大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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生活・しつけ
年長 2017年5月30日の記事
朝。一日のはじまり。
起きて、着替えて、ごはんを食べて……と親子にとってあわただしい時間。子どもがひとりですっきり起きてくれればいいけれど、起こしてもなかなか起きないことも……。そんなときには「いいかげんにおきなさい!」「もう、おきるじかんよ!」なんて、ママの声も大きくなっちゃったりして。
私自身3人の子を子育て中ですが、朝を気分良く過ごせるかどうかってすごく大事です。1日のスタートの勢いによって、その日の終わりに「きょうは一日がんばってすごせたな」と思えるかどうかが変わってくる気がします。その日の良し悪しにかかわってくるんですから。切実です。毎朝なんとなく機嫌が悪い子を前に「どうしたら朝気持ちよく起きてくれる子になるんだろう?」と悩みを抱えているママがいたら、こんな絵本をおすすめしたいのです。
それはこちら、『おきるじかんよ!』(マリサビーナ・ルッソ 文・絵)です。
おかあさんがベッドでねむっている男の子を起こしに来ます。
「おきるじかんよ!」
でも男の子は、「ねむーい」と目をつぶったまま。おかあさんはやさしい顔で「めをあけてごらん」と言います。男の子は「かたほうならね」と片目をあけてみせます。キスして起こして、毛布をはいで。それでも起きないから「くすぐっちゃおう」と足をくすぐります。男の子はおかあさんをくすぐりかえします。おかあさんも男の子も笑顔で、朝のやりとりを楽しんでいるみたいです。
本書を読んだら、「おきなさい!」と頭ごなしに起こすのがはずかしくなります。親子といえども、チームワークが大切。気分よく起きるためには、短時間でも子どもとコミュニケーションする、心の余裕が大事なのですね。たとえば、ちょっと「ぎゅっ」とするとか、くすぐりっこするとか……。
本書の最後では、すっかり身支度がととのって出かけるときに、逆に男の子のほうが「まだなの? はやくしてよね」なんておかあさんを待ち構えていたりして。笑って元気に起きられれば、子どもも「よし、一日がんばるぞ!」と前向きな気持ちになれます。生活習慣が確立する年長さんこそ、こうした「機嫌よく起きる」ちょっとした工夫が、就学期のいい習慣につながるかもしれませんよ。
さて、朝元気に起きるためには、夜眠ることから。『ぼくはちっともねむくない』(クリス・ホートン 作)は、アイルランド生まれの世界を旅して歩いた作者が描いた、カラフルな色あいがとても素敵な一冊です。
沈みかけているお日様が、森を茜色に染めます。夕闇が近づく森の中。動物たちの目は、とろーん。でもくまの子は「ぼくはちっともねむくない」と目をぱっちり。ひとりで出かけていきますが、遊び相手がいなくて……?というお話です。
思いがけない場所にしかけページがあり、空はあざやかな赤むらさき色で、濃紺の見返しには南半球と北半球の星空がそれぞれ描かれ、太陽系の惑星が描かれています。宇宙を感じさせてくれるデザインが美しい絵本です。
「まだねむくないもん」というお子さんには、「○○ちゃんとおなじ、ねむくないくまの子のおはなし、読んであげようか」と読んであげてください。「ぼくはちっともねむくない……」というくまの子が、だんだん目を閉じていくように、お子さんも眠る心の準備をしていけるでしょう。
ねむくないくまの子が、だんだんねむくなって、ねむるまで。おかあさんのぬくもりのそばで。星降る夜……次々動物たちはねむりにつき、森にしーんと静寂がおとずれます。
一日の終わりに、子どももママも癒される、そんな絵本です。素敵な絵本で、よい夜を。そして親子で「おはよう」とよい朝をむかえてくださいね。
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大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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