●教育評論家 親野智可等からママへアドバイス


  「いけないことをしたら、素直に謝れる子にしたい」と思うのが親心ですね。


  ですので、今回のクイズのケースのように「僕だけじゃないよ。お兄ちゃんも食べたよ」という発言を聞けば、自分の非を認めずに人のせいにしているのではないか、とさらに怒りがこみ上げてくるものです。 
だから、「人のせいにしないで謝りなさい!」と頭ごなしに叱ってしまいがちです。


  しかし、その場面だけを見て謝りなさいと言われてしまうと、子どもは、吐き出せないものが残ります。


  ここで、子どもの立場に立って考えてみましょう。 
もしかして、お兄ちゃんに一緒に食べようと言われたから食べたのかもしれませんし、おなかが空いていたからケーキを食べたのかもしれませんね。


  「ごめんなさい」とその場で謝っただけでは、「僕だけ叱られた……」と不満が残り、お母さんが自分の言い分を聞いてくれないとわかれば、かえって嘘をつくようになってしまう可能性もあります。


  子どもは人のせいにしているのではなく、「公平に叱ってもらえないのではないか。自分だけが損をするではないか」という不安があるから、このような発言をするのです。 
ですので、なぜそれをしたのか理由を聞かなければいけません。


  ここでは「お兄ちゃんにも後で聞きます」と公平にすることで安心感を持たせ、さらに「言いたいことがあったら言って」と声をかけ、受容と共感で子どもの心を開かせましょう。 
自分の言い分を言えれば、子どもの心がスッキリします。


  もちろん、素直に「ごめんなさい」と言える子もいれば、すぐに言えない子もいます。


  言えない子であっても、言い分を聞いた後に「これから気をつけて」と伝え、 
「じゃあ最後に言うことはない?」と聞けば、「ごめんなさい」と素直に言えるでしょう。