土橋信明 つちはし のぶあき
神谷町耳鼻咽喉科院長。専門は小児耳鼻咽喉科、神経耳科。国立小児病院、国立成育医療センター耳鼻咽喉科医長などを経て現在に至る。
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小学1年生 2016年1月27日の記事
前回は、扁桃炎の症状や治療法について、神谷町耳鼻咽喉科院長の土橋信明先生にうかがいました。引き続き今回は、扁桃炎の原因や治療法についてうかがいます。
●扁桃腺にダメージを与えやすい口呼吸
扁桃腺が腫れる原因はなんですか?
土橋 「扁桃炎を繰り返す原因の1つには、口呼吸があります。本来、呼吸をする際には鼻がフィルターの役割をして、汚れや雑菌などが体内に取り込まれるのをある程度防御してくれます。また鼻には加湿や加温の機能もあり、鼻やのどの奥の粘膜を保護しています。
でも口呼吸では冷たく乾燥した外気が直接のどに入ってしまうため、のどの粘膜が傷み、ウイルスや細菌が侵入しやすくなってしまうのです。
口呼吸になる原因の多くは鼻炎や副鼻腔炎からくる鼻づまりです。扁桃腺が大きい子は、鼻の奥にあるアデノイドという部分が肥大しているために鼻がつまりやすく、口呼吸から扁桃炎になりやすいというわけです」
●手術は扁桃炎の頻度や子どもの体の負担を考えて判断を
扁桃腺が腫れやすい子は手術をして取ったほうがいいのでしょうか?
土橋 「手術をしてまで扁桃腺を摘出すべきかどうか、悩まれる親御さんも多いと思います。基本的には、年に4回以上扁桃炎を繰り返し、そのたびに高熱が出て、何日も学校や園を休まなくてはいけないという場合は、手術を考えてもよいと思います。
年齢的には、小学校入学前後が検討に適した時期だと思います。ほとんどの子の場合、扁桃腺は6歳を過ぎると徐々に小さくなっていきます。また、体も丈夫になってくるので扁桃炎を起こすことも少なくなってきます。ですから今は扁桃炎になったとき辛いけれど、もうちょっと手術を受けずに頑張ってみるというのも1つの方法だと思います。
また、医師の側からのアドバイスとは別に、炎症が起きるのは年に2〜3回程度だけれど、海外に引っ越すので、その前に手術を受けておきたいというように家庭の事情を優先して決断する方もいます。いずれにしても、生活の不自由度と子どもの負担がポイントになってくると思います。
ただし、これは単純にのど風邪を何度もひくという程度ではなく、確実に扁桃炎を起こしている場合に限ります。前にも述べたように、のどが痛いからといって必ずしも扁桃腺が原因とは限りません。厳密に扁桃炎かどうかを診断するには、白血球などの血液検査や扁桃の細菌検査を行う必要がある場合もあります」
いざ手術と言われると、いろいろ心配な面も出てきます。
次回は手術のリスクなどについてうかがいます。
土橋先生、ありがとうございました。
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《子どもの扁桃炎 その1》 扁桃腺が腫れたら、どうすればいい?
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