しんでみてください。
特にお菓子作りなどは子どもたちも大好きです。敬老の日やクリスマス、バレンタインデーなどには、お菓子を作って、家族や友だちにプレゼントしてはいかがでしょう。
1年生の子がバナナケーキ作りのお手伝い。卵黄と砂糖を混ぜたり、卵白を泡立て器で泡立てたりと、大活躍してくれます。
次回は行事食について取り上げる予定です。
プロフィール
栄養教諭・給食の専門家がつくる同名の学校給食サイトを運営するメンバー。3名全員が学校栄養職員として東京都の公立小・中学校に勤務した経験を持つ。サイトは、給食作りについての情報や意見の交換、悩み相談やレシピ公開など、内容も多岐に渡り、学校給食関係者から高い支持を得ている。
「おkayu」 http://www.okayu.biz/index.php?FrontPage