清永奈穂
NPO法人 体験型安全教育支援機構 代表理事。
犯罪や地震、交通事故などの危険を察知し、自分の身を自分で守るための『安全基礎体力』をつける方法について普及活動を行う。
知識として身につけるだけではなく、子どもたちが実際に怖い場面にあったときに身を守る行動ができるよう『体験型安全教育』を行っている。
著書:『犯罪者はどこに目をつけているか』(新潮社・共著)、『犯罪と地震から子どもの命を守る!』(小学館)など。
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生活・しつけ
小学1年生 2016年4月12日の記事
登下校中などに起こった子どもの連れ去り・誘拐のニュースを聞くと「うちの子は大丈夫かしら……」と心配になりますね。
悪質な不審者は、どのように声をかけてくるのでしょうか?
NPO法人 体験型安全教育支援機構 代表理事の清永奈穂さんにお話を伺いました。
●子どもが近づきたくなる言葉で誘う
清永 「子どもを連れ去る不審者の手口は、とても巧妙です。
子どもに対して『知らない人について行ってはダメだよ』と言うだけでは、防犯対策が不十分なのです。
まずは、不審者のおもな声かけのパターンを挙げていきますね。
■ちょい声がけ
「ちょっと、ちょっと!」
「ねぇ、ねぇ」
「○○ちゃん」(子どもの名前を事前に調べている場合もある)
→呼びかけられると子どもは思わず立ち止まり「なに?」と相手に近づいてしまいます。
■好きなもので関心を引く
「あっちにかわいい子猫がいたよ。一緒に見に行こう」
「おもしろいゲームがあるよ。家に来て一緒にやらない?」
「△△(子どもが好きなキャラクター)のオモチャをあげるよ」
「お菓子を買ってあげるよ」
→子どもの『見たい』『欲しい』という欲求を利用して誘います。
■親切心に呼びかける
「○○は、どこかな? 道に迷って、困っているんだ。連れて行ってくれない?」
「ボールを取ってくれないかな」
→子どもの「困っている人を助けたい」という気持ちにつけこみます。
■親切な人をよそおう
「雨がふっているから、車でおうちまで送って行ってあげるよ」
「重そうだからカバンを持ってあげる」
→不審者は見るからにあやしい人物とは限りません。いい人をよそおって近づいてくることもあります。
■自負心に呼びかける
「サッカーが上手だね。おじさんに教えて」
「アイドルみたいにかわいいね。写真のモデルになってくれないかな?」
→子どもをおだてていい気分にさせ、連れ出します。
■損得感情を利用する
「5分でいいから来て。1000円あげるから」
→おこづかいをあげると言い、ついて行かないと損をすると思わせます。
■お父さん、お母さんから頼まれたと言う
「僕はお父さんの友達だよ。一緒に遊ぼう」
「お母さんが交通事故にあったって! お父さんに頼まれたから、一緒に病院へ行こう」
→お母さん、お父さん、学校の先生など、子どもにとって影響力のある大切な人のことを出してきます。
■緊急事態をよそおう
「お父さんが倒れた! 今すぐ病院に行かないと大変なことになるよ! 早く車に乗って!」
→子どもの大切な人を出して焦らせ、「この人について行かなければ、大変だ」と思わせます。
■身分を偽って近づく
「警察だけど、聞きたいことがあるから車にのって」
「警察だ。きみのせいでおばあさんが事故にあったから来て」
→何もしていないのに声をかけ、「警察の人だから言うことを聞かなければ」と思わせます。
■恐怖心を与える
「言うことを聞かないと、ひどいめに合わせるぞ」
「さわぐな! 俺はナイフを持っているんだぞ」
→ナイフ、カッターなどの刃物を突きつけ抵抗できないようにおどします。
実に巧妙だと思いませんか。
これらの声かけのパターンを親御さんがまず知り、具体的な言葉でお子さんに注意を促してください。
例えば…
『あなたの周りには親切な人がたくさんいるんだよ。
でもね、ときどき、あなたに声をかけて遠くに連れていこうとする人もいるの。
連れていかれたら、パパやママに会えなくなってしまうんだよ。
だから、パパやママ以外の人から、お菓子をあげるよ、車で送ってあげるよって言われても、絶対について行かないと約束して。車に近づくのもダメだよ』
小さな子どもの場合、必要以上に怖がらせすぎると外に出るのが怖くなってしまうかもしれません。『あなたの周りには親切な人がたくさんいる』ことを前提に、どんなシーンでついて行ってはいけないかを具体的に伝えます。
また、『知らない人にはついて行ってはいけない』の“知らない人”とは、どういう人なのかをはっきりさせましょう。
近所であいさつする顔見知りの人であっても、家族以外の人にはついて行かないこと、友達の家に行く場合も親に伝えてから行くことをお子さんと約束してください」
次回は、子どもが不審者に声をかけられたときに身を守る方法についてお伝えします。
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清永奈穂
NPO法人 体験型安全教育支援機構 代表理事。
犯罪や地震、交通事故などの危険を察知し、自分の身を自分で守るための『安全基礎体力』をつける方法について普及活動を行う。
知識として身につけるだけではなく、子どもたちが実際に怖い場面にあったときに身を守る行動ができるよう『体験型安全教育』を行っている。
著書:『犯罪者はどこに目をつけているか』(新潮社・共著)、『犯罪と地震から子どもの命を守る!』(小学館)など。
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