戸田 克(とだ まさる)
日本なわとび協会事務局長。現役の小学校教諭でもある。初任時から、なわとび・組体操の研究を始める。週末や休日を利用してなわとび教室での指導を行ったり、なわとびの大会を開催したりするなど精力的に活動している。なわとびや組体操の指導書などの著書も多い。
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
学校・まなび
小学1年生 2016年11月11日の記事
小学校でなわとびの授業が始まる季節ですね。「うちの子、なわとびがうまく跳べない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、現役の小学校教諭で、長年子どもになわとび指導を行っている日本なわとび協会の戸田 克さんに、なわとびが苦手な子への教え方をうかがいました。
●なわを回して跳ぶ、「調整力」がポイント
教えても、なかなかうまくなわとびが跳べないという子がいます。なぜ跳べないんでしょう。
戸田 「なわとびは、『なわを回す』『跳ぶ』という動作を『リズムを取りながら調整してなわを跳び越える』運動です。なわとびが苦手な子は、なわを回すだけ、跳ぶだけと、それぞれの動作ができていても、この2つのタイミングを合わせることができていないことが多いですね。
でもそれも経験の問題です。親から見るとうまく跳べていないようでも、本人が楽しく跳んでいることが一番重要。1年生の体育は、まずいろいろな動きを体験することが目的なので、跳べる、跳べないにこだわりすぎないようにしたいですね。
ただ、そうはいってもあまりにも跳べないので不安という場合は、お父さんやお母さんが一緒に遊びながらコツを教えていくといいでしょう。
あくまで遊びということで、子どもが主体的に楽しく跳ぶことが最優先。『できていないじゃない』とか『やっぱり跳べないのね』なんて、否定から入らないでくださいね」
「うちの子、跳べなくて」なんて、つい言ってしまいそうです。気をつけなくては。
●跳びやすいなわとびを用意
戸田 「ひとくちになわとびといっても、跳びやすいものとそうでないものがあります。できるだけ跳びやすいものを選んで与えましょう。
跳びやすいなわとびの条件は下の3つです。
・ビニール製
・縄が細めで軽いもの
・留め具で長さが調整できるもの
なわとびの長さも重要です。
なわを持って片足を一歩前に出し、つま先でなわを踏んでぴんと張ったとき、グリップが肩から脇の下あたりにくる長さに調整します。上達してきたら、さらに短くしましょう。なわが肩より長いと跳びにくくなります」
●親子で向かい合って、跳び方と跳ぶタイミングを練習
戸田 「なわとびの跳び方の基本は、つま先で跳んでつま先で着地すること。とんとんと軽いジャンプになります。でもなわとびが苦手な子は、足の裏全体を使って跳んでかかとで着地するので、どしんどしんと重たいジャンプになり、タイミングもずれてしまうんですね。
そこでまずは手つなぎジャンプで跳び方の練習をしましょう。
親子で向かい合って手をつなぎ、親が『いち、に、さん、ジャンプ』と声をかけ、『ジャンプ』のタイミングで子どもが跳びます。つま先跳び、つま先着地ができるよう、跳ぶときに『つま先まっすぐだよ』『足首伸ばそうね』などと声をかけながら、支えてあげましょう。
つま先ジャンプがしっかりできていないうちは、かかと着地になってしまうため、どんどん着地の位置が後ろにずれていってしまいがちです。親につかまって跳ぶことで、タイミングが合わせやすく、位置もずれにくくなります。
次は、つかまりジャンプです。
子どもが親の服につかまって、『せえの、ジャンプ』と声をかけ、一緒にジャンプします。何度かジャンプしたら、今度は親がなわを回して跳んでみましょう。
このときのポイントは、子どもの跳ぶタイミングでなわを回すことです。『ジャンプ』と声をかけるタイミングだと間に合わないので、『せえの』の時点で回し始めたほうがいいでしょう。
子どものリズムを観察して、タイミングを合わせてください。失敗したら『ごめんね、ママがうまく回せなかったね』と言って、やり直せばOK。1回でも跳べたら『跳べたね!』と声をかけてください。これを繰り返して、成功体験を積み重ねていきましょう」
●なわの回し方は、後ろからサポーしてエアなわとび
戸田 「次はなわの回し方の練習です。
なわとびは持たないか、なわをはずしたグリップを持って、後ろから大人が子どもの手を持ってなわを回します。手を大きく回すのではなく、手首を使って、縦になわを振るように回すのがポイントです。
これを何度か繰り返したら、今度は回しながら、タイミングを合わせてジャンプします。いわばエアなわとびです。このとき、回すタイミングと跳ぶタイミングが合わない場合は、『回して、跳ぶ』と声をかけてあげるといいでしょう。
なわとびが苦手な子は、脇を開き、手を大きく回して跳ぼうとします。後ろから大人が抱え込むことで、脇が閉じ、正しい回し方に近づけることができます。
このように
1 手つなぎジャンプ
2 つかまりジャンプ
3 エアなわとび
の3つを繰り返していくと、早ければその日のうちに、まったく跳べなかった子が何回か続けて跳べるようになってくると思います。
そこまでいかなくても、少しずつでも、今までよりできるようになっていることがあるはずです。子どもの様子をよく見ていって、そのちょっとした変化をほめてあげてください。
訓練のようになってしまっては、子どもも嫌になって続かないので、楽しくできるように心がけましょう。最初は不格好でも、成功体験を積んでいくうちに、自分から調整ができるようになって姿勢もよくなり、跳べる回数も増えてきます。
どうしてもできないときは、どこに問題があるのかをよく見極めて、できないところをじっくりやっていくといいでしょう。少しずつ、ゆっくりと『スモールステップ』が基本です。
あわてなくても楽しくやれていれば大丈夫! きっと跳べるようになりますよ」
そう言われると、励みになり、頑張ろうという気持ちもわいてきます。
戸田さん、ありがとうございました。
関連記事はこちら
毎週木曜にメルマガ発信中!
ご登録はこちらから↓
戸田 克(とだ まさる)
日本なわとび協会事務局長。現役の小学校教諭でもある。初任時から、なわとび・組体操の研究を始める。週末や休日を利用してなわとび教室での指導を行ったり、なわとびの大会を開催したりするなど精力的に活動している。なわとびや組体操の指導書などの著書も多い。
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。