大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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年長 2017年7月27日の記事
いよいよ夏休みがはじまりましたね。わくわくでいっぱいの子どもたちが目に浮かびます。夏は、いつもとちがった生活体験ができるチャンス。旅先や田舎で、自然を身近に感じることは、子どもを成長させてくれます。もしかしたら家でだってできることがあるかも……。そんな2冊をご紹介します。
『だいちゃんとうみ』(太田大八 作・絵)は、長崎県生まれの絵本作家、太田大八さんが描いた絵本です。夏休み、だいちゃんは、海の近くに住むいとこのうちに遊びに行きました。まだ朝暗いうちから、いとこのこうちゃんと一緒に、だいちゃんは船着き場へ走っていきます。漁師のおじさんに、魚やエビなどをわけてもらうのです。
朝ご飯がすむと、小川でカワエビをすくい、それをエサにして海に出て魚を釣ります。こうちゃんのお兄さんが船を出してくれるのです。お昼には、浜辺で“みな”という貝を採って、“みなめし”を炊きます。日が暮れ、海と空があざやかに染め上げられ、だんだんあたりがうす暗くなっていくまで、だいちゃんは一日を外で過ごします。ご飯の炊けるにおい、たきぎのにおい、動物たちのにおい……。いろんなにおいが漂ってきそうな絵本です。
作者の子どもの頃の、夏の海辺の生活をいきいきと描き出した絵本。出版されてから40年近くたった今でも、読み継がれるロングセラーです。この絵本を読むと、海辺に泊まりに行きたくなります。貝を拾ったり、釣りをしたり、朝や夜の海を見たり……。海辺で過ごす何気ないひとつひとつが、子どもにとっては宝物になりそう。早朝から夕暮れまで、繊細な色のうつりかわりを、ぜひあじわってほしい絵本です。
もう一冊ご紹介したいのは、こちら。『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン作、マーガレット・ブロイ・グレアム絵)です。黄・青・緑だけで描かれているのに、こんなに愛らしい絵本ができるのか!と感動しちゃうほど、温かいイラストがかわいい絵本です。
「なつやすみはどこもいかないから、なんでもすきなことをやっていい」とお父さんに言われたトミーは、近所の人たちの旅行中、鉢植えをあずかることにします。お父さんもお母さんも、家に帰ってきたら、うちじゅう植木鉢でいっぱいでびっくり。お父さんは植木鉢につまずいて「こんなくだらないもの、いっぱいならべたの、だれだい?」とどなります。
迷惑顔のお父さんですが、トミーはへっちゃら。鉢植えの世話が上手なトミーのおかげで、植物はどんどんのびて、からまりあって、家の中はまるでジャングルに! 鉢植えに囲まれてご飯を食べ、鉢植えに囲まれてテレビを見る。トミーは「こんなおもしろいこと、いままでにいちどもなかった」と思います。さて、どんどん伸びていく植物を見て、トミーがどうしたかというと……?
作者のジーン・ジオンとマーガレット・ブロイ・グレアムはご夫婦で、ふたりで絵本をいくつも作っています。『どろんこハリー』『うみべのハリー』を読んだことがある方は、この絵に見覚えがあるかもしれませんね。トミーが1日2セントで預かった植木鉢は、夏休みが終わる頃には、元気になってさらに増えて、素敵な場面をみせてくれます!
トミーの鉢植えのダイナミックさにはかないませんが、ふだん暮らしている家を、こんなふうに緑でいっぱいにする夏休みもいいですよね。
「ぼくにまかせて」と言って、植物でも生き物でも、夏休みの間、きちんとお世話することができれば、それは立派な自然体験。子どもが夏に出会う「自然」はきっと様々です。わくわくしながら、親も一緒に感動できたらいいですね。
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大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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