- トップページ >
- 学校・まなび >
- 放課後遊びを禁止したら、友だちがいなくなりました
学校・まなび
小学1年生 2014年11月20日の記事
放課後遊びを禁止したら、友だちがいなくなりました
《きいて、教えて、舟山先生!》 子どもを信じて送り出すことも必要です
いつの時代も、子どもにとって友だち同士での遊びはとても楽しいもの。特に男の子は、仲間同士ではめを外してしまうこともあります。親御さんとしては、しつけの方針を貫くか、子どもの友だち関係を保つために折れるべきか、迷うことも多いようです。
Q 約束を守れなくても、放課後遊びをさせるべきか迷います
はじめまして。東京都在住、1年生男子の母親です。子どもに放課後遊びをさせなくなってから、学校でも遊ぶ友達がいなくなり、困っています。
1年生入学よりほどなくしてから、子どもたちだけで放課後遊びに行く機会があったのですが、行く場所、時間、交通ルール、危険な場所に行かないなどを約束させて行かせました。
けれど、ダメだと思いながらも友だちに言われるがまま約束をやぶってしまっていたことが分かり、きちんと約束を守れるようになるまで、また、お友達にはしてはいけないことを「やめよう」と言えるようになるまで、放課後遊びを止めさせました。
その後、お友達に放課後遊びに行けなくなった理由などもきちんと話して遊べないと断っていたようなのですが……。次第に、学校での休み時間なども遊びに入れてもらえなくなり、一人でいることが多いと知りました。
本人に、放課後遊びに行く際きちんと約束が守れるか確認すると、自信がないと言い、泣くばかり。そして、放課後に遊べないと学校でも遊んでもらえないと言います。
親としては、約束を守る自信のない息子を行かせるのは、躊躇してしまいます。ただ、学校も行きたくないなどと言い出すことが多くなってきたので、かなり心配です。
息子にどんなアドバイスが適切か、また、放課後遊びに行かせるべきか悩んでいます。
(だんママ)
A.今、この時期にしかできない「子どもの付き合い」も大切
お子さんに対しては甘くなる親御さんが多い中、方針をもって毅然としていらっしゃるのが素晴らしいと思いました。自分の身は自分で守る、ということを小さいうちから教えるのは大事なことです。
ただ、ご相談を読んでいて、お母さんのこうした願いを受け止めるには、お子さんはまだ幼かったかもしれないなと感じました。
破った“約束”は、何だったのでしょうね? また、約束を破るような遊びをしているほかのお子さんのお母さんは、心配していないのでしょうか?
“約束” について、その通りに守れる子どもと、全然気にしない子どもがいます。たぶんご相談者自身は、どのような“約束”でも守るものだと思ってこられたのでしょ う。そして、お子さんは、約束を守らないといけないことはわかっていながら、流されてしまったのでしょう。それぐらい、友だちとの遊びは楽しかったので す。
どんな遊びをしていたかはご存じですか? 「お母さんも一緒に連れて行って」と言って、参観するとよいかもしれません。おそらく、肝を冷やすような遊びをしているかもしれませんね。でも、「それが子ども」だと思ったほうがよいと思います。母親から見ると、男の子はとにかく「考えなし」に見えるときがあります。
それは教室でもまったく同じです。女の子はルールもマナーも守ります。けれども男の子は、そんなものはどこかにすっとんでしまう子が多く見られます。教員に なりたてのときはそういう子を怒ってばかりいました。でも、生物学的にはこういう差があることが必要なのかもしれない、と思うようになりました。
「考えなし」に見える行動の中に、好奇心・実行力・創造性、そして明るさがあります。失敗もするけど笑いに変えられる要素が潜んでいます。
お子さんをどんな子に育てたいですか? 言うことを素直に聞いて、自分のことを抑えながら、うらやましそうに周りを見ている男の子ですか?
それとも、言われたことを忘れたりもするけど、ほかの友だちと楽しく遊んでいる元気な男の子ですか?
「角を矯(た)めて牛を殺す」という格言があります。「規則や約束」を守ることは大事ですが、それにとらわれ過ぎてはならないと思います。子どもには、今この時期にしかできない「子どもの付き合い」があります。子どもを信じて送り出すしかないときもあるのではないでしょうか。
私が新任の頃、ある先輩から「学校っていうのは、何度でもやり直すことができる場所なんだよ」と教えられました。つまり、「やり直しが許されるということ=子どもが子ども時代を保障されている」ということなのだと思います。社会に出たら、そんなことはもうないからです。
今後、放課後遊びをしていいということになっても、お母さんとの約束がきっちり守られるということはないでしょう。それはもしかしたら、お母さんから示した約束が厳しいからかもしれません。そのときこそ、お子さんと話し合って、子どもが自分から作った“約束”にするのです。自発的に考えた約束は守ろうとするはずです。そのとき、お母さん側からの条件となる希望は、最低限のものにします。それは「自分と他人の命と身体」を守るためのものです。
もう一つの条件は、お母さんが遊びを見に行く、ということです。もちろん、手ぶらではなく、全員の子のおやつ持参です。こういうお母さんは、子どもたちの中で人気があります。学校でも話題になるくらいですから。「○○君のお母さんって、話がわかるんだぜ」という会話を聞いたことがあります。そんなお母さんをもつ子どもは、仲間の中で、きっと楽しく過ごせると思います。