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生活・しつけ
年長 2013年12月5日の記事
【年長~小1】 脳を育てる生活習慣って…?
《頭をよくする脳の育て方 3 》 何気ない生活習慣の中に、ワーキングメモリを伸ばすヒントがあります。
頭のよさを司る脳のワーキングメモリ。
前回は脳科学者の篠原菊紀先生に、ワーキングメモリを発達させる遊びや学習についてうかがいました。
今回は、ワーキングメモリを伸ばす生活習慣について教えていただきます。
●コミュニケーション・運動・睡眠が育脳のカギ
生活習慣も、脳のワーキングメモリの発達に関係するのでしょうか。
篠原 「大いに関係します。
ワーキングメモリを発達させるための生活のポイントとしては、次の3点が生涯にわたって挙げられています。
1. 人とコミュニケーションをとること
2. 体を動かすこと
3. 質のいい睡眠をとること
人とコミュニケーションをとるのは、単純に見えて、複雑な作業です。
話をしたり聞いたりしながら、相手の表情や雰囲気を読むことを、同時に行いますよね。
これはワーキングメモリのいいトレーニングになります。
お子さんにはさまざまな人と、対面してふれあう機会をもたせるのがおすすめです。
次に、体を動かすことです。
運動することが海馬(※)で脳細胞を増やしたり、ワーキングメモリの働きを高めたりすることは、さまざまな実験でわかっています。
また、運動をしている子どもたちの方が、統計的には学業成績がよくなるというデータもあります。
特別な運動をしなくても、外を走り回って遊ばせるだけで、じゅうぶん効果的ですよ。
そして、睡眠も大切です。
記憶は、眠っている間に定着します。
とくに深く眠っているときに記憶が定着することがわかっていますから、質のいい睡眠は脳のためにも学業のためにも必須です。
睡眠環境を整えて、お子さんには質のいい睡眠をとらせましょう。
早寝早起きを心がけて生体リズムを整えることも、効果を高めます」
※ 海馬…脳の内部にある大脳皮質の部分。原始的な感情をつかさどり、短期記憶に関係している器官。
●努力をほめることが、子どもを伸ばす
親の声かけでも、子どものワーキングメモリの発達を応援することはできますか?
篠原 「発達を促す基盤となるのが、本人のやる気です。
そのためには子どものほめ方が、とても大切。
それを表す、ひとつの実験結果があります。
子どもたちに勉強をさせて、テストの後、一方のグループには、『何日も勉強したからできたね』などと努力をほめ、もう一方のグループには、『さすが、きみは頭がいいね』などと素質をほめます。
すると、努力をほめられたグループはより難しい問題にチャレンジしたり、出来た人に学ぼうとするのに対して、素質をほめられたグループは『できる子』であり続けるために、難しい問題に取り組まないし、出来なかった人と自分を比べたがる傾向が強く見られました。
そして、努力をほめられたグループは成績が伸びたのに対して、素質をほめられたグループはむしろ成績の低下が起きてしまったのです。
自分の能力よりややレベルが高いことに挑むことをくり返すのは、ワーキングメモリを発達させるための基本。
お子さんをほめるときは、その結果に至るまでの努力をほめてあげましょう。
それが頭のいい子を育てる、大きな力になるはずです」
わが子としっかり向き合い、結果だけでなくプロセスを見ていること。
それが頭のよさを育てるうえでも、大切な基本であるとわかりました。
篠原先生、ありがとうございました。