新井慎一(あらい しんいち)
尾山台すくすくクリニック院長。
児童青年精神科医。東京都立梅ヶ丘病院に9年間勤務の後開業。「児童青年精神科のコンビニエンス・クリニック」として、親と子のニーズに合った、質の高いサービスを追求している。尾山台すくすくクリニック http://www.oya-suku.com/index.html
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生活・しつけ
年長 2014年9月1日の記事
爪をかんだり、しきりにまばたきしたり、子どもに気になるしぐさやクセが見られるようになったらどうすればいいのでしょう。
親としては「自分の接し方に問題があったのかな?」「このまま治らなかったら、入学後にいじめられない?」と不安になってしまうことも。
気になるクセの対応法などについて、児童青年精神科医で尾山台すくすくクリニック院長の新井慎一先生にうかがいました。
●爪かみ・指しゃぶりは、自然になくなっていくことがほとんどです
子どもの気になるクセとして、まず代表的なものには「爪かみ」がありますね。
新井 「鉛筆をかんでしまうクセもそうですし、もっと小さい年齢だと、指しゃぶりも同じタイプのクセと言っていいでしょう。
これは赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸っていると安心するように、口に指を入れていることで気持ちが落ち着くためです。裏を返せば、何らかの強い不安があるということも考えられます。まずは不安のもとが何なのかを考えましょう。例えば習い事が大変だとか、下の子が生まれたなど、何かしら思い当たることがあるようでしたら、安心できるような環境を作るよう心がけてください。
不安が強いというと気にされる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、小さい子どもというのはもともと自分ひとりでできることが少ないので、ちょっとしたことで不安になるものです。いろいろなことが自分でできるようになり、自信がつき始めると、徐々に不安も減ってきて爪かみや指しゃぶりも見られなくなってきます」
では「もうすぐ1年生だから」なんてプレッシャーをかけないほうがいいでしょうか?
新井 「不安になりにくい子には、むしろ多少プレッシャーをかけたほうがやる気が出ることもあるんですが。爪かみが見られる子には控えたほうがいいでしょうね。
なかには爪切りの必要がないくらいかんでしまうとか、足の爪までかんでしまうというケースもわずかながら見られます。そこまで極端な場合や、小学校の高学年になっても治らない場合は、病院などに相談するといいでしょう。
でも、無理にやめさせず見守っているうちに減ってくることがほとんど。あまりお母さんが神経質にならないことが大事です」
●髪を抜くのがストレス解消になる“抜毛症”
爪かみのようによく見られるクセとは違い、珍しいものに髪の毛を抜くというクセがあるそうですが、これはどういうものでしょう?
新井 「これは抜毛症と言われるもので、小学生から成人まで見られます。
その名の通り、抜いた跡がはげてしまうほど自分で髪の毛を抜いてしまうというものです。まれに、眉毛やまつげまで抜いてしまうという子もいます。
原因は無意識に抜いてしまう“クセ”の場合もあれば、ストレスがかかったときや不快なことを我慢しているときに、ストレスを解消するために抜くという場合もあります。
、もしストレスに心あたりがあるならストレスのもととなる問題を解決することが第一だと思います。ストレスがかかっていなくても抜毛の行動が見られるとか、はげがどんどん大きくなっていくという場合は、なるべく早めに専門家に診てもらうことをおすすめします」
どういう治療法があるんですか?
新井 「クセでやっているときは、抜きたくなったときの気持ちを本人に自覚させて、そうなったときに手をポケットに入れたり、腕を組んだりして、手が頭に行かないようにします。これは無意識にやっているパターンには、意外に効果があるんですよ。
ストレスの場合は、ほかの治療法も必要になります。年齢が低い子の場合は、例えば絵を描くのが好きなら、抜きたくなったら絵を描くようにするなど、抜く感覚に代わるストレス解消になる行為を探すようにします。また、必要があれば、家族療法を行なうこともあります。
数はそれほど多くないとはいえ、髪を抜くクセは、学童期には意外にみられることもあります。落ち着かないときに何本か抜く程度なら、まずは見守るようにしましょう。注意すると、かえってストレスがたまって症状が強くなることもあります。
ほかのクセの場合にもいえますが、お母さんの不安は子どもに伝わりやすいもの。気にして注意を繰り返すくらいだったら、むしろ、お母さんも一緒にトランプをやるなど、子どもと楽しい活動をしてはどうでしょう。
子どものストレスが発散されて、クセも出にくいし。お母さん自身も気がまぎれるかもしれません」
親としては心配で不安になってしまうのですが、どっしり構えて、子どもを安心させてあげたいですね。
新井先生、ありがとうございました。
次回は、学童期によく見られる「チック」についてうかがいます。
新井慎一(あらい しんいち)
尾山台すくすくクリニック院長。
児童青年精神科医。東京都立梅ヶ丘病院に9年間勤務の後開業。「児童青年精神科のコンビニエンス・クリニック」として、親と子のニーズに合った、質の高いサービスを追求している。尾山台すくすくクリニック http://www.oya-suku.com/index.html
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