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学校・まなび
小学1年生 2015年6月17日の記事
学童保育の指導員が資格化されました[6/17]
《知っておきたい、子ども・子育て支援新制度 後編》 指導員の専門化が進み、保育の質のアップにも
前回は、子ども・子育て支援新制度によって大きく変わるという学童保育について、受け入れ人数や対象学年など、変更点とその課題について、全国学童保育連絡協議会・事務局次長の真田祐さんにうかがいました。
今回は、新制度でもっとも変わったといわれる職員の条件面などについて、引き続きうかがっていきたいと思います。
●運営指針ができ、学童保育の位置づけや内容が明確に
真田 「新制度によるもっとも大きな変化は、『放課後児童クラブ運営指針』という学童保育の運営指針ができたことではないかと思います。これは、保育所の保育指針に匹敵するもので、学童保育を運営していく際の基本的な文書です。これができたことは、とても画期的なことです。
これまで、学童保育の定義としては、児童福祉法で『保護者が労働等により、昼間家庭にいない児童』に『遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る』と記されているだけでした。明確な指針がなかったので、施設によって、意識の差が大きく、保育の質もバラバラだったのです。
でも、これからは公立・私立に関係なく、この運営指針をもとに学童保育が運営されていきます。すぐにというわけにはいきませんが、各施設の質も徐々に一定の水準になってくると思います」
運営指針ができたということは、利用される家庭にとっても、とても意味のあることなんだということがわかりました。
●大きく変わった指導員の役割や資格の規定
真田 「運営指針ができたことで、学童保育の内容はもちろんですが、新制度では指導員に関わることも大きく変わりました。どう変わったのか、ざっと挙げてみましょう。
〈指導員の仕事や役割〉
変更前
放課後児童クラブガイドラインに大まかに6〜7点程度の項目があるのみ
↓
変更後
運営指針によって、細かく明記されるようになった
〈配置基準〉
変更前
特に無し
↓
変更後
1つの学童保育(基準はおおむね40人以下)に2人以上の有資格者を配置。ただし、1人は補助員でもよいとされています
〈資格〉
変更前
放課後児童クラブガイドラインに『児童の遊びを指導する者』の資格を有するものが望ましいとされているのみ
↓
変更後
「放課後児童支援員」の資格が必要
保育士や社会福祉士の資格、教員免許を持っていることや、指導員の経験が2年以上などの条件に該当する人が、16科目24時間の認定資格研修を受けることで資格を得ることができる
〈研修〉
変更前
研修のための補助金は、都道府県と政令指定都市、中核市にのみ年間86万円程度(地域によって違ってくる)
↓
変更後
すべての市町村に年間142万円(限度額)を補助する
このほかに、指導員の処遇(給与)についても補助が加算され、常勤の指導員が配置できる金額になりました。
これまでは、パート労働程度の給与で、特に資格もなかったため、同じ施設の中に保育の勉強にも取り組む熱心な指導員もいる一方で、けがのないように見ているだけでいいと考える指導員がいるところも多かったのが現実でした。
学童保育というのは、全学年の、非常に様々な子がいる環境で、それぞれの子どもが自分の居場所を見つけ、毎日元気に『ただいま』と帰ってこられるような環境を用意することが重要なのですが、それを保障することはとても難しいのです。
子どもが安心して利用できる学童保育にするには、指導員に専門的な仕事が求められます。今回の新制度によって、熱意のある指導員がどんどん誕生すれば、学童保育の質もいっそう向上するでしょう」
働くお母さんは口を揃えて、子どもが「学童保育に行きたくない」と言い出さないかが一番の心配事と言います。子どもにとって安心できる場所であれば、そういう心配も少なくなるでしょう。
指導員さんの資格化などは、学童保育を利用する上では、直接関係ないと考えてしまいがちですが、最も大切な部分につながってくるんですね。
●市町村の役所で学童保育の正確な情報を
真田 「1つ注意してもらいたいのは、『学童保育』の種類についてです。似たような事業や民間のビジネスが多いため、混乱している方も多いようです。
例えば、最近は塾や習いごとを経営する民間企業や鉄道系の企業が、学校からのお迎えや家までの送迎、食事を出すなどのサービス事業を『学童保育』と称して展開しています。これはいわゆる厚生労働省管轄の児童福祉法に基づいた『学童保育』とは異なるものです。時間単位で利用できますが、毎日利用すると、料金は月に5万円以上と高額になります。
また、東京都の品川区の『すまいるスクール』、渋谷区の『放課後クラブ』、江戸川区の『すくすくスクール』、神奈川県川崎市の『わくわくプラザ』は、共働きであるなしに関わらず、すべての家庭の子どもが利用できる文部科学省が補助する『放課後子供教室事業』などであり、これも学童保育とは別物です。
指導員などもおらず、出欠をとる仕組みもないところが多いので、子どもが行かなくても親にはわからないということもあり、共働き家庭では利用しづらいところがあります。
今回の新制度の対象となっている『学童保育』は、指導員がいて、必ず出欠を確認し、子どもが学童保育に来ていない場合は家庭に連絡がいきます。また、基本的に月額で保育料が決められており、その金額は1万円前後です。毎日ではなく、週に何日かの利用も可能ですが、年間を通じた利用が基本なので、その場合でも保育料は変わりません。
自分の住む地域で、利用可能な学童保育があるかどうか、あるとしたらどこにあるのかなどは、ネットではなかなか正確な情報を得られません。学童保育を利用したいという方は、まず地域の市区町村の役所に行き、学童保育の情報を確認してもらいたいと思います」
保育園と違い、子ども自身が自分の足で通う学童保育は、栄養できる学童保育のエリアは決して広くはありません。各自治体に問い合わせて、正しい情報を得ることが何より重要なのですね。
真田さん、ありがとうございました。