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学校・まなび
小学1年生 2015年4月21日の記事
文房具からプリントまで、何でも無くすのはなぜ?[4/21]
〈ものを無くす子に困ってます!〉 まずは毎日の学校の準備を手伝ってあげましょう
本格的な授業が始まると、学校と家の間での「ものの行き来」が増えてきます。入学前に買いそろえた文房具、大事な教科書、持たせたはずのプリント、しまいには着ていった上着まで、どれも学校で必要なものばかりなのに、必ず無くしてくる子がいます。
いったいどうしたらいいのでしょう? 「きいて、教えて、舟山先生!」でおなじみの現役小学校教諭・舟山由美子先生に、その原因と対策をうかがいました。
●学校用のものが多すぎるのも原因のひとつ
子どもが学校で、しょっちゅうものを無くしてきて困っているという声があります。
舟山 「ものを無くすかどうかは、整理・収納の力と関係があるので、机の中がごちゃごちゃで整理できない子はものを無くしやすいと考えていいと思います。
整理ができないというと、ADHDなどの発達障害などをイメージされる方もいるかもしれません。もちろん、そういう子もいないとは限りませんが、個人差のほうが大きいですね。
例えば、道具箱を机の上に出すように呼びかけて、『○と○を出しましょう』とか『△をこちら側の箱にしまいましょう』と言われても、することがすぐに頭の中で動作に直結しない子や、気が散りやすくて、別のことに目がいってしまう子もいます」
大人でも片づけが苦手な人はいますものね。
舟山 「学校にも要因がないわけではないんです。
例えば、1年生でも、算数セットや鍵盤ハーモニカ、体育セットなど、学校に持って行かなければならない荷物がびっくりするほど多いですよね。
それなのに生徒1人に対して、小さなロッカーひとつくらいと、ものの多さにくらべて収納スペースが足りませんし、仕切りなどもないので収納しづらく、ごちゃごちゃになりやすいという点はたしかにあります。
じゃあ、ものを減らせばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、どれも授業に必要なものなので、そう簡単にはいかないのです。ですからそこは、家庭でもぜひご協力いただきたいところです。
ときどき、忘れものや無くしものの多い子の親御さんに『学校のものの整理や準備を見てあげてください』とお願いすると『自分が困ったらやると思うので、困ったほうがいいんです』とおっしゃる方がいます。
でも、何回もやってみてできないということは、やりかたがわからない、またはその子に合っていないからなんですね。この場合、放っておいてはできるようにならないばかりか、できない経験を積み重ねて『自分はダメなんだ』と、自尊感情が低くなってしまい、物事への意欲や情緒面などにも影響が出てきてしまいます」
●家庭で毎日の準備とお片づけの習慣をつけましょう
では、家庭でどんなことをすればいいでしょうか?
舟山 「入学後しばらくは、『明日は学校で何がいるの?』『プリントを見せてごらん』と、学校の準備を最初から最後まで一緒にやってあげるといいでしょう。最初にやり方をしっかり覚えておくことが重要です。
あとは日ごろから、家でもお片づけをする習慣をつけましょう。子どもがしまいやすい簡単な収納方法を考えて、少しずつ、自分で片づけができたという経験を積み重ねられるようにします。また、ものをしまう場所を決めるだけでなく、ものを出したら、もとのところにしまう動作を定着させるとだいぶ違ってくると思います。
ものの整理は頭の整理にもつながりますから、勉強にも役立ってくると思います。
今は100円均一ショップなどで、ものが簡単に手に入るので、それが『無くなっても大丈夫』という気持ちにつながっているところもあると思います。だからあえてよい文具を買って、『大切にしようね』などと言いながら、子どもの前で名前を入れたりすると、少しずつかもしれませんが、意識が変わってくるのではないでしょうか」
学校では、何か対策をとってくださっているのでしょうか。
舟山 「無くしものや忘れものを防ぐための対策をするかどうかは、担任によってまちまちです。
例えば私は、今のクラスでは、週末に必ずお道具箱を机に出させるようにしています。そうすると、道具箱を出した机の奥からじゃばらに折れたプリントなどが出てくるので、それをすべておうちに持って帰らせるようにしています。
プリントを配ったときは、連絡帳の袋を出させて『ファスナーを開けましょう』『今配った5枚のプリントをいれましょう』『ファスナーを閉めましょう』と指示をして、すべての段階で全員できているか、チェックすることもあります。もっとも、それでもお家に帰るまでに無くしてしまう子もいるのですが。
ただ、どのクラスでもここまでやっているとは限らないので、家での対策だけでは難しいという場合は、『プリントが、家までなかなか来ないので』などと、担任の先生に相談してみてはどうでしょう」
無くすのはうちの子だけじゃなかったんだ……とホッとしましたが、家でもしっかりフォローしなければなりませんね。
舟山先生、ありがとうございました。