- トップページ >
- 学校・まなび >
- ★「英語教育」「ICT授業」……大きく変わる小学校の授業《後編》[2017/2/20]
学校・まなび
小学1年生 2017年2月20日の記事
★「英語教育」「ICT授業」……大きく変わる小学校の授業《後編》[2017/2/20]
《いま、学校は〜現役教員舟山先生の小学校最新事情 11回》 毎日の生活で身につけることも大切にしていきましょう
こんにちは、現役小学校教諭の舟山由美子です。
前回は、ここ数年で必修化されることになった「英語」「プログラミング教育」と教育現場で広がりつつある「ICT授業」についてお話ししました。今回は、こうしたなぜこうした新しい取組みが導入される背景についてご紹介します。
●ICTの活用は「主体的に学ぶ」ための有効な手段
英語については、早いうちから親しむことで、実際に英語を使ったコミュニケーションがスムーズにできることが期待されています。
また、プログラミング教育の必修化やICTが積極的に使用されるのは、2020年度に改訂される学習指導要領のキーワードとなる「アクティブラーニング」に備えてのことでしょう。
「アクティブラーニング」とは、これまでのように教師が一方的に教えるのではなく、生徒が能動的、主体的に参加して、仲間と深く考えながら課題に取り組む学習法です。ポイントは「主体的に学ぶ」「協働的に学ぶ」「深い学び」の3つです。この学習法にコンピュータの活用が有効だと考えられているのです。
ただ、こうした流れは、コンピュータありき、の考え方になってしまう危険性もあります。
よく、「わかりやすい授業を」と言われて、図形の展開図などをPC画面で示すと、子どもたちは、「わかった!」と言います。そこで、それを自分で再現させると、実はあまりよくわからない子も結構いるのです。つまり、一見してあまりにもわかりやすいものは、スーッと通り過ぎてしまって頭に残らない可能性もあると思います。
実物に触って、紙に書いてみて、何度も試行錯誤するなかで理解できる分野もまだ多いのではないでしょうか。デジタルが万能なのではなく、デジタルとアナログのよさを取り入れることが大切なのだと思います。もちろん、デジタルとアナログのよさをどのように授業に取り込み、展開できるかということは、私たち教員の課題でもあります。
●英語やコンピュータ技術を習得する前に必要なことも
英語やコンピュータを利用する学習の導入には「社会の要請」が強く表れているように感じます。プログラミング学習などは、AI(人工知能)が台頭する社会を見据えて取り入れられるのでしょうが、例えば、プログラミングをPCで行う前に、自分の調べ学習の新聞作りの課題を、どのような見通しをもって、どんな段取りで行うかがわからないと、単にPCをいじっておしまい……ということになってしまう可能性もあります。
また、日本語をきちんと読めて書けるということも大事だと思います。教科書がしっかり理解できないと、プログラムに求める機能の仕様書などもわからないことになると思います。
日本語の力が大切ということは、英語にも同じようなことが言えると思います。日本語がままならない子どもに英語を教えることの是非は、すでに専門家の間でも議論されています。
昨今では小学校の英語やプログラミング教育の必修化に呼応した早期教育なども増えているようですが、少なくとも低学年のうちは、学習の先取り以上に、日常生活で基本的なことをしっかりと身につけることが重要なのではないかと思います。
例えば、朝のしたくなど、身の回りのことを自分で行うことは、先の見通しを持って段取りを整える力を養うことにつながりますし、家族との豊かな会話は日本語の力を育みます。これには、家庭の力が欠かせません。
これからの時代に通用する技術や能力を身につけ、存分に活かしていくためにも、毎日の生活を大切に過ごす、ということを意識していただければと思います。
舟山先生の連載はこちら
毎週木曜にメルマガ発信中!
ご登録はこちらから↓