現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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小学1年生 2019年4月16日の記事
小学校に入学して1か月、親子ともに緊張や不安を感じながら過ごしてきた中で、初めての長期休暇であるゴールデンウィーク(GW)がやってきます。しかも今年は、10連休という超大型連休! 何をして過ごしたらいいの? と迷ってしまうママもいるのでは。今回は、小1のGWの過ごし方について、元小学校の教員であり大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
「うちの子は電車が好きだから、電車イベントに行こうかな」とか「どこか子ども向けのテーマパークに出かけようか」などと予定を立てている人も多いですよね。でも実は、子どものことを考える前に、「パパやママ自身がやりたいことを探してみて」と塩谷先生。
「長いお休みは、楽しい反面、子どもに終日付き合ってストレスが溜まったり、3食用意しなきゃと少し憂鬱になってしまう部分もあると思います。そこで、まずはママ自身が楽しめるGWの過ごし方を考えてみませんか?
自分が楽しむなら何がしたい? 夫婦では? 家族では? とまずは保護者自身を中心にして、楽しめる共通項を探してみましょう。というのも、子どもは大人のことをよく観察しています。親が思いきり楽しんで笑顔になっている様子を見ることで、子どもも心の底からリラックスでき、いわゆる“非認知能力”を育むことにも繋がりますよ。
何か特別なことをする必要はなく、たとえば、いつもは慌ただしく食べている食事を、バイキング形式で好きなものをとって、おしゃべりしながらのんびり食べる。また、每日負担に思う家事も、家族みんなでやったら楽しいですよね」(塩谷先生)
つい子どものことばかり考えてしまいますが、保護者自身が楽しめることを探すことで、家族みんなが心から笑顔になれそうですね!
それでは、今度は子どもの立場から、GWだからこそおすすめしたい過ごし方を教えてください。
「GWは、子どもの興味関心を広げたり深めたりする良い機会です。小学校入学は、子どもが生涯の学びのスタート地点に立ったということ。学びには、『学校の授業での学び(フォーマルラーニング)』と『学校の授業外での学び(インフォーマルラーニング)』の、大きくわけて2種類があります。特に1年生は、『学校の授業外での学び』を意識するといい学年であり、GWは絶好の機会なのです。
たとえば家族でキャンプに行って、川遊びをしたとします。魚を見つけたら『これは何という魚かな?』と疑問に思ったり、河原でキレイな石を探して集めたり。食事のとき、火の起こし方や炊飯の仕方を身につけることもできますよね。これらは立派な学びです。
学校の授業のように時間割があるわけではないですが、だからこそ、かけがえのない学びなのです。アウトドアに限らず、博物館や図書館に行ったり、映画館で映画を見たり、おじいちゃんやおばあちゃんに手紙を書いたりすることも、学びの一つです」(同)
学校の授業以外にも「学び」の場がたくさんあるという見方ができると、子どもとの過ごし方やお出かけ先の選択肢も広がってきますね。
GWを子どもの学びの機会として捉え、子どもの興味関心を広げてあげたいと思っても、どんなことをやればいいのかは難しいところです。
「まずは、自分の子どもがいま何に興味があるかを知ることが大切です。そのうえで、興味があることの少し隣のジャンルや関係していることを提案して、子どもが無理なく、より多くの世界に出会うチャンスを作ってあげましょう。
釣りが好きだったら、『もっとたくさんの魚を見るために水族館に行ってみようか』とか、『今度一緒に魚を料理してみる?』と、魚を軸にして別の体験へと誘ってみるのはどうでしょうか。テレビや映画が好きな子なら、『お芝居やコンサートに行ってみない?』と提案したり、とにかくお出かけが好きな子には、『外出前に、地図を見ながら目的地までの道順を考えてみようか』と促したりしてみるのも面白いですね」(同)
確かに、興味があることに関係していれば、これまで体験したことがないことでも抵抗なく受け入れてくれそうです。子どもが好きそうなイベントやお出かけ先の候補をいくつか提示して、どんな過ごし方をしようか一緒に考えるのも、新たな世界に踏み出す一歩になるかもしれませんね。
一方、いま興味を持っていることをさらに深めさせたい場合はどうしたらいいでしょうか。
「好きなことにとことん集中させたい、没頭させたいときは、子どもが熱中している時間を遮らないことが重要です。普段は学校があったり、次の日の準備があったりで、飽きるまで好きなことをやらせてあげることは難しいものですが、GWだったらたっぷり時間があります。お休みが続くので、明日のことを考えなくてもいいですよね。本人が『もういい』というまで、思う存分集中させてあげさせてください」(同)
筆者自身、「もうお昼だからご飯にしない?」とか「そろそろ帰ろうか」など、親の都合で子どもが夢中になっていることを遮ってしまうことがよくありました。好きなことに思う存分取り組めると心底楽しいし、次々と新しい発見もあります。親の方も覚悟がないとなかなかできないことですが、だからこそGWにチャレンジしてみたいと思いました。
「この、没頭する時間がとても大切なのです。自然の中で駆け回ることが好きな子だったら、子どもから帰ろうと言うまで思いきり遊ばせてあげる。そのつもりでお弁当を作っていったり、汚れてもいい洋服を着せたり、着替えも多めに持っていくなどの準備もしておきましょう。絵を描くことが大好きな子であれば、いつもより多めに材料を用意しておくといいですね。また、その日は他の予定を入れないでおくことも必要です」(同)
勉強や学びというと、学校の授業がメインだと思いがちですが、実は私たちのまわりに貴重な学びの場はいくつも転がっているということがわかりました。自由に使える時間がたくさんあるGW。子どもの「好き」や「楽しい」を引き出し、学校の授業では体験できない学びをたくさん経験して、家族みんなで楽しい想い出を作りませんか?
(取材・執筆:水谷映美)
現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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