大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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学校・まなび
小学1年生 2017年4月18日の記事
入学式からはじまった小学校生活。
毎日教室で過ごすことに、少しずつ慣れてきたころでしょうか。
4月はまだ学校生活に慣れることが中心だと思いますが、
本格的に授業がはじまる前、今の時期にこそご紹介したい絵本があります。
それがこちら。『教室はまちがうところだ』(蒔田晋治・作/長谷川知子・絵)です。
「教室はまちがうところだ
みんなどしどし手をあげて
まちがった意見を言おうじゃないか
まちがった答えを言おうじゃないか」
こんなふうにはじまる絵本です。
たとえば……せっかく授業がはじまって、「ハイ」と思いきって手をあげて答えを言ったのに、クラスのみんながどっと笑ったりしたら……?
恥ずかしくてもう手をあげたくないと思うかもしれない。
それだけじゃなく勉強がきらいになってしまうかもしれません。
新1年生の子にとって、手をあげるのがこわい、恥ずかしいのは当然です。
ふりかえってみれば、ママもきっと覚えがあるはず。
先生に指され、立ち上がって何かをしゃべろうとしたけれど、
緊張して体がかっと熱くなり、胸はドキドキ、ごにょごにょとちんぷんかんぷんのことしか言えず、
あとから「ああいえばよかった、こういえばよかった」ともやもやする……。
この絵本は、それでいいのだと言ってくれます。
何度もくりかえすうちに、言いたいことが言えるようになってくるのだと。
笑顔で先生が言います。
「おそれちゃいけない
わらっちゃいけない
安心して手をあげろ」
まちがうことをおそれていては、学習はできません。
ああじゃないかこうじゃないかとクラスのみんなで言い合ううちに、だんだんいい教室になっていくのだとおしえてくれます。
本書は、小中学校の先生だった蒔田晋治さんの詩に、長谷川知子さんがいきいきとした子どもたちの姿を描いた絵本。
親子で読んで、「まちがっていいんだよ」「思っていることを言えるのがいいクラスだよ」とやさしく伝えてあげられたら、きっと新1年生の子には大きな力になるはずです!
そしてもう1冊おすすめしたいのがこちら。
『がっこうでトイレにいけるかな? うんこのえほん』(村上八千世・作/せべ まさゆき・絵)です。
トイレ問題も、「恥ずかしい」大問題!
子どもたちはみんな、慣れたトイレならばできるんです。
おうちのトイレには1人で入れるし、うんこもできる。
でも学校のトイレは……?
本書は、「学校トイレ出前教室」で子ども向けの講座を行ってきた村上八千世さんが作者。
せべまさゆきさんが、トイレの国の学校の、校長のぷーせんせいをユーモアたっぷりに描きます。
実は子どもたちに大人気の絵本です。
ぷーせんせいが「おうちのトイレにいける?」ときくと、子どもたちは「はーい」。
「がっこうのトイレにもいけるかな?」ときくと、子どもたちは「わかんなーい」。
子どもはこう答えます。
「だって、がっこうのトイレと おうちのトイレは、ちがうトイレだもん!」
ずらっと並んでるし、使い方だってちがうし……。
最近は洋式の自動洗浄トイレが増え、和式トイレにまたがるのも、ペダルを押して流すのも、日常的にする機会がない子が増えてきていますよね。
ぷーせんせいは、和式トイレにどんなふうにまたがって座るか、
「はみだしじけん」が起きたときはどう対処すればいいか、おしえてくれます。
逃げたくなってもこっそり逃げちゃいけない!
紙でふくんだよと丁寧におしえてくれるのです(これ、大事!)。
子どもたちも「へーっ」「なるほど」と思ってくれるはず。
和式トイレだって、慣れてしまえばへっちゃらです。
慣れるまでの手伝いを、こんな絵本に頼ってしまいましょう。
本書にはなんと「原寸大和式便器ポスター」が付いています!
床に置いて、足を置く位置、しゃがむ位置。
おうちでこっそり練習するのにも最適です。
この本を読んでおけば、「学校のトイレの使い方がよくわからない……」
なんてことは無くなり、安心して立ち向かえます。
「学校でうんこするのが恥ずかしい」子には、『うんぴ・うんにょ・うんち・うんご―うんこのえほん―』もおすすめです。
新しい環境に、いっしょうけんめいに慣れていこうとしている子どもたち。
そんな子どもたちの「こわい」「恥ずかしい」という気持ちをおうちでママが受け止めてあげれば、なんとなく心が軽くなって、子どもは自力で前へ進んでいくはず。
2冊とも、ママの安心、子どもの安心にお役立ちですよ。
がんばれ! 小学1年生。
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大和田佳世(おおわだ かよ)
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