“自転車が果たす社会的な役割”を広く一般に啓発することを目的として、広範囲な分野にわたる事業を展開。自転車利用者のルール遵守、マナー向上の啓発など、乗用環境の整備をはじめとして、自転車の総合情報施設である自転車文化センターの運営、さらには、自転車競技の普及促進などを積極的に推進する。
幼稚園・小学校への自転車安全セミナーの出張授業や、自転車利用実態の定点調査などの各種調査・研究に基づいた講演や寄稿も行っている。
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小学1年生 2018年5月10日の記事
子どもが自転車に乗るとき、一昔前までは「車に気を付けるんだよ~」なんて声を掛けたものですが、いま同じくらい怖いのが、自転車に乗る側が加害者になるということ。自転車事故での高額賠償のケースが注目されましたが、最近では「自転車保険」を義務化する自治体も増えてきているようです。そこで今回は、自転車の事故と自転車保険の現状について、日本自転車普及協会の谷田貝さんにお話しを伺いました。
自転車保険の話をする前に、自転車での交通事故の現状について伺いたいと思います。
「交通事故全体の件数が年々減少傾向にあるように、実は自転車事故の数も年々減ってきてはいます。負傷者数も5年前(平成25年)に11万9928人だったのが、昨年(平成29年)は8万8888人と、74%に減少しています。
自転車事故の相手別件数(平成29年)で見ると、やはり対自動車が7万6036件で全体の84%を占めトップですが、対歩行者は2550件、自転車同士の事故は2749件と、自転車側が加害者になる事故も少なからず起きているのが現状です」(谷田貝さん)
さらに、「交通事故全体の負傷者数に対する自転車事故の負傷者数の割合」、および、「自転車事故のうち、対歩行者・対自転車の事故件数」はいずれも前年を上回っていると語る谷田貝さん。そう考えると、自転車事故は、いつ我が身に起きてもおかしくないものだと言えそうです。
では、話題の自転車保険の加入義務化ですが、現在どのくらいの自治体が、どんな内容で規定しているのでしょうか。
「2018年4月の時点で自転車保険を「義務」としているのは埼玉、滋賀、京都、大阪、兵庫、鹿児島の6つの府県、また「努力義務」としているのは東京、香川、徳島、福岡、熊本の5つの都県です。市区町村レベルで定めているところもありますが、いずれも条例での規定となります。
ちなみに、「義務」と「努力義務」の違いは表現の違いによるもの。例えば埼玉県は『~加入しなければならない』とあるので義務、東京都は『~努めなければならない』とあるので努力義務に分類されます。義務だからといって罰則が生じるものではありません」(同)
「義務化」というから、てっきり罰則があるものだと思っていたら、そうではないのですね。しかし、谷田貝さんによると、自転車保険はある別の一面からも、検討する価値のあるものだと言います。
自転車保険の加入義務化は、罰則を伴わないとのことでした。それでも入ったほうがいいというのは、やはり加害者になったときの高額賠償などに備えるべきだからでしょうか。
「小学校低学年のお子さんということで考えると、加害者になったときのことより、むしろ被害者になる可能性の方が高いので、その備えとして、自転車保険に入るべきだと思います。一方、加害者になってしまったケースを考えると、何千万円という高額賠償もありますが、数十万~数百万円くらいが多いです。とはいえ、それも少ない金額ではありませんので、両方のケースを考えて、入っておいたほうが安心と言えるでしょう」(同)
前述のとおり、自転車事故の8割以上は対自動車で、自転車側が被害者になる確率の方が格段に高いということ。そして、「自転車保険」と銘打っている商品は、ほとんどが被害者になったとき・加害者になったときの両方を補償しているものだと言います。
また、自転車保険に入るべきタイミングは、ズバリ「自転車に乗れるようになったら」。低学年のうちは運転技術も高くありません。交通事故だけでなく、ちょっとした段差にフラついて、人の家の車を傷つけてしまった…などの可能性も考えられます。「親が同行するから大丈夫」と安心せずに、乗れるようになったら加入を検討しましょう。
では、具体的に「自転車保険」の内容を教えてください。
「自転車保険は、各損害保険会社から商品として出ていますが、いずれも本人への補償・相手への補償の両方を持っているものばかりです。保険料は月額300~500円ほどで入れるものが多く、インターネットやコンビニで加入できるものばかりなので、保険料や補償額を見比べて、ご家庭に合った保険を選んでください」(同)
「ただ、改めて『自転車保険』に加入しなくても、すでに補償を持っている場合もあります」と谷田貝さんは続けます。
・自動車保険、火災保険、損害保険の特約として、個人賠償責任保険を契約している
・会社の団体保険、PTAで入る保険の特約として、個人賠償責任保険を契約している
・都道府県民共済、コープ共済などの共済に、自転車事故の補償が付いている
・クレジットカードの付帯保険として、自転車事故の補償が付いている
・TSマークの付いた自転車に乗っていて、年1回、TSマークを更新している
「上記のように、すでに契約している保険に自転車事故の補償が付いている場合も多くあります。まずはお手持ちの保険を見直してみて、改めて『自転車保険』に加入する必要があるか検討するといいでしょう。分からない場合は、契約している保険会社のサポートセンターに問い合わせるのが確実です」(同)
ちなみに、「TSマーク」というのは、自転車がきちんと整備されていることを保証するもの。自転車安全整備店(まちの自転車屋さん)で点検・整備を受けることでTSマークを貼ってもらえます。TSマーク付帯保険の有効期間は1年なので、きちんと1年毎に整備を受け直して、更新するようにしましょう。
さて、自転車保険についていろいろお話しを伺いましたが、事故がないに越したことはありません。親子で自転車の交通ルールを見直すことはもちろん、「きちんと整備された自転車に乗る」、「子どもの体に合った自転車を選ぶ」、「ヘルメットをきちんとかぶる」など、基本的なところを万全に、これからのサイクリングシーズンを楽しみましょう。
(取材・執筆:八巻奈緒)
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