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生活・しつけ
年長 2015年3月13日の記事
「インタビューごっこ」で子どものやる気アップ![3/13]
《入学前の子どもやる気アップ・後編》ワクワク? 不安? どんな気持ちなのかを子どもにインタビューしてみましょう。
前回は、入学前に子どものやる気を下げてしまう言葉として、下記の3つの例を挙げました。
・期待を押し付ける言葉
・脅す言葉
・誰かと比較する言葉
他にも、「学校に行くのが楽しみだね」という一見前向きな言葉も、子どもを不安にさせてしまう場合があるのだそうです。
NPO法人ハートフルコミュニケーション 代表理事の菅原裕子さんにお話を伺いました。
●子どもの気持ちを先取りした言葉に注意
菅原 「まず親御さんに知っていただきたいのは、お子さんの気質によって、言葉の受け取り方が違うということです。
例えば『小学校に行くのが楽しみだね。新しいお友達ができるかな?』という言葉。
これは、前向きで良い声かけと受け取られる方が多いのではないでしょうか。しかし、『小学校に行くのが楽しみ』と、子どもの気持ちを親が先取りし、プレッシャーをかけている言葉とも捉えられます。
実際に『小学校に行くのが楽しみだな』とワクワクしている子なら、この声かけによって期待感がより膨らむでしょう。
ところが、『幼稚園のお友達と別れて不安だな…』と感じている子にとっては、『僕は不安だけど、楽しみにしなきゃいけないのかな』『新しい友だちができるか心配だな』と受け取ることもあります。
ですので親御さんには、お子さんとの会話から小学校に行くことについてどう思っているのかを知っていただきたいのです。それを知らずにプレッシャーをかけてしまうと、『学校に行きたくない』と思ってしまうかもしれません」
●入学前に子どもと「インタビューごっこ」をしよう!
菅原 「入学前のお子さんの気持ちを知るために、『インタビューごっこ』をしてはいかがでしょうか。
例えばお母さんがインタビュアーになりきり、紙を丸めてマイクに見立てて(マイクのオモチャを使っても)、お子さんに入学前の気持ちをインタビューします。
『はい、それでは今から、ママが○○ちゃん(子どもの名前)にインタビューします。小学校1年生になりますが、お気持ちはいかがですか?』
そう質問して、お子さんが『うれしい』と言ったら、『何がうれしいの?』とさらに質問して、『だって、給食がはじまるでしょ、新しい友達ができるでしょ』など、どんな心境かを答えてくれるでしょう。
インタビューをしてみて、子どもの不安な気持ちに気づくこともあるかもしれません。
例えば、『△△ちゃん(幼稚園の友達の名前)と別々の学校だからヤダ』と子どもが言ったら、『そうですね~。△△ちゃんと学校が別々なのは悲しいよね。ママも悲しいです』と、子どもの気持ちに共感します。
そして、『じゃあ、△△ちゃんとは、別々の小学校に行っても遊びますか?』『小学校で新しい友達を作りますか?』と、質問していってもいいですね。
インタビューごっこという行為自体も子どもにとって楽しめると思います。
『小学校に行くのを楽しみにするべき』というのは、大人の希望の押し付けです。お子さんがどう思っているのか、楽しく会話する中で聞いてみてください」
●事実を明るく、楽しそうにほめてやる気アップ!
菅原 「第一子のお子さんの小学校入学であれば、お母さん自身もはじめての経験ですよね。わからないことが多いと、不安になったりするのではないでしょうか。
他の子もできるのに、家の子はできない、どうしよう……と思うこともあるかもしれません。でも、大丈夫です。小学校に入学し、新しい環境に慣れてくれば、周りの子と同じようにできるようになるはずです。
できないことばかりを気にするのではなく、今できていることを喜んであげてください。前回もお伝えしましたが、『えらい』『いい子』『上手』という評価言葉は必要ありません。
あまり『上手』と、評価言葉を使ってほめすぎると『上手にやらなければいけない』『失敗したくない』とストレスになります。
だから、上手であることをほめるのではなく、できた“事実”を具体的に、うれしそうにほめるのがポイントです。
洋服を自分で着られたら
『あっ、ボタンが自分でかけられたね!』
朝、自分で起きられたら
『あっ、自分で起きた!』
そんなふうにママが明るく、うれしそうに言えば、お子さんの『次も自分でやろう』という内発的なやる気を引き出すことができるのです。ぜひ、今日から意識してみてくださいね」
上手い・下手よりも「できた」事実を喜ぶことが、子どものやる気につながるのですね。
菅原さん、ありがとうございました。
プロフィール
NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。
有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役。
企業を対象とした研修や企業文化変革のコンサルティングを行う。
企業の人育てと自分自身の子育てという2つの能力開発の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム『ハートフルコミュニケーション』を開発。各地の学校やPTA、地方自治体の講演やワークショップを行っている。
著書:『子どもの「やる気」のコーチング “自分から学習する子”に変わる方法』(PHP文庫)、『自分と子どもがよくわかる本~エニアグラムで幸せ子育て~』(二見書房)など。
『NPO法人ハートフルコミュニケーション』