田宮由美
子ども能力開花くらぶ 代表
小学校教諭・幼稚園教諭・保育士
日本交流分析協会 子育ち支援士
公立幼稚園・小学校での勤務を経て、現在に至る。幼児教室での指導や、小児病棟慰問、子どもの声を聴く公的ボランテイアにも携わり、多方面から多くの親子に関わる。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評があり、現在は執筆を中心に、テレビコメント、講演など幅広く活動中。
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)
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学校・まなび
小学1年生 2018年4月5日の記事
子どもを学童保育に預けて働くママは、帰宅後にじっくり宿題と向き合う時間も少ないため、学習面で心配を抱えることも多いよう。学童保育で宿題を終わらせてくることもあると聞くけれど、家庭ではどうフォローすればいいの? 子育ち支援士の田宮由美さんにお話をうかがいました。
一般に、学童保育(※)では宿題をどのように見てくれるのでしょうか?
「学童保育には、宿題をする時間があります。でも、学童保育は“遊びと生活の場”とされているので、勉強を教えてもらえる場ではないんです。ただ、おうちの方から『学童で宿題をさせて欲しい』という希望があれば、運営形態や地域によってさまざまですが、指導員(職員)さんが子どもに『宿題をしよう』と声かけをしてくれる場合もあるでしょう」(田宮さん)
学童保育は、放課後、子どもが安全に過ごせるように見守ってくれる場所。宿題につまずいて困っている子どもに、指導員さんがアドバイスしてくれるケースもありますが、基本的に勉強は教えないことになっているそうです。
「家庭によっては『家で宿題を見たい』という希望もありますよね。ある親御さんは、『宿題を家で見たい』という考え方で、学童保育の宿題タイムは日記を書く時間にしてもらったそうです。宿題の内容や量も担任の先生によって違うので、小学校生活がはじまったら様子を見ながら、宿題を学童保育でするのか、家でするのかを決めて、指導員さんに伝えるのがよいかもしれません」(同)
ただし、宿題タイムへの考え方や取り組みは、学童によってさまざま。お子さんが通う学童はどうか、先輩ママに尋ねたり、調べたりしておくとより確実ですね。
※厚生労働省の所管の公的な学童保育(放課後児童クラブ)の場合。学習塾など民間企業が運営する学童サービスでは、宿題を教える場合があります。
前述のとおり、学童保育では子どもに宿題を強制しません。親が「学童で宿題を終わらせてきて」と言っても、遊びに夢中になったり、気分がのらなかったりする日は、宿題をやってこないこともあるそうです。
「『学童で宿題を済ませているだろうから、親は見なくても大丈夫』と考えずに、家に帰ってから『今日はどんな宿題が出たの?』『わからなかったところはある?』など子どもに聞いて、親もその日の宿題を確認するようにしましょう」(同)
では、帰宅後、どんなタイミングで宿題をチェックするといいでしょうか?
「慣れない学校&学童生活で疲れている1年生。夕食後はどうしても眠くなりやすいので、できれば夕食前に宿題をチェックできるといいですね。帰ったら子どもに宿題のプリントやノートを出してもらい、宿題を終えているか確認します。残っていれば、夕食の準備をしながら宿題を見守り、夕食前にいっしょに見直すといいでしょう」(同)
そのとき、子どもの気が散ってしまわないように、テレビは消して、おもちゃやゲームはしまっておいたほうがよいそうです。
家で宿題を見直すときは、どんなことに気を付ければいいでしょうか?
「例えば、ひらがなの書き取りをチェックするとき、『字が汚い』『トメ・ハネができていない』など、気になるところが出てくるかもしれません。でも、叱ってしまうと子どもは宿題が嫌になってしまいます。
小学1年生は宿題を習慣化することが大切。まずは『宿題したね~!』『書けたね!』などと、大げさにほめてあげましょう」(同)
ほめられることで子どもの意欲がアップして、宿題を習慣化しやすくなるといいます。
「直したいところがあれば、『“い”は上手に書けているね。次はもう一度“え”を書いてみよう』など、ほめてから促すと、子どもはやる気になりますよ」(同)
小学1年生の宿題は、ひらがなや漢字の書き取り、計算のプリント、音読がよく出ます。その中でも特に、家庭で重視して見たほうがいいのは、どの宿題でしょうか?
「書き取りやプリントは学童保育の宿題タイムに終わらせて、できれば音読は、家庭でやることをおすすめします。音読が上手な子は、勉強が得意になっていくことが多いんですよ。
最初は“一文字一文字”を読んでいた子どもも、音読を繰り返すことによって“文節”で読めるようになり、“文章”の内容を理解できるようになります。音読の力は、国語だけではなく、算数の文章問題、社会、理科など全ての教科に必要な読解力につながるのです」(同)
時間に余裕がないときは、家事をしながら聞くのでもよいのでしょうか?
「音読は、子どもと向き合って座り、聞いてあげるのが理想ですが、仕事を持っているママは、その時間を取るのが困難なことも多いでしょう。その場合は、夕食の準備をしながら、洗濯物をたたみながらなど、家事をしながら聞いてもよいと思います。そのとき、大きな声で読めているか、読めない漢字はないかなど、意識しながら聞いてあげましょう」(同)
音読を学童で済ませてきてもいいのでしょうか?
「子どもに『学童で音読した?』と聞いて、音読カードにお家の方のサインをする家庭もあるようです。ただ、学童では静かに宿題をしている子もいて、大きな声で音読するのが難しい場合も。お伝えしたように、できれば音読の宿題だけは、家事をしながらでもいいので、おうちで聞いてあげられるといいですね。」(同)
「学年×10分」が宿題の時間のめやすと聞きますが、親がつきっきりで見ないといけないのでしょうか。
「つきっきりで毎回見るのは大変です。入学したばかりで宿題のやり方が分からないはじめの頃は、最初から最後まで見てあげましょう。慣れてきたら、『わからないところがあったら、お母さんに言ってね』と伝え、家事をしながら見守り、終わったらチェックすれば大丈夫です」(同)
子どもがつまずいているところも、平日は余裕がなくてじっくり教えてあげられない場合があるかもしれません。そんな時には、どうすればいいのでしょうか?
「書き間違えやすい文字、読めない漢字、計算の間違いなど、気になるところをチェックしておき、休日にまとめて教えてあげるとよいと思います。また、その際に子どもに授業のノートを見せてもらうと、どんなことを学んでいるかがわかります。それを見て、『わからないところはない?』と聞いたり、先生のマルつけやコメントを見たりして、つまずいていることはないか確認するといいかもしれません」(同)
「お母さんが宿題を見てくれたり、学校で学んでいることに関心を持ってくれたりすると、子どもの学習の意欲がアップします」と田宮さん。平日に余裕がなければ、休日に子どもとじっくり向き合って家庭学習をする時間をつくってもいいですね。
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著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)
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