田宮由美
子ども能力開花くらぶ 代表
小学校教諭・幼稚園教諭・保育士
日本交流分析協会 子育ち支援士
公立幼稚園・小学校での勤務を経て、現在に至る。幼児教室での指導や、小児病棟慰問、子どもの声を聴く公的ボランテイアにも携わり、多方面から多くの親子に関わる。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評があり、現在は執筆を中心に、テレビコメント、講演など幅広く活動中。
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)
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学校・まなび
年長 2018年2月2日の記事
お子さんの小学校入学に向けて、文房具などの準備を始める時期ですね。その中でも「鉛筆」は、毎日の授業でノートがとりやすいよう、子どもが持ちやすく、書きやすい鉛筆を選んであげたいもの。入学準備では、どんな形状や濃さの鉛筆を選べばいいのか、子育て支援士の田宮由美さんにお話をうかがいました。
お子さんの小学校入学が近づくと、ひらがなの書き方や、数の理解など学習面のことが気になるのではないでしょうか。「学習をスムーズにすすめるためは、文房具にも気を配ったほうがいい」と、田宮さん。
「とりわけ、子どもが小学校の授業でよく使う鉛筆は持ちやすく、ひらがなの練習をするときに文字を書きやすいものを選んであげたいですね。鉛筆の形、濃さなど、選び方のポイントを2つお伝えします」(田宮さん)
ポイント1:鉛筆を持つとき指を当てやすい『三角』がおすすめ
ひらがなの練習に使う鉛筆の軸の形は、『丸』よりも、『三角』、または『六角』の鉛筆が適しています。特におすすめなのは、『三角』。持ったとき、3つの面に親指・人さし指・中指が当たるので、正しい持ち方を身につけやすくなります。
「また、『鉛筆グリップ』を利用してもいいですね。鉛筆を持ったときにすべりにくくなって安定するうえ、やわらかいので指が痛くなりにくいです。指に沿わせやすい三角の形の鉛筆グリップも販売されています」(同)
ポイント2:『2B』『B』の濃さで、文字をはっきり表現できるように
『2B』『B』の鉛筆は、芯がやわらかいのでなめらかに書け、文字を濃くはっきりと表現できます。それより薄いものは、芯が硬いため書きにくく、また、書いた文字も見えにくいので小学校低学年にはあまり適さないでしょう。
「正しく文字の形を覚え、表現できるようになるには、子どもが自分の書いた文字を見たとき『とめ』『はね』『はらい』など、それぞれの文字の違いがきちんとわかることが大切」と、田宮さん。
「反対に2B、Bより濃い鉛筆は、芯がやわらかすぎて折れやすく、書いた文字が手でこすれてノートが汚れることもあります。2B、Bの鉛筆がちょうどよい濃さです」(同)
濃い芯を使えば、シャープペンシルでひらがなの練習をさせてもいいのでしょうか?
「シャープペンシルは、芯が細くて折れやすいうえ、とめ、はね、はらいなど、書いた文字の細かな表現がわかりにくいので適していません。シャープペンシルを持ってくるのを禁止している小学校もあるようです」(同)
自分用の新しい鉛筆を持つと、子どもはワクワクしてひらがな練習に取り組めそうですね。文字をスムーズに書けるように、鉛筆の削り方、持ち方の基本を教えてください。
「鉛筆を削るとき、芯の先を尖らせ過ぎると折れやすくなるので、削りきる手前で少し丸くしておきましょう。
鉛筆は、芯の先から3cmぐらいのところを目安に持ちます。そして、親指は人さし指より体に近い方に向け、中指を鉛筆に沿わせ、薬指と小指は中指に沿わせて軽く曲げます」(同)
「言葉で説明するより、親御さんが鉛筆の持ち方のお手本を見せていっしょに練習するのがいい」と、田宮さん。
「お子さんが緊張して鉛筆をにぎりしめてしまう場合、『3本の指で軽く持とうね』と声をかけてあげてください」(同)
ひらがなを書くのに慣れていない子は、筆圧が強すぎたり、弱すぎたりしてうまく書けないことがあるようです。どうすればいいのでしょうか?
「ちょうどよい筆圧の加減を覚えるために、まずは運筆練習をして、いろいろな線(らせん、斜め線など)を書き、鉛筆に慣れましょう。
また、上から下ばかりでなく、右から左、左から右への運筆も練習しておくと、ひらがなを書くときスムーズに鉛筆を動かす助けになるでしょう」(同)
子どもが上手に鉛筆を持てないと、親は気になってダメ出ししたくなりますが…
「『その持ち方では、ダメでしょ!』などと厳しく言ってしまうと、お子さんは文字を書くことが嫌になってしまいます。はじめは、上手にできなくても大丈夫です。慣れてくると、上手に鉛筆を扱えるようになっていきますよ」(同)
入学準備の文房具選びでは、鉛筆だけではなく、文字を消す役割の「消しゴム」の選び方にも気を配ってあげたほうがよいのだそう。
「子どもは、見た目のかわいいもの、キャラクターものなどを欲しがりますが、学習のために使う消しゴムは、消しやすさを重視して選んであげるとよいでしょう」と、田宮さん。
「小学校低学年では濃い鉛筆を使いますので、濃い文字もしっかり消える消しゴム、実際に使ってみて、なめらかに消せるものがよいでしょう。
また、小学1年生は、消しゴムの消しカスを集めて捨てる作業に慣れておらず、親としては散らばらないか、気になりますよね。そのような場合、消しカスがまとまるタイプの消しゴムもありますので、試してみるのもよいでしょう」(同)
お店の文具コーナーで、「小学生向け」「濃い鉛筆もよく消える」などと書かれた消しゴムをチェックしてみてもいいですね。
さらに、消しやすく、よく消える消しゴムを選ぶことは、学習にも役立つといいます。
「子どもがひらがなや漢字を書いたり、計算をしたりするとき、間違えた箇所を消しゴムでしっかり消せていないと、その文字が残って計算ミスや、書き間違えをしてしまうことがあります。よく消える消しゴムを使い、しっかり消すことで、ノートもキレイにとれるようになり、ミスが減って学習意欲の向上にもつながるでしょう」(同)
消しゴムを使った上手な消し方について、子どもにどう伝えればいいでしょうか?
「消しゴムを使うときは、利き手の反対の手でプリントやノートをしっかり押さえ、利き手で消したい文字をていねいにこするように伝えましょう。慌てて力を入れすぎると、紙が破れたり、穴が空いたりしますので、入学前に、実際に消しゴムを使い、どれくらいの力加減が適当かなど、練習しておけるといいですね」(同)
「鉛筆などの使い方に比べ、見落とされがちな消しゴムの使い方ですが、鉛筆の持ち方や文字の練習などとセットで練習するとよい」と、田宮さん。
入学準備シーズンになると、お店の文具コーナーには小学校低学年向けの商品が並びます。お伝えしたことを参考にして、お子さんが使いやすい鉛筆と消しゴムを選び、入学前に使う練習をしてみてはいかがでしょうか。
(取材・執筆:掛川ゆり)
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