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小学1年生 2012年9月8日の記事

内藤みか 連載コラム「6歳からの才能育て」第6回

第6回「1等賞じゃない運動会」

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みなさんこんにちは。 
夏休みも終わり、いよいよ秋の運動会シーズンがやってきました。 
この時期にお子さんがグランドを駆ける姿を観覧するかたも多いのではないでしょうか。うちも、もうすぐです。

 
ところで私は運動が大の苦手です。 
運動会で1等をとったことは一度もありません。 
学校では私のような走るのが遅い子に配慮してか、 
かけっこのタイム順に組み分けをしてくれていました。 
私は一番遅いグループの中でも、一番遅いという、とても情けない結果でありました。

 
いやこんな私でも、すごく速く走ったことがあったんですよ!? 
ある時、小学校の校庭に野犬が迷い込んで来て、児童に近づいてきたんです。 
あの時は誰よりも早く校舎に逃げ込んでいたそうですから、本気出せばもっといい順位がとれたかもしれません……。

 
さて、そんな私の息子も、運動が苦手です。 
やはり、運動会では1位をとったことがありません。 
親としてはいろいろ苦労しました。 
スポーツメーカーのスニーカーを買ってみたり、腕や足の振りを大きくする練習をしてみたり、やるだけのことをやってみましたが、どうにも遅いんです……。

 
息子が小学1年生の運動会の時も、グループにとても速い子がいるので1位は絶望的でした。 
それなのに息子は負けずぎらい。 
絶対1位になる! と張り切っていました。 
親としては、事前になぐさめの言葉をいろいろ考えていましたよ。 
「惜しかったね!」とか、 
「来年がんばろう!」とか、 
とにかくいくつも言葉を考えていたのです。 
でもなにかしっくり来ませんでした。

 
案の定、息子は6人中5位という結果に終わりました。 
「俺なんて……きっといつまでたっても1等にはなれないよ……」 
けっこうしょげています。 
それを見ていたら、なんだか気の毒になり、自然とこんな言葉が出てきました。

 
「かけっこで1等になれなくてもね、キミは他のことで1等になれると思うよ」 
「他のことってなに?」 
「う~ん、算数がとても得意なんだから、算数でいつか1等を取れると思うよ!」

 
そう言ったら、息子はとても安心したように笑顔を見せました。 
それからは「どうしてもかけっこで1等になりたい」とは言わなくなりました。

 
子どもにはそれぞれ得意なことがあり、その得意なことを伸ばしていけばいいと私は思っています。 
運動会で1等をとれなくても、ほかの得意なことでがんばろう、と気持ちを切り替えればいいのです。

 
ちなみに息子はその後、クラスの計算大会で1等になりました。ずいぶん喜び、さらに算数に打ち込むようになりました。そして6年生の時には、中学受験模試の算数で1位になることができたのです。

 
「自分はこれで一番になったことがある」というものがひとつでもあると、子どもの心の大きな支えになります。何かで思うような結果を残せなくても、自分にはこれがあるから、とネガティブになりすぎずにすむのだと思います。

 
さて高校生になった息子は、今でもあいかわらず走る競技は苦手で、校内マラソン大会でも、水泳大会でも、順位は後ろのほうです。

 
ただし、サッカーだけは、得意です。逃げ足が速いので、敵からボールを奪い、上手にドリブルしていけるのだとか。逃げ足が速いのは私の遺伝かしらと思っていたら、

 
「お母さんに叱られた時に全力で逃げてたら、速くなったんだよ!」

 
と言われてしまいました。……まあ、理由はなんであれ、運動種目でひとつだけ得意なことができたことはよかったね、と思っています……。

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