塩谷 京子(しおや きょうこ)先生
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年10月13日の記事
子ども同士のトラブルは、人付き合いを学ぶための大切な経験だということが前回のお話でわかりました。
今回は、友達とのちょっとしたトラブルを大きなトラブルに発展させないための、家庭でできる回避法について、引き続き元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきます。
小さなトラブルから予期せぬ大きなトラブルに発展してしまうこともあるかと思います。何か家庭でできる回避法などはありますか?
「直接トラブルを回避しようと考えるのではなく、大きなトラブルに発展しないような根底を家庭内で作っておくといいと思います。そのための方法が3つあります」(塩谷先生)
「学校で何か嫌なことがあったとき、子どもは何かしらのサインを発します。『ただいま』の言い方が普段と違う、帰宅後いつもと違った過ごし方をしている、食欲がないなど、『あれ? いつもと違うな』と気づくはずです。小1くらいの年齢であれば、嫌な気持ちを心の中にとどめておけるほど、まだ大きくはありません。そのサインに気づいたら、サインを『キャッチしたよ』という親の行動を決めておきましょう。これがひとつめの回避法です。
たとえば、『ただいま』の言い方がいつもと違ったな、何かあったんだなと感じたら、『おかえり』と玄関まで出て迎える、スキンシップを多めにとるなど。そして、サインに気づいたら、いつも同じ行動をするのです。子どもは、自分の発したサインが親に届いたことがわかると安心しますし、行動がパターン化されていると今後もサインを出しやすくなります」(同)
ただし、サインをキャッチしても、『なにかあったの?』とすぐには聞かないことが大切だと塩谷先生。少し時間をおいて、子どもと二人だけで話す機会を作るのがよいそうです。
「『ママと一緒にお風呂に入ろうか』『ちょっとお料理を手伝って』などと声をかけ、きょうだいもいない二人だけで話せる時間を作ると、子どもはゆっくり話をしてくれますよ」(同)
二つ目は、子どもに話を聞くときの質問の仕方にコツがあるそうです。「なんで?」「どうして?」と詰問調に聞くことはNGとのこと。
「いざ、子どもと二人の時間ができても、質問の仕方次第では子どもの本心が聞けないことがあります。まだ語彙数も少ないので、思っていることをうまく口にできない子がほとんど。また、結論しか言えない子も多いものです。けれど、プロセスを聞かなくては、トラブルの全容は見えてきませんよね。時間を追って聞いていくのが一番です。
『嫌な思いはいつから続いてる?』『今日の朝? 昨日のこと?』『学校で? それとも帰り道?』などというように、時間と場所、そして誰との出来事かを具体的に質問していきましょう。『はい』か『いいえ』で答えられるような質問がポイントです。ある程度聞いていくと、◯◯が原因かな?と思い当たることが出てくるはずです」(同)
「最後の予防法は、読み聞かせです。絵本を読むことで、子どもはさまざまな擬似体験ができます。友達同士のトラブルを題材にした絵本がたくさんありますので、そんな本をチョイスして読み聞かせすることで、ストレートに教えなくても、絵本を通じて友達との接し方を学べることがあります」(同)
具体的には、どのような絵本がありますか? おすすめの作品があれば教えてください。
「仲良しの友達と大喧嘩した男の子が主人公の話『けんかのきもち』(柴田愛子・作/伊藤秀男・絵/ポプラ社・刊)や、隣の席の子とケンカをしたから学校へ行きたくない女の子の話『となりのせきのますだくん』(武田美穂・作絵/ポプラ社・刊)など、図書館に行くとたくさんの絵本がありますよ。公共図書館にあるレファレンスというコーナーに行けば、いろいろと教えてもらえます」(同)
できれば避けたい友達とのトラブル。でも、家庭内でしっかりと受け止める根底ができていれば、どんなトラブルが起こっても恐れず乗り越えていけそうです。ちなみに、同じくらいの年齢の子と一緒に遊ぶ機会が多いほど、その輪の中で自然と小さなトラブルを経験し、学習していくことができます。親戚やいとこ、同じ習い事をしている子など、学校の外でも同年代の子どもと遊ぶ機会を積極的に作っておくといいそうですよ。友達とたくさんぶつかって仲直りして、共に成長していけるといいですね。
(取材・執筆:水谷映美)
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現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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