新保元康先生
札幌市立屯田小学校 校長。
北海道教育大学札幌分校卒業。札幌市立小学校教諭、北海道教育大学附属札幌小学校教諭を経て、現職。文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」事業推進委員(2017~)の他、北海道社会科教育連盟委員長等を務める。
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
学校・まなび
小学1年生 2018年5月7日の記事
一番上の子どもが小学校1年生になると、親も初めてのことばかり経験することになります。家庭訪問も、そのひとつ。先生が自宅に来るという初のイベントに、保護者としてさまざまな疑問が湧いてきます。そんな家庭訪問に関する素朴な疑問を、札幌市立屯田小学校の新保元康校長先生に聞いてきました。
学校での面談ではなく、先生がわざわざ家庭を回る家庭訪問。そもそも、どんな意味があるのでしょうか?
「家庭訪問は、年度の初めに行われます。これは、担任が保護者の皆さんに『1年間よろしくお願いします』というご挨拶に伺う意味合いが大きいのです。『保護者と担任で信頼関係を築くための第一歩』と言ってもいいでしょう」(新保先生)
さらには、学校として次のような目的もあります。
1.児童の自宅位置を確認する
2.登下校の通学路に危険がないかを確認する
3.児童の健康面や友人関係等での大事な配慮事項を教えてもらう
4.保護者が感じている児童のよさを教えてもらう
5.保護者の学校への要望を伺う
6.家庭環境を把握する
4や5は学校での面談でもよさそうな内容ですが、1~6をすべてまかなうためには、家庭を見るのが一番なのでしょう。
また、「家庭訪問を1回しておくことで、お子さんのご自宅の位置がおおよそ担任の頭の中に入ります。この認識があると、いざというときに素早く家庭に伺えるなど、とても役に立つのです」(新保先生)とのこと。ひとりで登下校するのがまだ心配な新一年生こそ、先生に自宅のおおよその位置を把握しておいてもらえると安心できます。
近頃は、家庭訪問を実施しない学校も多いようです。なぜ、減ってきているのでしょうか?
「近年、共働きがどんどん増加しています。そのため、保護者が日中不在にしていることが大きな要因だと思います。短時間の家庭訪問のために仕事を休んだり、家を片付けたりしなくてはならず、昔よりも負担感が大きくなっているのです。加えて、担任の先生が男性だった場合に、ひとりで家庭に上がり込むことに違和感を覚える家庭もあると聞いています。こうしたことの配慮から、家庭訪問が減っているのではないでしょうか」(新保先生)
家庭訪問が減っているだけでなく、実施している学校でも「玄関先でいい」と先生の方から申し出があるなど、簡略化されているようです。
「リビングに上がらせていただくと大変充実したお話が伺えるのですが、どうしても滞在時間が延びてしまうため、『玄関先でいいですよ』とお願いすることが多いのです。
次の家庭にご迷惑をかけないため、というのはもちろん、昨今社会問題化している、教師の長時間勤務を是正する意味もあります。特に、年度初めの業務は膨大ですので、各家庭での滞在時間が長くなりすぎないようにしています」(新保先生)
通学路の確認や家庭の様子は、リビングまで上がらなくても、自宅の周りや玄関を見るだけである程度はつかめるそう。保護者の要望や配慮すべきことがらについて、ポイントを絞って話をすれば目的は十分達成できるため、玄関先で十分なのだとか。
遠慮しているわけではなく、時間短縮の意味が大きいのですね。
「玄関先で」と申し出がなければ、先生にリビングへ上がっていただくことになります。その場合、お茶やお茶菓子を準備しておきたくなりますが、1日に何軒もの家庭をまわる先生にとっては逆に迷惑なのかな…という気もしてしまいます。
「日本人の大事なおもてなしの心は、大変ありがたいことです」と前置きがあったうえで、新保先生は次のように答えます。
「今の時代では、お茶やお菓子の提供は、一切不要です。ぜひ、笑顔で担任をお迎えください。それで十分におもてなしの心は通じると思います」(新保先生)
お茶やお菓子のおもてなしより「笑顔」。さらには「玄関先でいい」と先生が言えば、その言葉に応じていいようです。
次回は、「兄弟が同席していい?」「どんなことを話せばいい?」といった、家庭訪問時の対応についてご紹介します。
(取材・執筆:栃尾江美)
関連記事はこちら
毎週木曜にメルマガ発信中!
ご登録はこちらから↓
新保元康先生
札幌市立屯田小学校 校長。
北海道教育大学札幌分校卒業。札幌市立小学校教諭、北海道教育大学附属札幌小学校教諭を経て、現職。文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」事業推進委員(2017~)の他、北海道社会科教育連盟委員長等を務める。
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。