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生活・しつけ
年長 2014年5月13日の記事
年長になって1か月、子どもの気持ちは…? [5/13]
《年長ママへのアドバイス1》年長に進級したとき、ママと子どもの気持ちの間には少しギャップが生まれます。
年長に進級したとたん、なんだか言動が乱暴になった…。
年長になったのに、身支度などを「ママ、やって」と甘える…。
園で最年長児になったのだから、自覚を持ってほしいのに、今までできていたことができなくなったり、なんとなく性格が変わったように思えたり、「うちの子、どうしちゃったの?」と思うことはないでしょうか?
こどもコンサルタントとして、多くの園やメディアで講演されてきた原坂一郎先生に、年長になって1か月の子どもの気持ちについてうかがいます。
●子どもにとって、年長組は “我が天下”
年長になって、「うちの子、(マイナスに)変わった」と思うお父さん・お母さんがいるそうです。
この時期の子どもって、どんな気持ちなのでしょうか?
原坂 「年長4月の変化は、多くの子どもで見られます。
そして、こうした変化の謎は、子どもの気持ちが分かれば理解できます。
子どもにとって、年長だけは、今までの進級とは違います。年長は、何と言っても園での最高学年。
“上” がいませんので、やっと自分たちの天下になった気分です。
小学6年生と同じで、万能感、好き勝手ができるような気分を年長児は味わっています。
そして、大人も子どもも、4月というのは一つの区切りだと感じるものです。
今までうまくいかないことがあっても、リセットされ、1からやり直せるような新たな気分になるものです。
過去がリセットされて、万能感にあふれ、年長児の4月は “自由・自信・期待感” に満ち溢れているのです。
こうした、ワクワクした気持ちから、好き放題したくなる。そして、それは大人から見ると『変わった』ように見えるのでしょう」
なるほど。子どもの変化の正体は、そのような万能感だったのですね。
●親は「入学まであと1年しかない」と思い、子どもは「まだ1年ある」と思う
それでしたら、多少変化が見られても親は心配する必要はないということでしょうか?
原坂 「ここで見られる変化は、ひとつの成長の証しですから心配することはありません。
“自由・自信・期待感” こそが、年長になった自覚そのものなのです。
せめて進級したてのうちは、自由になった気持ちを謳歌させてあげたいものです。
親は、『もうすぐ1年生なんだからしっかりしてほしい』とつい思ってしまいがちですが、ここには親子の間でギャップがあります。
親としては、『あと1年で小学生なんだから、しっかりさせなきゃ』と、いまのうちから1年後を意識してしまいますが、子どもにとっての1年は相当先のことになります。
大体、子どもの1年は大人にとっての3年くらいの感覚でしょうか。子どもにとっては、小学校はまだまだ先なのです。
お父さん・お母さんは『もうすぐ、もうすぐ』と急き立てず、たとえば「4月は “年中児13か月目”」 くらいの気持ちでいましょう。
心配しなくても大丈夫です。
遅くとも秋くらいには、子どもたちにも入学に向けての自覚が生まれます。
運動会などさまざまな行事で、年長児としての役割を果たすことで、もうすぐ1年生という自覚が自然に生まれるのです」
原坂先生、ありがとうございました。
大人にとっての1年はあっという間ですけど、子どもにとっては長いのでしょうね。
いまのうちから「しっかりさせなきゃ」と気負わず、今は、目の前の子どもの変化を受け入れて、じっくり向き合いたいと思います。
【プロフィール】
1956年神戸市生まれ。
関西大学卒業後、独学で保育士資格を取る。
23年にわたる保育所勤務を経て、現在はこどもコンサルタントとして、全国各地での公演・講座、執筆活動を行う。
KANSAIこども研究所所長、日本笑い学会理事、関西国際大学教育学部非常勤講師を務める。
テレビ・ラジオなどのメディアにも多く出演し、著作も多数。
『男の子のしつけに悩んだら読む本』(すばる舎)は大ベストセラーとなった。
著書『男の子のしつけに悩んだら読む本』、『子どもの本当の気持ちが見えるようになる本』(2点ともすばる舎)
『「言葉がけ」ひとつで子どもが変わる』(PHP研究所)
他