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生活・しつけ
小学1年生 2013年6月13日の記事
★「小1プロブレム」を未然に防ぐ方法は?
《小1プロブレムって何? 3》発達障害かどうかの診断を受ける前に、まずは食事や睡眠、遊び方を見直すことから。
10年ぐらい前から注目されるようになった小1プロブレム。それ以前は全くなかったかといえば、そうではありません。
背景にある問題と小1プロブレムを減らす秘訣をNPO法人「えじそんくらぶ」の高山さんにうかがいました。
●今と昔では、子どもを取り巻く環境が大きく違ってきています
小1プロブレムは、母親世代にはなかったことなのでしょうか?
高山 「『小1プロブレム』とは呼ばれていませんでしたが、昔から落ち着きのない子や、うっかりさん、先生の言ったことをなかなか聞かないという子はクラスにいました。
しかし今の子どもたちと親世代の子ども時代を、単純に比較できないのです。
それだけ子どもを取り巻く環境が違い過ぎています。
食生活ひとつとってもそうです。
昔より朝ご飯を食べない子が増えてきています。
実は朝食を抜くだけでもADHD(注意欠陥多動性障害)的な多動・不注意・衝動性が増加するといわれています。
学校入学という大きな環境の変化による緊張や、外遊びが少ないことで質のいい睡眠が取れなくなることもあります。
まずは子どもが熟睡できているかチェックして、朝ご飯をしっかり食べる習慣をつけてしてください。この2つを実行するだけでも行動が落ち着いて、あくびや不注意が減ってくるでしょう」
●遊びを通じて子どもの成長を見守る
昔と今では遊び方も随分変わったと思います。
高山 「遊び相手も人数も内容も違いますよね。昔は年齢がバラバラの子どもたちが一緒に遊ぶことで社会性が育まれました。
学校の様子などを年上の子から聞いたり、その子の変化を感じとって一緒に遊んだりしながらゆっくりと学校へ行く心の準備ができていたのです。
遊ぶことは子どもにとって、とても大切な行為で、アメリカの心理学者、ミルドレッド・パーテンは以下の5つに分類して、子どもの成長で遊び方が変わっていくことを見出しています。
1.何もしない(歩き回ったり、周りを見回す程度)
2.一人遊び(折り紙やごっこ遊びなど一人で遊ぶ)
3.傍観(他の子の遊びを見て、質問したり、口出ししたりするが参加はしない)
4.平行遊び(他の子と同じような遊びはするが、お互いに干渉しない)
5.連合遊び(他の子と一緒に遊び、貸し借りもし合う)
6.協同遊び(役割分担をして一緒に1つのものを作るなど)
2~3歳から4の『平行遊び』以降の行動が見られ、
6の『協同遊び』が小学校に入る前にできるのが理想的です。
このパーテンの理論を参考に、公園等での遊びを多くしていきましょう。
例えば5の『連合遊び』でつまずいていると感じたら、
『貸してって言うんだよね』
『(遊びに)入れてって言うんだよね』
と、サポートしてあげましょう。
『できた』という成功体験が、子どもを1つ上の段階へと促してくれます。
これも子ども一人ひとり成長度合いが違うので、他の子と比較するのは禁物です。その子のペースに寄り添って声がけしてあげましょう」
『小1プロブレム』対策も、そうならないための方法も膨大な情報に振り回されるのではなく目の前に子どもと丁寧に向き合うことが大切ですね。
環境の変化によるギャップを改善して、他の子と比較せずに、食生活や睡眠、遊び方をチェックする。日常をシンプルに見直すことから始めたいと思います。高山さん、ありがとうございました。
プロフィール
子育てにストレスを感じている親に対して、教育者や保育者、子育て支援担当者などが生かせるストレス軽減のためのヒントを、アメリカ等で評価されている「ストレスマネジメント」理論をベースに、絵や図表を多用しながら紹介。
「育てにくい子に悩む 保護者サポートブック」(学研教育出版)
子どもの困った行動が理解できない、育児が思うようにいかない、と悩む保護者は多くいます。プロとして、保育者が保護者にどう寄り添い、育児をサポートできるか、「子どもの行動の見直し」「保護者のストレスマネジメント」という2つをテーマにしています。
●ご購入の際はお近くの書店でお求めください。
また、オンラインショップ「ショップ.学研」でもお求めいただけます。
「親子のストレスを減らす15のヒント」は → こちら
「育てにくい子に悩む 保護者サポートブック」は → こちら
その他の書籍
「おっちょこちょいにつけるクスリ」(ぶどう社)
「気になる子がぐんぐん伸びる授業~すべての子どもの個性が光る特別支援教育~」(小学館)