
諏訪東京理科大学共通教育センター教授
「学習しているとき」「運動しているとき」「遊んでいるとき」など、日常的な脳の活動研究に従事。テレビ・雑誌をはじめとするさまざまなメディアでも、脳に関する実験・解説を行っている。
幼児から高齢者までを対象とした、脳を鍛える教材・玩具も多数開発。
『頭がいい子を育てる 8つのあそびと5つの習慣』(ディスカヴァー・トウェンティワン)ほか、著書多数。
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生活・しつけ
年長 2013年12月3日の記事
わが子を頭のいい子にしたいというのは、多くの親御さんの願い。
頭のよさは勉強だけではなく、技術を身につけたり、人と円滑にコミュニケーションをとったりするうえでも、大きな強みになります。
この力を司るのは、もちろん脳。
わが子の頭をよくするための脳の育て方について、脳科学者の篠原菊紀先生にお話をうかがいました。
●脳は二段階に分けて発達していく
人間の脳は生まれてから、どのように発達していくのですか?
篠原 「幼いうちはとくに個人差が大きいので、一概には言えません。
でも、多くの場合は二段階に分けて脳の各部位が発達していき、12歳頃までに、ある程度の完成を迎えます。
各段階で発達のピークを迎える部位は次のようになります。
<第一段階> 5歳前
語彙や表情の読み取りにかかわる部位と、好き・嫌いという価値の判断にかかわる部位が発達のピークを迎える。
<第二段階> 8~12歳ころ
意味の理解にかかわる部位、空間的な位置関係の理解にかかわる部位、運動にかかわる部位、知的活動の中核的な働きをする部位などが発達のピークを迎える。
とくに、『ふたつのことを並行して行う』『こみいった事柄について考える』といった複雑な知的作業の基盤となる、『ワーキングメモリ』という働きが発達していく。
年少~小学1年生のお子さんだと、ちょうど第一段階から第二段階へと移行していく時期にあるといえますから、『何かが出来るようになること』より、『それが好きになること』を優先すべき時期ですね」
●努力で頭はどんどんよくなる!
脳の発達には、遺伝が関係するのでしょうか。
篠原 「発達の道筋に大きな違いはありませんが、様々な能力に遺伝の影響があることは明らかです。
たとえばIQテストなどで測られる一般知能の7割程度は遺伝、つまり遺伝子の組み合わせによって説明できます」
すると頭がよくなるかどうかも、遺伝によって決まることに…?
篠原 「誤解されがちですが違います。
大人数で調べれば点数の散らばりの7割程度が遺伝によって説明できるということで、個人の能力の何割が遺伝によるのか、を導き出す数学モデルはまだありません。
逆に、能力は遺伝や素質によると捉えるのか、努力によると捉えるのかで、その後の伸び方に差が出ることが報告されていますから、努力の力は絶大です。
実際、子どもが一定のトレーニングを行うとワーキングメモリの力やIQが伸びるという研究報告が多々ありますし、極端な話、90歳になっても脳の力が伸びることも示されています」
努力はムダにならないということですね!
それならぜひ、いろいろなことにトライさせてみたいものです。
次回は篠原先生に、「知的活動の基盤となる」という、ワーキングメモリを発達させるおすすめの方法を教えて頂きます。
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