藤咲ちとせ
大手エンタメ情報誌の映画担当を経てフリーランスのエンタメライターに。2003年、2007年に女児を出産した後、日本初の子どものための映画サイト「こども映画プラス」の立ち上げに関わる。長女が年少の頃から10年以上映画館、テレビ、DVDなどで子どもと映画を鑑賞しながら、“親子の映画の楽しみ方”“映画で子どもの好奇心や知識、語彙力、コミュニケーション力がどのように育つのか”を研究し続けている。
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週末・その他
年長 2017年5月9日の記事
年長くらいから、テレビ番組や映画などの理解力が高まったり、長いストーリーでも集中して最後まで見られるようになったりする子が徐々に増えてきます。
特に映画は、これまでは子ども向けのアニメ映画ばかりだったのに、大人も楽しめる作品を親と一緒に見られるようになり、見たあとで一緒に感想を言い合う、なんてこともできるようになります。
そこで、この連載では、年長児が親子で楽しめる映画をピックアップし、その見どころをご紹介していきます。
第1回は90年代に日本でも大ヒットしたスウェーデン映画「ロッタちゃん はじめてのおつかい」です。
『長くつ下のピッピ』で有名なアストリッド・リンドグレーンの児童文学を映画化した作品です。スウェーデンの小さな田舎町を舞台に、5歳のロッタちゃんが起こす騒動や日常をほのぼのと描いています。
チクチクするからこんな洋服着たくない! ママが私の言うことをきいてくれない! 朝から不満だらけのロッタちゃんは家出を決行。隣のおばあちゃんの物置で暮らし始めます。
ママやパパ、お兄ちゃんやお姉ちゃんが声をかけても「あたしは一生ここに住むんだから!」と意固地になるばかりで……。
気に入らないセーターをハサミでじょきじょき切ってしまったり、思い通りにならなくてキーーーッと叫んだり。ロッタちゃんの行動は、年長さんの5歳児「あるある」だらけで、自分の子どもに重ねて苦笑いしてしまうママも多いのでは?
でも子どもの行動は世界どこでも同じなんだな、どこのお宅でも一緒だな、とちょっと安心(笑)。そして“子どもの不機嫌”にも、その子なりの理由があるんですよね。
そんなやりたい放題の5歳児ロッタちゃんを取り巻くおとなたちのおおらかなこと! お父さんもお母さんもむやみに怒ったりしません。
隣のおばあちゃんも、騒音レベルのロッタちゃんの叫び声も「あらロッタちゃんがまたお腹をこわしたのね」と“いつものBGM”のように聞き流し、家出をしてきたロッタちゃんをやさしく受け入れてくれます。町のおとなたちがみんなで子どもたちを見守っているのです。
昔の日本にもあったはずの子どもを取り巻く社会のあたたかさ。
子どもの声が騒音と言われたり、ひとりで遊びにいってはダメ、知っている人でもついていっちゃダメ、と言わなければいけない今の日本を考えると、こんな風に子どもを育てやすい環境なら、安心して子供を何人でも育てられるのにな……なんて思ってしまいます。
「あたしは何でもできるんだから!」と、怒るだけでなく自分であれこれ考え行動し、いろんなことに挑戦するロッタちゃん。根拠のない自信に満ちあふれています。
子どもにとって、この“根拠のない自信”はとっても大事なのではないでしょうか。自己肯定感が高いと言えるかもしれません。
思いつきを次々行動に移したり、小さな冒険を繰り返すロッタちゃんの姿には、子どもらしさを伸ばすために大事なことがいっぱい詰まっているような気がしてなりません。
子どもは自分と同じ年頃の子どもが登場すると、非常に関心を持ちます。この映画は86分と短いですし、ドラえもんやプリキュア映画が楽しめているならOK。
「見て見て! ロッタちゃんがあんなことしてるよ!」「〇〇ちゃんもこういうとこあるよね」なんて会話しながら楽しんでみてください。
お話が理解できる子なら、じゅうぶん一緒に鑑賞できると思いますが、もし飽きちゃっても大丈夫。
子どもが成長してから、印象に残ったシーンを「この映画ママと一緒に観たことある」と思い出すこともあるので、気負わずママが観たいと思った映画を一緒に楽しんでみてください。
<データ>
1993年/86分(1時間26分)/スウェーデン/監督:ヨハンナ・ハルド 主演:グレテ・ハヴネショルド
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