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生活・しつけ
小学1年生 2015年5月18日の記事
できたときだけ「ほめる」子育ては副作用がある!?[5/18]
《 “勇気づけ”の子育て・1回目》 ほめ方によっては、「ほめられなければやらない子」になることもあります。
こんにちは。『ママノート編集部』です。
子どもをほめるのは良いことと言われていますが、「ほめてばかりいて、本当にいいの?」「人の評価を気にしすぎるようになるのでは?」など、疑問を持っているママもいるのではないでしょうか。
元公立小学校の教師で、2人のお子さんのママでもあるHearty Smile代表の原田綾子さんに、「ほめる子育て」についてお話しを伺いました。
●ほめ言葉は、子どもにとって“ごほうび”
原田 「子どもをほめるのは、とても良いことです。小さなお子さんは、どんどんほめてあげて欲しいです。
しかし、できたときだけほめられ、できないときは叱られる“条件つき”のほめ方だと、思わぬ副作用が出てしまうことがあるんです。
一例として、私が小学校の教員時代にあったことをお伝えしますね。
当時、私は、ほめることが大事だと学んでいたので、子どもたちをたくさんほめていました。例えば、教室でごみを自主的に拾った子に『○○ちゃんえらいね。すごいね』と、声をかけました。
すると、他の子もごみを拾うようになりました。
中には、私にほめて欲しくて、拾ったごみを見せにくる子もいました。ほめ言葉は、子どもにとって見えない“ごほうび”になっていたのです。
ある日、私が出張で1日外出をすることがありました。
出張先から学校に戻り、子どもたちが下校した後の教室に入ると……なんと、床にごみがたくさん落ちていたんです。
私は、ショックを受けました。
ほめてくれる人がいないと、“ほめ言葉”のごほうびがないと、自分から行動しない教育をしていたことに気づいたのです」
●“できた”ことだけほめられていると……
原田 「また、小学校の教員をしていた頃は、失敗を恐れてチャレンジしない子が多いことが気になりました。
それは、子どもたちが学校でも家庭でも大人から評価され、“できた”ことだけほめられ、できないと叱られて育っているからです。
そうすると、子どもは『できない自分はダメだ』と思い込み、失敗を恐れるようになってしまいます。自ら考えて行動する勇気がなくなるわけです。
できたときだけほめ、できないときに叱る子育てだと、子どもは『失敗してはいけない』、『必ず結果を出さなければいけない』と、プレッシャーに感じることもあります。
さらに、小学生の場合は、周りの評価を気にして“いい子”を演じてしまう場合もあるのです。
私は『できたことだけほめる』のではなく、子どものありのままを認める方法はないかと考え、アドラー心理学を学んで『“勇気づけ”の子育て』にたどり着きました。
できたときだけほめて、ほめ言葉という“ごほうび”を与え、好ましくない行動をしたときに叱って、ダメ出しという罰を与える子育ては、“親が上”で“子どもが下”の上下関係です。つまり、親が子どもを支配する賞罰の子育てといえます。
一方、『“勇気づけ”の子育て』は、“親と子どもが横並びの関係”で、賞罰を使いません。大切な友達と関わり合うように、常にお互いを信頼・尊敬し合ってつながります。
具体的には……
・『賞(ごほうび)』の代わりに、“勇気づけ”をする。
子どもが当たり前にしていることや、失敗したときでもその過程や努力を認めます。子どもは親から大切に扱われていると思うと、困った行動や反抗をしなくなります。
・『罰(叱る)』代わりに、『論理的結末』『自然の結末』を体験させる。
親が子どもの失敗を全てカバーするのではなく、必要に応じて手助けし、子ども自身に失敗するとどうなるのかを体験させます。そうすると、親に頼らなくても自分で問題を解決する力がつきます。
“勇気づけ”は、子どもの自信とやる気を引き出し、“困難を克服する力を与える”最高の子育て法です。
私はこれまで講演や講座などで8000人以上のママに“勇気づけ”をお伝えしてきました。“勇気づけ”を実践してみて、子どもが変わったと実感されている方がたくさんいます。
次回は、“勇気づけ”の方法についてお伝えしますね」
次回に続きます。
プロフィール
勇気づけの親子教育専門家。
株式会社Hearty Smile 代表取締役。
埼 玉県公立小学校教員退職後、子育て講座、講演、教育コンサルティングなどを行うHearty Smileを設立。小学校教員時代、子どもを伸ばすには母親 自身の心がイキイキとしていることが重要だと気づき、教員退職後、“勇気づけ”をベースとした子育て講座、講演活動を行なっている。
プライベートでは、幼稚園児と小学生の2人の女の子のママでもある。
著書:『ほめるよりも子どもが伸びる勇気づけの子育て』(マイナビ)
『HeartySmile』