土橋信明 つちはし のぶあき
神谷町耳鼻咽喉科院長。専門は小児耳鼻咽喉科、神経耳科。国立小児病院、国立成育医療センター耳鼻咽喉科医長などを経て現在に至る。
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小学1年生 2016年1月26日の記事
扁桃腺が腫れやすい子は、すぐに高熱を出して、たびたび園や学校を休むことになってしまいがち。いつまでこんな状態が続くのかと心配な方も多いでしょう。子どもの扁桃炎の治療や手術について、神谷町耳鼻咽喉科院長の土橋信明先生にうかがいます。
●「扁桃炎」は39度以上の高熱と激しい痛みを伴う
そもそも扁桃腺は、どういう働きをする場所なのでしょう?
土橋 「扁桃腺とは、のどの両脇にあるリンパ組織の集まっている部分を指します。本来は免疫機能の整っていない幼児期に、病原菌の侵入を防ぐ役割を果たしているのですが、侵入した病原菌の力が強いと、一時的に菌の勢力が優勢となって扁桃炎を起こすことになります。また、炎症を繰り返していくうちに扁桃腺がばい菌の巣のようになってしまい、体調を崩したときなどに、そのばい菌が増殖して炎症を起こすこともあります。
インフルエンザのように、空気中に菌がばらまかれて感染を起こすことはありませんが、患児の唾液などから接触感染を起こす可能性がありますので、とくに感染初期には、手洗いをしっかり行い、家族間でも食器の共有を避けるなどの注意は必要です。
主な症状は39度以上の高熱と激しいのどの痛みです。ときには耳や頭、背中にまで痛みが及ぶこともあります。さらに悪化すると、扁桃腺の表面が白い膿でおおわれた状態になったり、扁桃腺の周囲に膿がたまる扁桃周囲膿瘍という重症型の炎症を起こすこともあります。
よく風邪をひいてのどが痛い=扁桃腺が腫れたと思う方が多いようですが、必ずしもそうとは限りません。風邪のウィルスによってのどに炎症(咽頭炎)が起きただけということも多いのです。もちろん、咽頭炎のときに扁桃腺も赤く腫れることはありますが、その段階ではウィルス性の扁桃炎の状態であって、この場合は風邪症状に対する一般的な治療で症状が軽快することもあります。
しかし、はじめは風邪と診断されても、いつまでものどの痛みがひかず、そのうち高熱と扁桃腺に白い膿が出てきた場合は細菌性の扁桃炎に進んでいる可能性が出てきます。
風邪の段階でおさまるか、細菌性扁桃炎まで進んでしまうかは状況によっても違いますが、一度扁桃炎を起こしたことがある子は、その後も起こしやすい傾向があるので、風邪をひいたときには注意したほうがいいでしょう。
●処方された抗生物質は、最後まで服用することが大切
扁桃炎になってしまったときは、どうすればいいでしょう。
土橋 「基本的には、医師の診断を受け、安静にすることです。
治療薬としては、細菌性の炎症の場合は抗生物質が処方されるので、完全に治るまで、きちんと薬を飲み続けましょう。
扁桃炎は、何度も繰り返していると合併症を起こすリスクが高くなります。例えば、溶連菌という細菌による扁桃炎の場合は、腎炎や皮膚疾患、リウマチ熱などを引き起こす場合があります。今は治療薬の抗生物質の開発が進んでいるため、きちんと医師から処方された薬を飲んでいれば、それほど心配する必要はありません。ただし途中で少し症状がよくなったからといって、抗生物質の服用をやめてしまわないようにすることが大切です」
のどの痛いと、いつも扁桃腺が腫れていると思っていたので、ちょっと驚きました。
土橋先生、ありがとうございました。
次回は扁桃腺の原因についてうかがいます。
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