大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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学校・まなび
小学1年生 2017年10月11日の記事
運動会に学芸会とイベント続きの秋。みんなが活躍できたらいいけれど、なかなかそうはいかないことも…。でも、こんな本を読むと、最後まで何が起こるかわからないし、あきらめずにやってみようと思えるかもしれません! 2冊ご紹介します。
『ちびっこ大せんしゅ』(シド・ホフ 文と絵)は、野球のチームのなかで一番小さな男の子、ハロルドのお話です。「あんたはかえったほうがいいんじゃない?」「まだ小さすぎるんだもの。らいねん、またくるといいわ。」とショートを守っている女の子、シャーリーに言われますし、「きみなんか、もう、こなくてもいいよ。」とのっぽの男の子、ファーストを守るレオンに言われます。
ハロルドは一生懸命練習しますが、内野ゴロは取りそこなうし、うまくバットをふることもできません。いつも控えのベンチに座って、試合を眺めるばかりでした。でも、ある試合でレオンが足をいため、ハロルドに出番が回ってきます。0対0のまま、9回裏の攻撃。「きみのでばんだ!」とコーチに言われたハロルドは……?
『ひとまねこざる』のシリーズや『ちびくろ・さんぼ』『はなのすきなうし』など数々の名作を世に送り出した、光吉夏弥さんによる翻訳幼年童話。文と絵ともに、ニューヨーク生まれのマンガ家、シド・ホフが書いています。シド・ホフは子どもの本を50冊以上書いているそうですが、中には野球のお話がいくつかあり、この『ちびっこ大せんしゅ』はとくに野球好きのちびっこには楽しいお話です。もちろん、野球のことをよく知らなくても、まわりからバカにされても野球をやめず、チャンスが来たときバッターボックスで思い切りバットをふったハロルドの姿は、子どもの心にヒットするにちがいありません!
小学校1年生のひとり読みにぴったりの幼年童話。背が低いことや、小柄なことを気にしている子がいたらぜひ読んでほしいお話です。「きみは、からだが小さいので、くよくよしているようだが、せがひくくても、大せんしゅだったのは、たくさんいるんだよ。」コーチのロンバルドさんが、ハロルドを励ますように、がんばっている子に声をかけてあげたくなります。さて、ピンチヒッターとして打席に入ったハロルドが、どんなふうに知恵を使ってチャンスを物にしたのか、ぜひ本を読んでみてくださいね!
次にご紹介するのは、モンゴルの子どもたちに親しまれている昔話『ゴナンとかいぶつ』(イチンノロブ・ガンバ―トル文、バーサンスレン・ボロルマー絵)です。
昔、モンゴルの草原にゴナンという男の子が住んでいました。小さい頃から力持ちでしたが、あるとき恐ろしい怪物マンガスが村をおそい、宝物や家畜を奪っていったのを見て、「ぼくがマンガスをやっつけにいく!」と決意します。ゴナンは、かしこい白い馬にのって、出かけていきました。赤い地獄海や、通り抜けようとすると骨が矢のようにつきさしてくるガイコツ山。苦難を力いっぱいのりこえて、マンガスの家にたどりつきます。弓比べにかけくらべ、そしてついに相撲で決着をつけることになりますが、ゴナンは怪物マンガスに勝てるのでしょうか…!?
モンゴル人作家と画家により描かれた絵本は、ゴナンの生き生きした姿はもちろん、赤い地獄海、ガイコツ山などダイナミックな絵が臨場感たっぷり。人々が暮らす緑豊かな土地と、マンガスが住む赤く乾ききった岩の大地の絵に、自然の美しさときびしさを感じます。人の力ではあらがえない大きな力が暮らしをおびやかす…、でもそんな中で、ゴナンは持てる力をすべて出して、マンガスに勝負を挑みます。三日三晩の相撲の末、勝敗を決したのは、なんとかしこい白い馬の一言でした。
表紙に堂々と大きく描かれた怪物マンガスは、迫力たっぷり。この怪物と戦う気持ちになれば、たいていのことには立ち向かえる…かもしれません!? まわりの助言に耳を貸すことも大事。そして、何よりあきらめずに戦う勇気を教えてくれる絵本です。
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