1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務め、退職後は、全国各地のPTAや市町村の教育講演、本の執筆に精力的に取り組んでいる。
メールマガジン「親力で決まる子供の将来」は新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛され、教育系メルマガとしては最大規模を誇る。
著書多数。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年6月12日の記事
「子どものうちなら、短所も困った性格も直せる。大人になるとなかなか直らないから、子どものうちに直さなければ」などということがよく言われます。
だらしがないのも子どものうちなら直る。
何をやるにも人の2倍の時間がかかるマイペースなのも、子どものうちなら直る。
片づけや整理整頓ができないのも、子どものうちなら直る。
嫌なことを後回しにする困った性格も子どものうちなら直る。
消極的な性格も子どものうちなら直る。
こういうことが世間でよく言われます。
でも、実はこれらはすべて間違いです。
これらはすべて、ウソであり作り話であり迷信なのです。
短所を直すとか、困った性格を直すなどということは簡単なことではありません。
なぜなら、その多くは生まれつきのものだからです。
生まれつきのものを直すには、強いモチベーション、かたい意志力、自己管理力、情報収集力、方法を工夫する思考力などが必要です。
子どもにはこういうものはありません。
好きなことでの成功体験で、自分に自信が持てるように
子どもの短所に注目して、いつまでもそこをつついていても、決していい芽は出ません。
そこには目をつむって、その子の好きなことや熱中できることを応援して、先に伸ばせるところをどんどん伸ばすほうがいい結果が得られます。
そうすれば、親子ともども楽しい毎日が送れるようになります。
そして、子どもは自分に自信を持てるようになり、きらきら輝いてきます。
エネルギーもわいてきて生活全体に張りが出てきます。
一つのことで自信がつくと、他のこともできそうな気がしてきますし、がんばってみようという意欲もわいてきます。
それによって短所が直ることもあります。
もし直らないまでも、目立たなくなるということはとてもよくあることです。
親が「子どものうちに短所を直してやろう」と思い込むと、親子ともども非常に苦しむことになります。
なぜなら、毎日叱ることが増えるからです。
毎日叱られている子は、どうしても自分に自信が持てなくなります。
その子が持っていた長所まで輝かなくなってきます。
同時に、叱られてばかりいる子は親の愛情を疑うようにもなります。
「お母さんは、私のことをダメな子だと思っている。私のことが嫌いなのかも…」
「お父さんは、私のことをあまり大切に思ってくれていない。愛されていないんだ」
こう思うようになってきます。
すると、必要以上に反抗的な気持ちが強くなってきます。
しかも、叱って直るかというと、直らないのです。
親が見ているときやガミガミ言っているときは、一応やっている振りをするかも知れませんが、そうでないときはやりません。
場合によっては、反動が出てよけいひどくなることもあります。
このようなわけで、子どもの短所については、思い切って目をつむる勇気が大切です。
子どものうちに直して完璧な子にする必要はありません。
こういったものは、思春期以降、あるいは大人になってからの方が、直る可能性があります。
きっかけの一つは、将来の夢ややりたいことが見つかって、それに向かってがんばり始めたときです。
夢の実現のためには、自分の短所や困った性格も直さなくてはならないということがわかるからです。
時間にルーズでは夢は実現できません。
忘れ物ばかりしていては無理です。
片づけや整理整頓も必要になるかも知れません。
やりたくないことも苦手なことも、夢の実現のためならがんばれます。
もう一つのきっかけは、何か大失敗をして本当に困ったときです。
時間にルーズなせいで、大事な商談に遅れた。
整理整頓ができないために、大事な書類を紛失した。
やるべきことを後回しにした結果、仕事が溜まって苦しんだ。
好きな子ができたのに消極的で声をかけられなかった。
このような失敗をきっかけに、心の底から反省して「直すぞ!」と一大決心したとき、直る可能性が出てきます。
夢を持つにしても大失敗して反省するにしても、いずれにしても自分の人生や将来を真剣に考えられるようになってからの話です。
でも、子どもは、自分の人生や将来を真剣に考えるということができません。
だから、子どものうちには直らないのです。
このようなわけで、短所に注目して毎日叱ってばかりいるのはやめましょう。
短所には目をつむって、先に伸ばせるところを伸ばすこと、これが子育てのコツです。
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1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務め、退職後は、全国各地のPTAや市町村の教育講演、本の執筆に精力的に取り組んでいる。
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