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学校・まなび
小学1年生 2015年10月9日の記事
行事食は、給食スタッフのこだわりの献立ぞろい[10/9]
《栄養士さんからの給食室だより 第6回》 1年間の行事食、どんな献立がある?
こんにちは、学校給食の現役管理栄養士&経験者のグループ「おkayu」がつづるママノート版「給食室だより」です。今回は、「行事食」を取り上げます。
●年に一度の行事だから、思いをこめて
学校給食は、年間にしてだいたい190回程度実施されています。多いときで月に24回、少ないと12回ほどです。その給食の中で、私たち作り手がいちばんこだわっているのが、行事食といって間違いないでしょう。それは、旬の食材と密接に関わっていることもポイントとなっています。
特に私たちが在職中めざしていたのは「年に一度しか出ない献立(料理)を増やす」ことだったので、行事食にはことさら思い入れがありました。
ひと口に行事食といっても、給食に登場するのは、いわゆる暦に記載される年中行事ばかりではなく、学校での行事に関連させたものもあります。今回は、年間の主な行事とそれにちなんだ給食献立例をご紹介しましょう。おうちでの料理のヒントになれば幸いです。
◆4月「入学祝い」
初めての給食は、親しみやすく喜ばれるものを
小学校では、食べやすい料理として「カレーライス」と手作りデザートを組み合わせが好評でした。デザートには『ぴかぴかの一年生』をもじって「ぴかイチパフェ」を考えたところ、好評で、4月の定番デザートになったことも。
◆5月 「こどもの日(端午の節句)」(5日) 「八十八夜」(2日)
端午の節句といえば「ちまき」
ちまきは笹や竹の皮、チガヤなどに中華おこわを包んで蒸して作るのですが、生米はなかなか火が通らず苦心しました。作業面や価格などの事情で、ちまきにできないときは、包まずにそのまま中華おこわを出すこともありました。
◆6月「入梅」「和菓子の日」(16日)「UFOの日」(24日)など
梅干しは苦手という声に「梅若ごはん」
種を除いた梅干しを細かく切りご飯に混ぜた「梅ごはん」を出したところ、特に低学年から梅干しが苦手という声が聞こえてきました。そこで、大好きな「わかめごはん」とドッキングさせた「梅若ごはん」が誕生。デザートには、赤、青、ピンクなど3~4色のゼリーをサイコロ状にカットして作る「あじさいゼリー」も好評でした。
◆7月「七夕」(7日)「海の日」(20日)
お星さまいっぱいの献立
七夕にはそうめんを食べるという風習があるということで、スープにそうめんを入れた料理などを作りました。ほかの料理も短冊や織姫・彦星にちなんだものに。
まぜちらし・天の川スープ・七夕ポンチの献立。スープにはオクラとにんじんの星が、ポンチには、ゼリーの星を混ぜ込んでいます。
◆9月 「重陽(ちょうよう)の節句」(9日)
季節の花にちなんで菊づくし
9月9日は五節句の一つである重陽の節句。菊の節句とも呼ばれます。季節の花でもあることから、「菊花ごはん」や「菊花和え」など、菊を使ったお料理を考えました。
◆10月「十五夜」(旧暦8月15日)「十三夜」(旧暦9月13日)「レモンの日」(5日)「目の愛護デー」(10日)
月を愛でる行事に季節の恵みを取り入れて
中国から伝わった「十五夜」に対して、満月ではなく少しかけたお月様を愛でるという日本独特のお月見が「十三夜」です。十五夜は「芋名月」、十三夜は「栗名月」とも呼ばれているので、十五夜には「いものこじる」「お月見だんご」などを、十三夜には栗の入った「吹き寄せごはん」を作りました。吹き寄せとは、色とりどりの落ち葉が、風に吹き寄せられた様を言うのだそうです。
※年によって「十五夜」は9月、「十三夜」は11月になることもある
里芋と秋野菜のすまし汁にデザートはお月見だんご。
◆11月「音楽会」「展覧会」「十日夜」(旧暦10月10日)「いい歯の日」(8日)
音符ゼリーで給食室から子どもたちにエール
行事の精選で、展覧会や音楽会が1年ごとに開催される学校も増えてきましたが、秋は文化的行事が多くなります。給食室では行事を見ることができませんが、応援メッセージをこめて、デザートに音符の「♪」マークのデコレーションを施したりしました。子どもたちは大喜びしてくれました。
※「十日夜」は、収穫が終わった後、田の神様が山に帰るのを見送る行事。東日本で多く行なわれている。
夕焼け音ゼリー
◆12月「冬至」(22日前後)「クリスマス」(25日)
12月最後の給食にはクリスマスメニューが登場
冬至といえば「かぼちゃ」ということで、「かぼちゃのほうとう」が定番となっていました。また、12月最後の給食は、クリスマス風の献立を考えることも。
調理師さんのアイデアで、校長先生がサンタさんになってデザートを届けるなんてこともありました。
◆1月「七草」(7日)「鏡開き」(11日)「小正月」(15日)「給食週間」(24〜30日)
七草がゆにはひと手間加えて食べやすく
1月はお正月に始まって行事が多い月。「七草がゆ」は子どもには食べにくいようなので、肉そぼろを添えたり、「七草すいとん」にしたりと、少し工夫が必要でした。「鏡開き」には、お餅の代わりに白玉を使ったぜんざい、「小正月」では、小豆を使った小豆めしを出していました。
◆2月「節分」(3日)「初午」(2016年は6日)
節分の風習にちなんだイワシ料理
節分には、豆まきと「イワシの頭も信心から」のことわざにちなんでイワシ料理と大豆を使った料理を出しました。初午は、その年初めての稲荷神社の縁日のこと。お稲荷さんのお使いのキツネにちなんで、好物の油揚げを使った料理を作りました。
◆3月「ひなまつり(桃の節句)」(3日) 「卒業祝い」
給食室からのお祝い代わりの卒業メニューも
桃の節句にちなんで、桃の缶詰を使ったデザートやうしお汁、ちらし寿司など出すことが多いようです。昔は、ひし餅をイメージして、三色ゼリーにチャレンジしたこともありました。そして、もうすぐ卒業式ということで、お祝い献立を年度最後の給食の日に合わせて出す学校もあります。
このように、それぞれの学校でも日本の伝統行事に合わせた献立や、学校行事に合わせた献立、記念日などにちなんだ料理を工夫しながら給食に出しています。
毎日の給食に興味を持ってもらうこと、そして、代々培われてきた日本の四季折々の味を子どもたちに伝えるために、これからも「行事食」の献立は作り続けられていくでしょう。
次回は「給食甲子園」について取り上げます。
プロフィール
栄養教諭・給食の専門家がつくる同名の学校給食サイトを運営するメンバー。3名全員が学校栄養職員として東京都の公立小・中学校に勤務した経験を持つ。サイトは、給食作りについての情報や意見の交換、悩み相談やレシピ公開など、内容も多岐に渡り、学校給食関係者から高い支持を得ている。
「おkayu」 http://www.okayu.biz/index.php?FrontPage