大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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小学1年生 2018年3月13日の記事
はじめての小学校、ピカピカの1年生でスタートした今年度ももうすぐ終わり。4月からは2年生ですね。進級を前に、さらに知的好奇心が広がる絵本をご紹介します。
『あらかわ・すみだがわ』(村松昭 作)は、「荒川」と「隅田川」の絵地図絵本です。秩父の山奥から流れだし、埼玉県と東京都をぬけて、東京湾にそそぐ全長173キロメートルの「荒川」。この川は、とちゅうで、「隅田川」と「荒川本流」にわかれます。昔、下流にあたらしい川を掘ったことで2本の川になりました。
…こう書くと、むずかしい絵本のようですが、まったくそんなことはありません。一度、本を開いてみればわかる、鳥が空の上から地上を眺めているような、とっても美しい絵地図の絵本です!
化石のたくさん見つかる上流部から、土地の起伏、森林や川のまがりくねった形、線路や駅、橋、建物など、海にそそぐ下流まで、まるごと“絵”としての川の地図をあじわえます。小さなお子さんでも読めるひらがなの絵本に、専門家もびっくりの内容が詰まっています。
子どもたちに「荒川、隅田川って知ってる?」と聞けば、「隅田川花火大会!」とか「名前は聞いたことがある」という子がいるかもしれませんね。本書の表紙には、東京スカイツリーとそこから見下ろす2本の川が描かれています。有名な川だけど、よく知らない川のこと。これを機会に親子で学んでみませんか?
本書では、奥秩父の神さまとお使いの女の子が、雲に乗って、空の上から「荒川」を案内します。聞いたことのある駅や、いくつものダムを抜けて、埼玉から東京へ…。ついに「いわぶちすいもん」の赤と青の水門で、「隅田川」と「荒川本流」にわかれます。ページをめくって川の流れを追いながら、鳥瞰図のダイナミズムをあじわってください。
地図には、鳥をはじめ、さまざまな生き物が描きこまれています。桜並木もあちこちにあり、お花見の季節に眺めるのも楽しそう。夏はハイキングやバードウオッチング、花火で河川敷にいくときに、本書を参考にして出かけるのも素敵な経験ではないでしょうか。親子はもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんとも一緒に楽しめる絵本です。この本は「日本の川」というシリーズの中の1冊。他に『よどがわ』『よしのがわ』『いしかりがわ』など、現在までに全7冊が出版されています。
『マイ・ジャパン』(フィリケえつこ 作・絵)は、これからますます英語が身近になる小学生に、ぴったりの絵本です。
作者のフィリケえつこさんは、フランス人と日本人とのあいだに生まれた息子が学校に入ったのをきっかけに、日本の子どもたちの生活ぶりを外国でも紹介できるようにしたいと思って本書を作ったそうです。
本書では、7歳の女の子「ゆみ」が、自分の家やくらしを、日本語と英単語表記とイラストでわかりやすく説明していきます。子ども部屋やおふろ、台所などそれぞれの部屋を紹介し、子ども部屋で、二段ベッドを弟とつかっていることや、ランドセルをあけて翌日使う学用品を準備しているところが描かれます。
ランドセル(School Bag)、つくえ(Desk)、ふとん(Futon,Blanket)など、一つ一つ英語表記されているので、お子さんと絵を見ながら一緒に読んでみてくださいね。台所のページでは、日本食でおなじみの寿司、ラーメン、天ぷら、コロッケなどにも英語が併記されていて、日本語と英語を読み比べてみるのもおもしろいです。
七夕やお正月などの行事、学校生活のことなど、本書を読むと、私たちのまわりには意外と「日本独自のこと」が多いとわかります。巻末には全ページの英語訳付き。今後、高学年や中学生になっても、英語学習に役立ちそう。
作者によると、たとえばフランスで買える「ふとん」は体操マットのように重く、たたんでしまえるものではないのだとか。太陽の下で干すとふんわりする日本の「ふとん」を教えてあげたいなあと思ったそうです。日本のくらしを英語で見直すことで、異文化や外国語に興味をもつきっかけになったらいいですね。
2冊の絵本を通じて、身の回りから知的好奇心が広がっていく体験を、親子で楽しんでくださいね。
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大和田佳世(おおわだ かよ)
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