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生活・しつけ
年長 2014年9月22日の記事
チックで、友だちにいじめられないか心配[9/3]
〈気になる子どものクセ2〉 症状がひどい場合は、薬で治療する方法もあります
子どもに気になるしぐさやクセが出たとき、どうすればよいか。前回は爪かみと髪抜き(抜毛症)について、尾山台すくすくクリニックの新井慎一先生にうかがいました。今回取り上げるのは、年長から学童期に始まることが多いと言われるチックです。
●チックがあるときは、あらかじめ担任にも伝えましょう
学童期の子どものクセというと、ほかには何がありますか?
新井 「代表的なものにチックがあります。幼児から小学生にかけての時期に出始めることが多いようです。
チックの種類にもいろいろあって、大きく運動性チックと音声チックの2つに分けられます。
運動性チックには、まばたき、目をぐるっと回す、顔の表情を変える、首をかしげる、肩を動かすなど非常にさまざまな種類があります。なかには、しじゅう床を触るといった、一見するとチックとわからないようなものまであります。
音声チックは咳払いのほか、鼻をすする、声を出すなどで、奇声を発したり、汚い言葉を繰り返すといった症状も見られます。
以前は精神的な原因があるのではと言われていましたが、最近では、体質的なものではないかと考えられるようになっています。もともとチックが出やすい体質があり、何かのきっかけで出始めるということが多いですね。
チックは緊張感と関係があると言われていて、緊張しているときとそれが解けたときの落差が大きいときに出やすいと言われています。学校などの緊張している場面だけでなく、家でリラックスしているときだけ出る子もいれば、その両方という子もいます。また、運動会などの行事の前や、その最中にチックが出やすくなることが多いと言われています。
本人が意識してやっているものではないので、長時間我慢することはできませんし、『ダメ』と言われても、自分ではどうしようもない。あまり注意すると、子どもが『自分は悪いことをしている』と罪悪感を感じたり、『自分はダメなんじゃないか』と自尊心を低くしてしまうので、指摘したり、注意したりするのは極力控えましょう」
専門家に診てもらったりしなくてもいいのでしょうか?
新井 「以下のようなときには、専門の病院に診てもらったほうがいいでしょう。
・ チックが1年以上続くなど回数、頻度があまりにも多い
・ 音声チックなどで周囲の家族がつらい思いをしている
・ チックの回数が多くて、本人の体に痛みや障害が出る
・ ほかの子にからかわれたりする
根本的な治療法はまだ見つかっていないので、チックを抑える効果のある薬を処方します。効き目は個人差があり、ほぼ解消する人もあれば、2〜3割程度しか効かないという人もいます。
いずれにしても、症状が無くなることを目標にするというよりも、本人が安心し、自信をもって生活できるような配慮をしてほしいと思います。体が辛くないかとか、ほかの子にからかわれていないか聞いたりして、サポートしてください。
親御さんとしては、友だちのいじめなどが心配だと思います。
初めにも言ったように、チックの症状にはいろいろな種類があるので、他人はそれと気づかないことがあります。チックが原因でも、それに気づかない担任から授業態度などでしょっちゅう注意をされていると、子どもたちからも『またやってる』などとからかわれるきっかけになったりするので、担任にも、あらかじめチックのことを伝えておくことも大切です」
●病院に行くときは、子ども専門の精神科に
ところでこれらのことについては、どの病院に相談すればいいのでしょうか。
新井 「基本的に、病院などでクセについて相談する必要があるのは、クセが長く続いたり、本人が辛いときなどが多いと思います。その場合、子ども特有の症状などの豊富な知識に基づいた、具体的な治療や薬の処方などが必要になってくるので、できれば精神科系の専門病院で、子どもを専門に診ている児童精神科などに受診することをおすすめします。
小児科でも、こころの相談や発達相談などをしているところであればよいでしょう。
抜毛症などの場合は、まずスクールカウンセラーに相談してもいいでしょう。そこから専門の病院を紹介してもらえることもあります」
まずは子ども専門のところに相談することが大切なんですね。
新井先生、どうもありがとうございました。
プロフィール
尾山台すくすくクリニック院長。
児童青年精神科医。東京都立梅ヶ丘病院に9年間勤務の後開業。「児童青年精神科のコンビニエンス・クリニック」として、親と子のニーズに合った、質の高いサービスを追求している。尾山台すくすくクリニック http://www.oya-suku.com/index.html