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生活・しつけ
小学1年生 2014年1月8日の記事
ひとりっ子バッシングに負けないで!
《ひとりっ子の育て方 1 》 肩身が狭いひとりっ子のお母さんたち
世の中にひとりっ子は増えてきているはずなのに、いまだに「ひとりっ子だから○○○」などと決めつけられがちなひとりっ子。
そこで今回は『ひとりっ子の育て方』(学研パブリッシング刊)の著者で、精神科医の和田秀樹先生に、ひとりっ子のお母さんたちへのアドバイスをしていただきました。
●「不安も心配もひとりっ子のせい」は思い込み
今の時代、ひとりっ子は珍しくない存在なのに、なぜか特別視されることが多いく、ひとりっ子のお母さんは肩身が狭い思いをしています。
和田 「私は仕事柄、ひとりっ子のお母さんから悩みを打ち明けられることがあります。
その悩みのおもなものを挙げるなら、例えば、『うちの子はひとりっ子だから性格が○○○で…』という、性格の悩み。
でも同じひとりっ子のお母さんの悩みでも、その内容はさまざま。
あるお母さんは引っ込み思案なのを悩んでいるかと思えば、あるお母さんは他人にズケズケものを言うことが悩みだと言う。
私から見たら、そのほとんどはひとりっ子にもきょうだいっ子にもあてはまるものばかりで、どれもその子自身の個性としか見えません。心配も不安も、すべて『ひとりっ子のせい』というのは思い込みにすぎないのです。
もうひとつは、『たったひとりの子どもだから子育てを間違いたくない』というもの。
何をもって間違いとするかがポイントではありますが、子どもが犯罪者にでもならない限り、子育ては基本的に合格と言っていいのではないでしょうか。
そう考えると、子育てに大きな間違いなど、ほぼないと言っていいでしょう」
●子育てに自信が持てないことのほうが問題
子どもに対して、きょうだいを作ってあげられなかったことを気にする人もいます。
和田 「経済的なことや年齢的なことなど、さまざまな事情があってひとりっ子になったのであれば、それは正しい選択です。
もしそれらの事情を顧みずきょうだいを生んでいたら、多くの場合、経済的に苦しくなったり、お母さんが肉体的にダメージを受ける結果になっていたでしょう。今よりよい結果になっているとは決して言えないと思います。
むしろ今いる子のためによい選択ができたと考えていいでしょう。子どもに対して罪悪感を持つ必要はありません。
ひとりっ子であることよりも、親がそのことを気にしすぎて、子育てに自信がもてなくなるほうが、よほど問題です。
過去の研究結果でも、お母さんが『自分の子育ては、本当にこれでいいのだろうか?』と、過度に不安に陥りながら育児をすることで、子どもの発達や人格形成に悪影響を与えるということが明らかになっています。
多少大げさに言えば、極端な育児、例えば子どもが悪いことをしたら有無を言わさずビシッとたたくとか、逆に思い切り甘やかして育てていても、親が自信をもって育てていれば、子どもはそう簡単にはゆがみません。
ひとりっ子も同じこと。世間のひとりっ子に対する風当たりの強さに、お母さんは、なかなか平常心で子育てをしにくいとは思いますが、バッシングに負けずに、わが子にとって、よいと思える子育てをしてください」
親が必要以上に「ひとりっ子」を意識しすぎないようにしなくてはいけませんね。
和田先生、ありがとうございました。
次回は引き続き和田先生に、ひとりっ子に向けられる決めつけや先入観について伺います。
プロフィール
1960年大阪府生まれ。
教育評論家、精神科医。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。
映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞受賞など、医療、教育、文化のさまざまな面で活躍中。
最新刊『7歳までに知っておきたい!「ひとりっ子」の育て方』(1,300円+税/学研パブリッシング・刊)。