- トップページ >
- 生活・しつけ >
- いつ学校に伝える? 子どもの食物アレルギー[2/9]
生活・しつけ
年長 2015年2月9日の記事
いつ学校に伝える? 子どもの食物アレルギー[2/9]
〈食物アレルギーの子の入学 前編〉 まずは就学時健診や入学説明会で相談を
各地の小学校で入学説明会が行なわれる季節。
最近では、この機会にアレルギー疾患での学校の対応を希望する場合の相談窓口を設ける学校もあるようです。
特に食物アレルギーの子の場合、毎日の給食について、学校としっかり連絡をとり合っておく必要があります。
そこで、食物アレルギーの相談の流れや、食べられない食物がある場合の学校の対応策などについて、アレルギーの子の親の立場として、長年、教育機関の理解や対応を進める活動を行ってきたNPO「アラジーポット」の栗山真理子さんにうかがいます。
●学校でのアレルギー対応が決定するまでの流れ
子どもが食物アレルギーで食べられない物があるという場合、学校にはどのように伝えればいいのでしょう?
栗山「学校でのアレルギー対応については、文部科学省が『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』を作成しています。
そこに記載してある、小学校入学時の取り組み(アレルギー対応)実施までの流れの例をご紹介すると次のようになります。
11月〜4月 アレルギー疾患を把握する
就学時健診や入学説明会のときに、アレルギーに対する配慮や管理が必要な場合は、申し出るよう学校側から保護者に働きかけます。あるいは、入学後にアレルギー疾患の児童に対する取り組みについて相談を受け付ける旨が書かれた通知が保護者に配布されることもあります。
↓
11月〜4月 対象となる児童の保護者への管理指導表の配布
保護者の申し出により、学校での取り組みが必要な場合は、学校や教育委員会から保護者に「学校管生活理指導表」が配布されます。これをかかりつけ医に持って行き、記入してもらい、学校に提出します。
↓
1月〜4月 管理指導表に基づく校内での取り組みの検討・具体的な準備
保護者から提出された管理指導表に基づいて、校長、教頭、学級担任(学年主任)、養護教諭、栄養教諭らが、学校内で取り組みプラン案などを作成し、準備を行ないます。
↓
2月〜4月 保護者との面談
取り組みプラン案について保護者と話し合い、給食での対応や症状が出たときにどうするかなど、最終的なプランを決定します。
↓
この後、校内で「アレルギー疾患に対する取り組み報告会」などを開いて全教職員が児童生徒の取り組みプランの内容を理解したり、取り組みの振り返りや改善点の検討などを行なうことが記載されています。
以 上はあくまでガイドラインに取り上げられた一例です。多くの学校では、この例と同様の流れで保護者との話し合いを重ねているところが多いと思います。た だ、学校によって、ガイドラインの徹底度には差があるので、万が一入学説明会までに、学校側からのアレルギーに関する案内が何もなかったとしたら、こちら から学校側に問い合わせをしてみるといいでしょう。
な お、ここでお話ししたことは、『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』に掲載されています。ネットからもダウンロードできるので、学校と相談の前に、 ぜひ一度確認してみてください」
●「学校生活指導管理表」は、家庭と学校、医療機関をつなぐもの
例えば、学校に対してどのように相談などをすればいいでしょうか?
栗 山「給食や薬などで配慮が必要な場合は、就学時検診や入学説明会の段階で学校とよく話し合っておくといいでしょう。また、入学後の話し合いのときに、具体 的な内容について確認しましょう。就学時検診や入学説明会の時点では担任が決まっていませんし、年度が変わって入学すると、養護教諭などの職員が異動に なって、顔ぶれが変わっていることもあるからです(もちろん、その場合は、校内で申し送りされているのが基本ではありますが)。
そして何より重要なのは、入学前に配布された学校生活管理指導表(以下指導表)を、学校にきちんと提出することです。これは子どものアレルギーについての情報を医療機関で記入してもらうもので、食物アレルギーについては、病型や治療、緊急時の処方薬などのほか、原因食物や診断根拠などの欄があります。
文部科学省の調査では、指導表を提出している割合は、食物アレルギーのある子どもの中でも2割弱という結果が出ています。この指導表は、家庭と学校と医療機関が同じ情報を共有するために、3者をつなぐ役割を果たす大切なものです。子どものためにも就学時健康診断や入学説明会までに提出したいですね」
●除去食物が多すぎるときは注意が必要
栗山「もう1つ大切なのが、日ごろからきちんと通院して医師の診察を受け、その医師に指導表を書いてもらうということです。ふだん通院していない医師にいきなり診断表だけ書いてもらいたいと申し出ても、それはなかなか難しいからです。
ただし、もし血液検査の結果が陽性だからということで、除去食物とされているものが3つ以上ある場合や、検査するごとに除去食物が増えているなどという場合には、入学前に一度最新の専門知識を持ったアレルギーの専門医に診てもらうなど、見直しの機会とするといいかもしれません。
今は血液検査の結果が陽性の食品でも、実際には食べられることが多いということがわかってきているのです。もちろん、なかには多くの食品が食べられない子がいることも事実ですが、除去が必要な食物は多くて5種類、大部分の子どもは1〜2種類というのが現状のようです。
また、乳幼児期に調べた結果に従って、ずっと除去してきた食物でも、成長するにつれて食べられるようになるケースも多く見られるからです」
まずは親が正しい知識や情報を得ることが大切ですね。
栗山さん、ありがとうございました。
食物除去については、以前にも記事で取り上げています。こちらもぜひご覧ください。
プロフィール
NPOアレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」代表。
2人の子に食物アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎があった。その寛解をきっかけに2002年に「アラジーポット」設立。教育機関でのアレルギーの正しい理解によって子どもたちが安全に過ごせるよう社会基盤の整備を目指す。
アラジーポット http://allergypot.net/toppage
アラジーポットでは、アレルギーに対する学校での理解を深めるために、新入園・入学マニュアル作成しています。写真は「食物アレルギー」編で、このほかに「アトピー性皮膚炎」「小児喘息」編があります。
ダウンロード先はこちら http://allergypot.net/syokumotu.pdf