大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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生活・しつけ
年長 2017年11月28日の記事
もうすぐ12月。来年の入学へのカウントダウンがはじまりますね。年長さんの中には、もうすっかり文字を読めるようになった子、まだまだ練習中の子、いろんなお子さんがいると思います。あらためて親子でこんな本を読むと「字が読めるって、楽しい!」と思えるのではないでしょうか。2冊ご紹介します。
『へっちゃらトーマス』(パット・ハッチンス文・絵、小宮由訳)は、これまで一度も字をおぼえようとしたことがない男の子、トーマスのお話です。先生が「字をおぼえなさい」と言っても…「かんけいないね」。「ペンキぬりたて」の立て札が読めずに、頭からペンキをかぶることになっても…「かんけいないね」。デパートの扉の「ひく」が読めずに逆に押してしまって、扉の前のお客さんたちをひっくり返してしまっても…「かんけいないね」。
とにかく「かんけいないね」の一言なんです! みんなは当然、「字がよめんのか!」とか、トイレから出てきた女の人も「男と女の字もよめないの!」と言って怒ります。字をおぼえたがらないトーマスが巻き起こす珍騒動。くすっと笑っちゃうようなやりとりが続きますが、とうとう交通標識を読めないばかりに、トーマスが交通事故の原因になり、警察につかまってしまいます! さあ、トーマスは字をおぼえる気になるのでしょうか…?
『ティッチ』や『ロージーのおさんぽ』などがロングセラーとなって長年愛されているアメリカの作家、パット・ハッチンスの絵童話です。まさか字が読めないためにこんなことまで起きないでしょ!?と言いたくなるのですが、パット・ハッチンスらしい茶目っ気や、吹き出しのせりふ、独特の色彩からおしゃれな風刺絵のような雰囲気が漂います。気になるのは、最後に「だれが」牢屋のトーマスに字を教えたかということなんですが…。答えは、ぜひ本を読んでみてくださいね!
読み聞かせはもちろん、はじめての1人読みにもぴったりの、ユーモラスな絵童話です。最後には、字が読めるようになって、ちょっぴり人生がかわったトーマスの姿も描かれていますよ。
次は、大人気の「11ぴきのねこ」シリーズの中から『11ぴきのねこ ふくろのなか』(馬場のぼる作)をご紹介します。
いつものようにとらねこたいしょうを先頭に、11ぴきのねこが元気よく出かけます。どこへって? きょうは遠足だそうです。空は晴れていい天気。一列に並んで歩いて行くと、お花畑に立て札が立っていました。「わあー、きれい」「はながいっぱい」「たてふだがたってるよ」「は、な、を、と、る、な……」。
おやおや、次へページをめくると目に飛び込んでくるのは、お花畑で花をとるねこたち! 立て札の文字が読めても、「ひとつだけひとつだけ」とみんなで花をとってしまえば、立て札の意味がありませんよね。
ねこたちはこの調子で「きけん!はしをわたるな」という橋をわたり、「ふくろにはいるな」と書いてある大きな袋に入ってしまいます。そこに、ウヒアハという化け物があらわれて、袋をかついでいってしまったから、たいへん! まったく、ねこたちったら…。せっかく立て札が読めたのに。
でも、そこはさすがに11ぴきのねこ。持ち前の知恵と団結力で…? さあ、ねこたちがどうなったのか、立て札の効果はあったのか、読んでみてくださいね。本書は1982年に刊行された絵本なので、子どもの頃に読んでいるママもいらっしゃるのではないでしょうか。ママとなった今、昔とはちがった視点で読むと、また新しい面白さを親子であじわえるかもしれませんよ。
2冊とも、文字が読めるか読めないかで、だいぶ運命が変わってくるお話。でももちろん、文字を読めたからといって、そのあとどう行動するかは本人次第!というユーモアや示唆にも富んでいます。文字を覚えたての年長さんには刺激的ですが、「やっぱり、文字が読めるって楽しい!」と思ってもらえたらいいですね。
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