大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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小学1年生 2017年5月16日の記事
緑が気持ちいい季節になりました!
入学して1か月が過ぎ、学校の友達や先生ともだいぶ慣れてきたころ。
同時に緊張がとけて疲れが出やすかったり、クラスの他の子のことが気になったり。
もやもやしたぱっとしない気持ちを子どもから感じたときは、
こんな絵本を読んでみるのはいかがでしょうか?
『アルノとサッカーボール』(イヴォンヌ・ヤハテンベルフ 作)の
主人公の男の子の名前は、アルノ。
パパからもらった新しいサッカーボールを抱えています。
アルノはサッカーをしたいけど、おひさまみたいにぴかぴかの新しいボールを見ると、
「つかうのがもったいないなあ」と思ってしまうんです。
ママにも「だいじにするのよ」と言われます。
サッカーボールを抱えて外に出たアルノは、なかなか蹴ろうとしません。
でもあちこち歩き回るうちに、サッカーをしたい子が数人ついてきました。
みんなはじめて出会う子たちです。
でもボールとゴールがあって、友達がいれば、試合はできるのです!
アルノはしりごみする気持ちをひきずったまま、キックオフ。
最初はドキドキ。
でもだんだん盛り上がってきます。
走り回って、大声をだして、どろどろになって。
子どもたちみんなが、元気にはじけていくようすがいきいきと描かれます。
思いっきりボールを蹴飛ばしたあとの笑顔!!
最後のページのアルノはとってもいい顔をしています。
しりごみしていたことなんて、どこか遠くにいっちゃったみたい。
この本を読んだら、すぐにでもボールをもって外へ出て、ボールを蹴っ飛ばしたくなるかもしれませんよ。
もう一冊ご紹介したいのは
『マルマくんかえるになる』(片山令子 文/広瀬ひかり 銅版画)です。
大きな蓮の池の中、かえるの子たちがすいすい泳いでいます。
でも、マルマくんはうまく泳げないのです。
泳げる子たちはマルマくんをからかいます。
マルマくんは葉っぱにしがみついて、飲みこんだ水をごほんごほんと詰まらせながら、えーんと泣いています。
そこへ、がま先生がやってきて、運転する蓮のバスに、マルマくんをのせました。
黄色いキーヨくん、紅色のルビーちゃんもいっしょです。
がま先生は、おたまじゃくしからかえるになる途中で、まだおっぽが残っている3匹に、
かわいい浮き輪と水中メガネをもってきてくれました。
3匹が泳げるようになるために、とくべつ授業をしてくれるのです。
がま先生の「ゆっくりだっていいんだよ」という言葉が素敵です。
泳げなかったマルマくん、キーヨくん、ルビーちゃんの手足はだんだん大きくつよくなり、
ついに浮き輪なしで泳げる瞬間がやってきます!
プールの季節はもう少し先ですが、『マルマくんかえるになる』を読むと
ゆっくり上達することも素敵なことだと思えてきます。
マルマくん、キーヨくん、ルビーちゃんは、
仲よくお昼寝したりおやつを食べたり、寄り道したり……。
その姿はとても楽しそうで、3匹がついに泳げたときの喜びも、きっと3倍!
お友達といっしょに上手になれるっていいことだなあと思えます。
広瀬ひかりさんのうつくしい銅版画が、さわやかなこれからの季節にぴったりです。
ボールを蹴って、走り回って、水に飛び込んで。
友達と体を動かしながら、出会っていくのは、あたらしい自分です。
子ども同士夢中で動き回ったあとの「楽しかった!」の笑顔が見られたら……
親はこんなに幸せなことはありませんよね。
なお、『アルノとサッカーボール』は2011年に出版された絵本で、今は書店で手に入りにくいかもしれませんが、ぜひ図書館などで手にとってみて下さい。
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