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学校・まなび
小学1年生 2017年2月16日の記事
★「英語教育」「ICT授業」……大きく変わる小学校の授業《前編》[2017/2/16]
《いま、学校は〜現役教員舟山先生の小学校最新事情 10回》 2020年に、「英語」「プログラミング教育」が必修化されます
こんにちは、現役小学校教諭の舟山由美子です。
小学校の授業は、時代によって変化します。特にここ数年は、2020年度の学習指導要領の改訂などもあり、新たな活動が必修化されたり、新しい授業の方法が導入されてきています。そのなかでも今回は「英語」「プログラミング教育」と「ICT授業」ついて取り上げたいと思います。
●2018年から英語の必修化がスタート
英語の授業については、すでに2008年度から5、6年生の「外国語活動」として学習が始まり、2011年度には「必修化」されて現在に至ります。
5、6年生については週に1時間の学習ですが、品川区など一部の自治体では、1〜4年生も年間または月単位で英語の授業が行われており、ALT(=Assistant Language Teacher:外国語を母国語とする先生)とJLT(=Japanese Language Teacher:日本語を母国語とする先生)、担任とのTT(Team Teaching※)形式が採用されています。
「必修」ではありますが「教科」ではなく「外国語活動」という位置づけで、検定教科書も成績評価もありません。
2020年度からの新学習指導要領では、5、6年生は週に2時間、3、4年生は週に1時間の「教科」になるため、国語や算数と同じように教科書を使い、成績評価の対象になるということです。先行して2018年度から「教科化」が導入されるところもあるとも言われていますが、今のところ現場には、具体的なことは示されていません。
※チームティーチング。複数の教員が指導する方式のこと
●生徒一人ひとりがタブレットを使う「ICT授業」が浸透
必修化ということに関連して、2020年に必修化の方針が打ち出されているものに「プログラミング教育」があります。これは、「コンピュータを介して、自分が『こうしてみよう』と意図した一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、1つひとつの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか…などを論理的に考えていく力をはぐくむもの」とされていますが、まだ現場まで詳しい情報が下りてきていないというのが現状です。
「プログラミング」という独立した教科ができるのではなく、主に総合的な学習で実施され、どの教科や学年にするかは、各校に委ねられるようです。
これに先がけて徐々に広がっているのが「ICT授業」、つまり「情報コミュニケーション技術(Information and Communication Technology)」を使った授業のことです。
小学校の教室では、現在でも、多くの学校で電子黒板やデジタル教科書といったものを使用して授業を行っていますが、「ICT授業」は、主に教師と生徒一人ひとりがタブレットPCを使用する授業をさしています。
ICT活用のメリットとしては、「考えたことを目で見える形にする」「課題・考えを全員で共有する」「繰り返す」ことができることだと言われています。全員の考えをタブレットに入れたら、それを収集して先生がスクリーンに提示し、全員で見ることもできます。こうした特徴を活用したモデル校での実践も、多く紹介されています。
現在でも電子黒板やデジタル教科書を使った授業をしていると、動画などをすぐ流すことができます。子どもたちの反応を見ていると、こうしたツールを使う授業は現代の子どものスピード感に合うかもしれません。
●先生よりも子どものほうが早くおぼえる可能性も?
もちろん、課題もあります。
例えば英語の場合、5、6年生は、現在の1時間から2時間に増えるわけですが、1週間の授業時間数や、他教科の学習内容も減らさない方向で検討されているようなので、時間のやりくりが大変になると考えられます。
また、小学校の先生は、ほとんどが中・高の英語科教員免許をもっていません。実際の授業ではALTなどが配置されるとしても、どんな力を児童につけさせるのかなどは各担任が考えなくてはならないため、初めのうちは、先生はかなり苦労することになりそうです。
プログラミング教育は、PCを介した授業になりますが、現在ICT授業モデル校になっている学校の話を伺うと、タブレットの故障や不具合の対応に時間が割かれることもあるようなので、PCにも同じことが言えそうです。タブレットPCのたぐいは、大人よりも子どものほうが早く慣れるもの。先生の研修が追いつかないかもしれません。
次は、「英語」「プログラミング教育」の必修化が行われる背景についてお話ししたいと思います。