杉江松恋
1968年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。文芸評論家、書評家、作家。わが子が小学4~6年生の3年間PTA会長を務め、そのときの体験をまとめた『ある日うっかりPTA』(KADOKAWA)を2017年に上梓する。集団行動が苦手なヒゲで巨漢の著者が、PTAの組織に飛び込み感じたこととは…。作家ならではの客観的な視点と、細微に及ぶ下調べでPTAについてレポートしている。
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学校・まなび
小学1年生 2018年4月10日の記事
わが子の小学校入学と同時に、多くの保護者が加入することになるPTA。「PTAって何のためにあるの?」「どんな役職があるの?」といった基本的なところを聞いた前編に続いて、後編では「一年生のうちにやるなら、どの委員がオススメ?」「平日の集まりが多いって本当?」「PTAへの上手な関わり方は?」などの実践的なところを、『ある日うっかりPTA』の著者・杉江松恋さんに聞いてみたいと思います。
前編で、PTAは以下のような組織だと伺いました。上にお子さんがいない“新米一年生ママ”がPTA活動に参加しようと思った場合、どの委員会がオススメでしょうか?
<PTAの一般的な組織> ※学校ごとに異なる
・執行部(運営役員とも呼ばれる)(会長、副会長、会計、書記)
・各委員会(~部と表記する学校もある。例…校外部、広報部など)
―学級委員会 … クラスへの情報伝達や、保護者会後の茶話会の準備を担当
―校外活動委員会 … 通学路の安全パトロールや地域との連携を担当
―広報委員会 … 『PTAだより』などと呼ばれるお便りの制作・発行を担当
―家庭教育研究委員会 … 保護者勉強会の主催を担当
―体育保健委員会 … 運動会の準備や運営補助を担当
―給食委員会 … 給食試食会の主催を担当
―役員推薦委員会 … 時期役員選出の準備を担当
・一般会員
「学校によって組織や名称に違いがありますが、だいたいどこの学校にもあるのが『校外活動委員会』と『広報委員会』です。そしてまさにこの2つはPTAに積極参加したいと思っている新米ママにはオススメの委員会と言えます。
学校によって5~10ある委員会は、2種類に分けることができると思います。一つが、実際に手足を動かす活動の多い“専門性の強い”委員会です。前出の2つの委員会や、体育保健委員会、給食委員会などがそれに当たります。もう一つが“調整力が必要な”委員会です。役員推薦委員会や学級委員会、執行部(運営役員)がそうですね。
“調整力が必要な”委員会は、たくさんの保護者の意向を汲んだり、各所と調整して日程を組んだり、文字通り“調整力”がとても求められます。なので、まだ学校について、そして他の保護者の方についてあまり情報のない新米ママには、ちょっと荷が重いかもしれません。
対して“専門性の強い”委員会は、実際に通学路沿いの家を周って防犯協力をお願いしたり(校外活動委員会)、ワープロソフトを使ってお便りを作成したり(広報委員会)と、手足を使った実務が多いので、『あまり学校のことが分からないけど…』という方でも活躍できる委員会と言えるでしょう」(杉江さん)
よく「平日の昼間から集まりがあるなんて、とうてい参加できない…」というPTAへの不満を聞きますが、やはり集まりは平日が多いのでしょうか。
「役職や、委員会の特色にもよります。執行部になると学校側との調整があったり、学校でしかできない仕事も多いので平日の日中に学校へ行くことは多いです。各クラスの学級委員や、それぞれの委員会の委員長も、情報共有の集まり(運営委員会などと呼ぶ)のために、月1回は集まるという学校が多いのではないでしょうか。
ちなみに『運営委員会』が平日の日中にある理由は、ずばりPTA会員である“教職員”が参加する集まりだからです。平日の夜や土日の開催になると、先生方に時間外勤務を強いることになりますよね。なので、授業の合間や放課後の早い時間など、先生の勤務時間内にやる学校が多いわけです。
ただ、それぞれの委員会ごとの集まりは、先生の立ち会いを必要としないことが多いので、働いている保護者も参加しやすい時間帯にやるところも増えているようです。その場合学校は使えないので、誰かの自宅や、近隣のファミリーレストランなどで集まっているようですね。
また集まり自体も最初の顔合わせだけで、あとはSNSのグループチャットなどを活用して情報共有するなど、必要最小限に抑えるところも増えているようです。
いずれも学校によってまちまちなので、どの委員会がどんなやり方をしているのか、上の学年の先輩ママに聞いたり、一年生のうちは様子見をして2年生から本格的にPTAに参加するなどして、自分に合った役職を探ってみてください」(同)
前後編でお話しを伺って、PTAへの参加のしかたには「一般会員としてできることを協力する(防犯パトロールなど)」、「委員会に所属して実務を担う」、「各委員長や学級委員、執行部としてまとめ役を買って出る」の3種類あることが分かりました。
では、実際にPTA活動にあたるとき、どんな心構えで参加したらいいのでしょうか?
「私が一番言いたいのは『自分のために参加しよう』ということです。『子どもたちが楽しく安全に、学校生活を送るためのサポート』というのはPTA活動の前提ですが、『学校についてもっと知ることができる』、『地域とつながりを持てる』、『ママ友と情報交換できる』などは、お母さん自身にとってのメリットと言えます。自分自身にとってメリットがあると感じられると、積極的に楽しく参加できるのではないでしょうか。
実際に『子どもたちのために!』という熱意で参加される方もいれば、『つながりを持ちたい』という理由で参加される方も多いように感じます。
子どものトラブルや台風などの災害を考えたとき、できるだけ多くの命綱を持っておきたいのはみんな一緒ですよね。その命綱の一本としてPTA活動を考えるといいと思います。
そういう意味では、サッカーや野球などのスポーツ少年団の集まりや、学童の父母会なども命綱の一つですよね。PTAが肌に合わない、参加が難しいという方は、そうしたPTA以外の活動に参加するのでもいいのではないでしょうか」(同)
杉江さんいわく「たくさんの人が関わるPTAでは、気の合う・合わないや、人間関係のトラブルもあるのが正直なところ」とのこと。同じ委員が気の合う人かどうかは運任せのところもありますが、事前リサーチできるものはリサーチして、自分が楽しめる、無理のない関わり方を探せるといいですね。
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1968年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。文芸評論家、書評家、作家。わが子が小学4~6年生の3年間PTA会長を務め、そのときの体験をまとめた『ある日うっかりPTA』(KADOKAWA)を2017年に上梓する。集団行動が苦手なヒゲで巨漢の著者が、PTAの組織に飛び込み感じたこととは…。作家ならではの客観的な視点と、細微に及ぶ下調べでPTAについてレポートしている。
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