山崎 浩一 (やまざき こういち)
臨床発達心理士。教育相談オフィス「オフィス紫陽花」スタッフ。「新しい学校適応支援相談員」を経て、現在、東京都スクールカウンセラーとして勤務中。
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生活・しつけ
小学1年生 2016年6月20日の記事
ここ10年ほどの間に、子育てに積極的に参加する男性の姿が多く見られるようになりました。とはいえ、子育ての主役は、まだまだママという意識も根強く残っています。
では、子育てにおいてパパの役割とは何なのでしょう? 臨床発達心理士であり、スクールカウンセラーの山崎浩一さんにうかがいます。
●パパの支えがママの「成長」を促す
パパが積極的に育児に参加することが当たり前のようになってきましたが、ママの存在感にはなかなか太刀打ちできないようです。現代のパパは、子育てでどんな役割を果たせばいいのでしょう?
山崎 「実は、子育てにおいてのパパの役割についての研究の歴史は、ママ研究に比べるとずっと浅く、1970年代半ばから始まったばかりです。そのうえ、仕事が忙しいパパたちに研究依頼をすることが難しいため、あまり研究が進んでいないというのが現実です。ですから、まだまだはっきり断言できないことが多いのです。
ただ、私自身スクールカウンセラーとして、さまざまな親御さんと接していて、パパの役割が重要だなと思うことはいくつかあります。
例えば、カウンセリングでママとお話をすると、子育ての悩みや不安を延々と話される方がいらっしゃいます。日ごろ、悩みの相談とまでいかなくても、ちょっと子育てのグチをこぼせるような人が身近にいれば、このようなことは少ないでしょう。本来は、こうしたママのグチや不満を、パパが聞いてあげられるとよいのではないかと感じています。
実際、過去の調査でも、母親が父親に望むこととして、子育てのグチを聞いてほしいとか、大変だねとねぎらってほしいという声が多いという結果が出ています。これは今でもあまり変わっていないのではないでしょうか。
難しく考える必要はありません。ママが言いたいことをちょっとでも聞いてあげて、『いつもありがとう』というような言葉をひと言かけてあげてください。それだけで、状況はずいぶん違ってきます。毎日が無理なら、1週間まとめて話を聞く日を作ってもいいでしょう。
おむつ替えやお風呂に入れるのと違って、パパ自身が直接子どもに関わるわけではありません。でも、ママの手伝いとして育児や家事をするよりも、ママの話を聞いてあげるほうが、よほど子育てには重要です。
実際、パパが話を聞くことが、ママが母親としての成長を感じる『自己成長感』につながっているという研究もあるんですよ」
●夫婦のコミュニケーションのカギを握るのはパパ
山崎 「僕はカウンセリングのときに、親御さんに『少なくともパパとママは一枚岩になって、お子さんに接してあげてください』と言っています。
なぜかというと、パパが言っていることと、ママが言っていることが違うと、子どもは混乱してどうしようと悩んだり、自分の都合のよい、ゆるい意見のほうに傾いたりするからです。それは子育てにおいては、あまり望ましいことではありません。
特に注意したいのが、パパ自身は、自分は子育てに積極的に関わっていると自己評価が高いのに、ママはそうでもないと思っているケース。
子どもに何か問題があると『自分はこれだけやっているのに』とママを責めたりすることになります。こうした場合、ときにお子さんがやや不安定になることもあります。
夫婦で一枚岩になるためには、2人の間のコミュニケーションが重要です。簡単なようで、これが意外に難しいものです。夫婦間のコミュニケーションのカギを握っているのは、家にいる時間の短いパパのほう。パパの理解と協力がとても重要なのです。
もし子どもに『パパ(ママ)はこう言っていたもん』と言われて答えに困ったら、『じゃあ、パパ(ママ)に聞いてみようか』と言って確認するとよいでしょう。
子どもも『パパとママは、自分のことをちゃんと話をして決めてくれているんだな』と実感することができると思います」
夫婦が一枚岩になるのは、なかなか努力が必要ですね。
山崎さん、ありがとうございました。
次回は共働きの場合のパパの役割についてうかがいます。
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