塩谷 京子(しおや きょうこ)先生
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年10月12日の記事
小学生になると、保育園や幼稚園と違い、休み時間や放課後など子どもたちだけで過ごす時間が増えてきます。先生や親の目が行き届かない分、ケンカなどのトラブルも増えてくるもの。そこで、友達同士で起こるトラブルの主な原因と親ができるサポート法について、元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
親としては、子どもが友だちとケンカしたり何かトラブルを起こしたりして帰ってくると、心配になってしまいます。けれど「小1くらいの子どもの場合、トラブルをたくさん経験しておくことが大切です」と塩谷先生。
「まず、友達とのトラブルが起こりやすいシーンを考えてみましょう。学校でいえば休み時間や登下校の間、帰宅後であれば、子ども同士で公園などに遊びに行った先で起こります。つまり、先生や親など大人の目が届かないときに生じることがほとんどなのです。大人から管理されていないフリーな時間に、友達との『遊び』を通じてトラブルが起こる。裏を返せば、友達と接したり遊んだりしないと、トラブルは起こらないということです。子どもが誰かとトラブルを起こしたといって、あまり気に病む必要はありません。むしろ、何のトラブルも起こらない子の方が少し心配です」(塩谷先生)
友達とのトラブルがあることは悪いことではなく、成長していく上で必要な経験なのですね。
「子どもは、小さなトラブルを通して、友達との仲直りの方法を覚えていきます。ケンカした後、どうしたらまた一緒に遊べるか、子ども自身が経験して学んでいくのです。また、『この領域まで入り込んではいけない』といった、自分と他人との人付き合いの距離感を学んでいく良い機会でもあります。小さなトラブルを経験していないと、後々になっていきなり大きなトラブルを生じさせることにもなりかねません」(同)
トラブルにはさまざまな要素がありますが、塩谷先生いわく、大きくわけて次の4つの原因にわけられるのだそう。
①物
貸した物を返してくれない、他人の物を欲しがる、自分の持ち物を自慢する、など
「物が原因で起こるトラブルはとても多いです。たとえば、折り紙で遊ぶときなど、子どもは箱ごと友達の家に持っていくことがあるため、友達同士で『1枚交換しよう』と交換会になるケースは珍しくありませんよね。自分の消しゴムを使わず、いつも私の物を使われて困る、という話もよく聞きます。はじめは些細なことでも、それが常習化したり大きな揉め事に発展したりすることがあるため、少し注意が必要です」(同)
②言葉
傷つくことを言われた、など
「相手を傷つける言葉には、『バカ』などストレートな悪口、性格的なことに対する悪口、身体的外見に対する悪口の3種類があります。単にふざけて言ってしまう場合もあれば、何か嫌なことをされて悪口を言う場合などさまざまですが、自分が放った言葉で相手がどう傷つくか、子どもにはまだわかりません。『相手の気持ちになって考えてごらん』は、低学年には難しいことなのです。また、アニメやテレビ番組などの影響も大きいです」(同)
③順番・役割
いつも自分が最後になる、◯◯ごっこをするといつも同じ役しかやらせてもらえない、遊具などで遊ぶときに順番を守らない、など
「子どもたちは『ごっこ遊び』をよくするので、みんながやりたい人気の役を誰がやるかでトラブルになることはよくあります。また、鬼ごっこでいつも鬼をさせられるなど、嫌な役ばかり押しつけられるケースも多いです」(同)
④ルール・約束
遊ぶ約束をしたのに違う子と遊んでいる、約束したことを守ってくれない、など
「子どもは『今』しか興味がなく、先のことは考えられません。『明日一緒に遊ぼうね』『次は◯◯をして遊ぼう』などと約束をしても忘れてしまうことが多いので、言った言わないといった類のトラブルもよく起こります」(同)
では、トラブルが起こったとき、親としてどのように対応していけばいいでしょうか。
「先ほどお話したトラブルの原因を見極めることです。とはいえ、1つ1つ対策を考えるのは得策ではありません。4つの原因、それぞれが関わって起こっていたり、原因が2つにまたがってトラブルに発展していたりすることも往々にしてあります。
まずは、子どもに順を追って話を聞いてみましょう。また、わが子の特徴から原因を推測することもひとつの手ですね。外遊びが好き、少人数で遊ぶのが好き、こういうことを言われると気にする、気にしないなど、子どもの特徴や性格をよく知っておくことが大切です」(同)
そのうえで、どのように子どもに解決法をアドバイスしたらいいでしょうか?
「小さな子どものトラブル解決策は『次に遊ぶきっかけをどう作るか』、これに尽きます。ケンカした相手とまた一緒に遊べれば、それで解決になるのです。サッカーや鬼ごっこなど外遊びの場合は、ケンカ後でも自然と一緒に同じ遊びをしやすいですが、室内遊びの場合は何かきっかけが必要なことが多いです。『さっきはごめんね、って言ってみようか』など、ケンカした相手とまた一緒に遊ぶための声掛けや接し方などをアドバイスしてあげられるといいですね」(同)
数々のトラブルを経験し、仲直りの方法を見つけていくことで、子どもは人との関わり方を学んでいきます。遊びの中で生じる小さなトラブルは、子どもにとって必要不可欠なことなのですね。次回は、家庭でできるトラブル回避法について、引き続き塩谷先生にお話を伺います。
(取材・執筆:水谷映美)
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塩谷 京子(しおや きょうこ)先生
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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